一球入魂で書き続けた結果、短編小説集になった

――『これはちゃうか』、拝読させていただきました。大阪弁や、第一人称、第三人称と作品によって視点が違うなど、リズム感のある文章でした。

加納愛子(以下、加納) ありがとうございます。全体像は気にせず、とにかく一球入魂で書いていったので、最終的にそういう形になりました。

――本作は、文芸誌『文藝』に掲載された4篇に、書下ろしの2篇を加えた構成ですが、最初からこの形にすると決めていたのでしょうか?

加納 決めていませんでした。作品を載せることを目的にして頑張った結果、最終的に短編小説集にしていただき、私も驚きました(笑)。

――「意外と書けるな」という手応えはありましたか?

加納 「意外と書けないな」という感じでした(笑)。

――本作のテーマを教えてください。

加納 ”関係性“です。後半ちょっと逸脱しちゃいましたが。

――収録されている作品について伺います。まずは『イトコ』から。

加納 『イトコ』はイトコという存在と言葉が私にとってはツボで、選びました。「親が」、「彼氏が」という話はよくするけれど、イトコの話ってあんまりしないじゃないですか。イトコに対して「面白いな」と思う気持ちをそのまま作品に反映しました。

――作品内にイトコは登場しませんね。

加納 後輩とずっとイトコの話をしてるだけの内容です。

――『了見の餅』は “同じアパートに住む友達が元気がない”という、内容があるようでないようなお話しですね。

加納 友達同士の何でもない会話を書きたかったので、内容は特にないんです。大阪弁にしたことで、主人公が私に近い感覚になってしまい、それがよかったのか悪かったのか……。書いていて、切り離せない感じにはなっちゃいました。

――『最終日』は、美術展の最終日に駆け込んでマウントをとってくる人のお話しです。

加納 今の時代、みんな自然にキャラ設定みたいなものを背負って生きているところがあるじゃないですか。女の人だと特に。それに助けられたり、左右されたりしている様子を書きたかったんです。私はSNSをやっていませんが、ラジオとかで関わることもあるし、それに連動して仕事が入ってくることもあるので、全く関係ない話ではないなと。

――なぜ、SNSをしていないのですか?

加納 今は表現する場に困っていないので、敢えてそこでする必要はないかなと思っています。

――『宵』は映画研究会が舞台の作品です。

加納 大学時代に映画サークルに入っていたので、その時の空気感を書きました。

――『ファシマーラの女』は“駅がいっぱい生えてくる変な町”という幻想的な世界が舞台になっています。

加納 生まれ育った土地から動けない人は意外と多いなと感じていて、多分、地元愛が強いからだと思うのですが、その関係性に興味を持ち、自分なりの感覚で書いてみました。現実の世界から離れた世界で表現してみたかったんです。

――最後の『カーテンの頃』は現実的でドラマにありそうなお話しです。

加納 中学生、高校生の頃は、思考や生き方に影響を与えてくれるような身近な大人がいそうでいないという内容です。

――加納さんの実体験を書いた作品ですか?

加納 どうなんやろう。うちは親の友達がよく遊びに来る家だったので、親以外の大人から影響を受けやすい環境でした。