『愛なき森で叫べ』出演をきっかけに様々な作品に呼んでもらえるようになった

--なかなかオーディションに合格できなかたとのことですが、多摩美在学中に、園監督のNetflix オリジナル映画『愛なき森で叫べ』(2019年)で俳優としての足掛かりを築かれました。

中屋 成功する人は20歳までには何かしらの頭角を現すはず、と決めつけていました。その気持ちと、ままならない時期に園監督の作品を観て救われた過去がつながって、これが最後のチャンスだ、絶対に受かりたいという気持ちが出せたことで選んでいただけたのではないかと思います。芝居とは何か、というところも含め、一から学ばせていただいた現場で、とにかく毎日が楽しかったです。

--お芝居の仕事一本で行こうという覚悟が定まった現場だったのですね。

中屋 オーディションでは書類審査の段階で落ちてしまうこともザラだったのですが、この作品に出演させていただいたことで、声をかけていただける機会が増えました。私を選んでくださった園さんからも「お前は(役者を)続けろよ」っておっしゃっていただけましたし、その言葉を裏切りたくないなと思ったんです。

--園監督とは『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(2021年)で再会されました。

中屋 これまた学ぶことが多い現場でした。ニコラス・ケイジさんという大スターと芝居をするなんて夢みたいなことですが、自分のスキルに対する自信のなさはずっと続いていました。でも、もうやるしかないと。大変でしたが、それを乗り越えたことがすごく自信になりました。

--他に印象に残っている現場はありますか?

中屋 深夜ドラマの「ロマンス暴風域」(MBS系)です。鳥飼茜さんの漫画が原作ということもあってオーディションを受けたのですが、オーディションで挑んだ役での出演はかなわなくて。でも他の役でお声がけいただけたんです。風俗嬢の役ということで、いろいろな緊張はありましたが、映像を実際に見た時、初めて「自分の芝居は悪くない」と思えました。ちょうど出演の3か月前頃にアクティングコーチから心理学的な視点からお芝居を教えていただいた土台があったからかもしれません。

--今後の目標を教えてください。

中屋 とにかく今は舞台が楽しいです。撮り直しができる映像とはまた違った緊張もありますし、妙なアドレナリンが出るんです。これまで味わったことがない楽しさがあって、やめられない気がします。

--進路選択を控える読者にメッセージをお願いします。

中屋 何かを作り上げるのは孤独です。誰にも認めてもらえないかもしれない、こんなものを出したら恥ずかしいんじゃないかとか、自意識が過剰になってしまうんですよね。でも結局その時にやりたいことをやったほうが絶対にいいんです。私も昔は「バンドやりたいな」「歌作りたいな」って思っていたのに、歌も下手だし、絶対ダメだろうと思って挑戦しなかったことを今すごく後悔しています。今回ボイストレーナーの先生についてもらったことで、「こんなに声が出るの!?」って思えてカラオケが楽しくて仕方がない(笑)。だからその時にちょっとでも心が動くものは、たとえ孤独な思いをしても挑戦したほうがいいと思います。

Information


「歌妖曲〜中川⼤志之丞変化〜」
作・演出:倉持 裕
出演者:中川大志/
松井玲奈 福本雄樹 / 浅利陽介 中村 中 /
福田転球 玉置孝匡 徳永ゆうき 中屋柚香 長田奈麻 香月彩里 四宮吏桜 /
山内圭哉 / 池田成志
東京公演:2022年11⽉6⽇(⽇)〜30⽇(⽔) 全31公演 @明治座
福岡公演:2022年12⽉8⽇(⽊)〜12⽇(⽉) 全7公演 @キャナルシティ劇場
⼤阪公演:2022年12⽉17⽇(⼟)〜25⽇(⽇) 全10公演 @新歌舞伎座

公式サイト

中屋柚香

俳優

1998 年2 月24 日生まれ、東京都出身。多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科(演劇舞踊コース)にて、野田秀樹の下で演劇を学ぶ。2019 年にNetflix オリジナル映画『愛なき森で叫べ』で女優デビュー。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』ではハリウッドデビューを果たす。主な出演作に「彼の全てが知りたかった。」(22・smash.)、「ロマンス暴風域」(MBS系)など。今冬公開予定の映画『世界で戦うフィルムたち』への出演も決定している。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Yasukazu Nishimura,Interviewer:Takahiro Iguchi