大泉洋さんはテレビで観ていた通りの楽しい人

――本作では、大泉洋さん、柴咲コウさんを筆頭に、名立たる俳優の方々と共演されています。脚本を初めて読んだ時の感想を教えてください。

菊池日菜子(以下、菊池) セリフを覚えることに集中しようと、敢えて共演者の方々のことは意識しないようにしていました。でも、撮影が近づくにつれて「明日は柴咲さんに初めてお会いするんだ、どうしよう……」と考えてしまい、難しかったです。

――菊池さんは大泉さんと柴咲さんのお二人が演じられる小山内夫婦の娘、小山内瑠璃を演じています。役作りではどんなところを意識しましたか?

菊池 瑠璃はさまざまな問題を抱えている女子高生なので、役柄を把握するのに苦労しました。シリアスな要素はあるけれど、家族の愛に育まれて心を許せる親友もいるのは普通の女の子とは変わりないので、その部分を忘れないように意識して演じていました。

――大泉さんと柴咲さんの印象を教えてください。

菊池 私がクランクインする前、柴咲さんの撮影現場にご挨拶に伺ったら、温かく受け入れてくださり「なんてお優しい方なんだ!」と感動しました。大泉さんには一度お会いしたことがありますが、共演したのは今回が初めてです。大泉さんは小さい頃からテレビで観ていた通りの楽しい方で、現場でもみんなを盛り上げてくださっていました(笑)。緊張しやすいのですが、お二人の細やかな優しさや温かさに何度も助けられました。

――お二人の演技から刺激を受けたところはありますか?

菊池 現場での居方、お芝居のアプローチの仕方など、とても勉強になりました。特に小山内家の一家団欒のシーンは、カメラが回る前まで大泉さんが楽しい話で和ませてくださって、家族の幸せな雰囲気を自然に撮っていただくことができたと思います。自分もそんな事ができる俳優になりたいと思いました。

――とても素敵なシーンでした。

菊池 ありがとうございます。

――菊池さんが校舎の窓から外を見て涙を流すシーンも印象的でした。

菊池 あのカットの前にあった、親友の(緑坂)ゆいと校内で話すシーンで気持ちが盛り上がり、自然に涙が流れました。脚本のト書きには「泣く」という指示はなかったのですが、思わず涙が流れたのを監督が起用してくださり、光がきれいな別日に撮り直したんです。でも、改めて撮影に臨んだら頭でいろいろと考えすぎてしまい、涙が出なくなってしまって……。見かねた監督が私の隣にすっと立って、脳に語りかけるくらいのトーンで、「今、瑠璃はこういう気持ちでこういうふうに思っているから」と気持ちを淡々と説明してくださって。そしたら涙が出たんです。すごく思い入れのあるシーンです。

――脳内に語り掛けるってどんな感じですか(笑)?

菊池 私が小山内瑠璃の感情でいられるように、遠くを見つめながらゆっくりと柔らかい声で話してくださいました。カットがかかり、我に返ってから「さっき監督が話してくださったんだ」と気づきました。神の声のようでした。

――監督は、ほかのシーンでも丁寧に演技指導されたのですか?

菊池 そうですね。自然にお芝居ができるように丁寧にサポートしてくださりました。美術室で唐突に「この絵はアキラくんの絵だ!」と言い出すセリフがあるのですが、私がどのように表現すれば良いか迷っていた時も「重大な事をいきなり語り出すけど、親友の(緑坂)ゆいには本当の事を言いたいという感情なんじゃないかな?」と丁寧にアドバイスをしてくださり腑に落ちました。