実際の掛け合いで大切にキャラクターを作っていけた

――『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』に出演されますが、「転スラ(転生したらスライムだった件)」は出演が決まる前からご存じでしたか?

内田雄馬(以下、内田) 観たことはなかったんですけど、かなり話題になっているということは知っていました。劇場版はオリジナルストーリーで、リムルたちも行ったことのない国で、僕が演じるのも劇場版オリジナルキャラクターのヒイロ。テレビシリーズには参加していませんが、そこまで気負わずに台本を読んだ印象でアプローチしていこう、「転スラ」に新しい風を吹かせられたらいいなという思いで臨みました。

――台本を読まれた時の感想を教えてください。

内田 テレビシリーズを観ていなくても分かりやすいストーリーで、誰もが感情移入しやすいなと思いました。ヒイロに関しては、義に厚くて、非常に信念がある人。オーディションの時は、もうちょっと好戦的な大鬼族(オーガ)という印象があったんですけど、ふたを開けてみると、非常に頼れる兄貴分で。大人として完成している部分がたくさんある、しっかりしているキャラクターだなと思いました。それゆえに真面目すぎるところが玉に瑕ではありますが、それぐらいまっすぐな人という印象です。

――アフレコはどんな雰囲気でしたか?

内田 今回はベニマル(古川慎)と一緒に収録したのですが、ベニマルの言葉の投げかけがすごく柔らかくて、それを受け止めるヒイロみたいな感じで進みました。大鬼族って部隊や兵隊じゃなくて、家族のような繋がりがあった人たちなんだと、ベニマルのセリフで感じることができました。そこからヒイロのアプローチも柔らかくなったというか、お兄ちゃんのような温かさと柔らかさが生まれて、それはベニマルのおかげだと思いますね。それが掛け合いの面白さで、一人だとなかなかキャラクター像って見えにくかったりするのですが、そこをベニマルに開いてもらったという感じです。

――事前に古川さんと話し合いのようなものはあったのでしょうか?

内田 これは他の作品でもそうですけど、役者間で話し合うことはほとんどなくて。実際にお芝居をして、その中でお互いに感じて合わせていくというか。合わせる時もあれば、逆の方向に走る時もあるし、その時々なんです。舞台を想像していただければいいと思うのですが、その時に感じたものに対して反応します。普段の会話もそうですよね。事前に考えて、「お腹すいた、今日は何を食べる?」とは話さないし、相手も聞かれてから「何にしようかな?」って考えるじゃないですか。それが自然であり、人間味ですよね。アニメのアフレコも同じで、尺も決まっていて、セリフも決まっているけれど、計算通りに決まったセリフを言うだけだと人間味のないものになって繋がらなくなってしまう。コロナ禍になってから、声優も一人で録ることが増えたので、それで生まれなくなってしまったものもいっぱいあると思うんです。そんな状況でも、なるべく繋がるように作ってはいますが、今回の作品では実際の掛け合いで大切に作っていけた部分があったので、ありがたかったです。

――声はビジュアルの印象から作っていく部分も大きいんですか?

内田 ビジュアルだけで作ると、がわの雰囲気しか出てこないので、キャラクターまで到達できないんですよね。しっかりと台本を読んで、どういう人なんだろうというのを自分の中で見つけていって、あとは実際に言葉を交わした時のちょっとした反応などで、人間味がより出てくるんです。

――「転スラ」の世界観の魅力はどういうところにあると感じられましたか?

内田 観る人が入り込みやすい要素を上手く繋ぎ合わせて作っているし、「転生をする」というトレンドも組み込んだ上でファンタジーとして王道のストーリーを作っています。王道って難しいものなんですけど、その入り込みやすさが多くの方々を惹きつけているのかなと思います。