お互い根っこの部分で同じものがあるという安心感があった

--『恋のいばら』の脚本を読んだ印象をお聞かせください。

玉城ティナ(以下、玉城) (真島)莉子はダンサー志望、と台本にガッツリ書いてあったので、「ダンス……」と少し不安を感じましたが、自分の役も含め、全体的につかみどころのない不思議な空気感があって、すごく今っぽい作品だなと思いました。「こういう風に来るんだ!」と、いい意味で裏切られる展開があります。共感される方も多いだろうなと思いましたが、一方で怖いな、とも思いました。

--玉城さんが今カノの真島莉子を、松本さんは元カノの富田桃を演じていらっしゃいます。SNSで元カレに彼女がいることを知った桃は、今カノ・莉子を特定して直接会いに行ってしまうという、思い切った行動をとります。

松本穂香(以下、松本) 部屋がめちゃくちゃだとか、(人との)距離感だけでなく、いろいろおかしな部分がある一方で、「あ、そこはまともなんだ」というようなところがト書きには書かれていて、本当にここまでよく分からない不思議な人って……と思いました。ただ、セリフなどを通して描かれている部分も多かったので、あんまり余計なものを足さずに、桃のフラフラした空気感みたいなものを意識して演じました。

--桃は眼鏡がよく似合う女の子ですね。

松本 衣装合わせの時に眼鏡が用意されていたのを見て、「あ、また眼鏡の役か」と(笑)。結構多いんですよね。

――イマドキで洗練された今カノ・真島莉子を演じた玉城さんはいかがですか?

玉城 私もよく「イマドキ」を求められるのですが(笑)、不安を抱えた、ただの女の子、というところは似ているなと思いました。あとは、人から見たイメージと実際の内面が違うところ。ふわっとした感じの桃より莉子のほうが、わりとまともなことを言っている気がして。脚本を読み進めていくうちに、弱さも見えてくるのですが、最初と最後ですごく印象が変わるキャラクターだなと思いました。

--お二人はこの作品が初共演ですか?

玉城 はい。顔合わせの時がはじめましてだったんだよね。でも入れ違いだった。

松本 そうなんだ!私、二人一緒に顔合わせするものだと思ってたから、(玉城は)めちゃめちゃ遅刻してるのかなって思ってた(笑)。

玉城 違うよ!疑いが晴れて良かったです(笑)。

松本 その顔合わせの時に、(城定秀夫)監督からいろいろ説明があるのかと思っていたのに特に何もなくて。監督は「質問があれば聞きますけど」みたいなテンションでいらっしゃったので、「あ、大丈夫です」と(笑)。ロケ地の写真を見せてもらったくらいでした。

玉城 監督にどこまで突っ込んでいいのかなとは思いました。監督ご自身の世界観があるのに、最初はなかなか共有してくださらなくて(笑)。だから自分が脚本を読んで考えたことと答え合わせをしていくような時間ではありました。最初から「莉子はこういう役なので、こうしてください」っていうような決められたものはなかったんですが、でも選んでいただいている以上は、自分の思った通りできっといいんだろうなと思っていました。

--そうやって莉子と桃の関係性を作り上げていかれたのですね。

玉城 二人のシーンが圧倒的に多かったし、撮影でも毎日会ってるような感じでした。休みなくこの世界にどっぷりハマれたのがよかったです。

松本 役の二人の関係性と、リアルな私たちの関係性も近いところはあったかもしれません。

玉城 最初はお互いに人見知りで「どうしよう」、みたいな。

松本 真逆な感じなのかなって思っていたけれど、いざ話していくと根っこの部分でどこか近いものが見えてくる感じではありました。

玉城 本当に真逆のタイプだったらちょっと厳しかったと思うけど、話していくと、役や芝居に対する共通の言語みたいなものがあることが分かりました。「こういうことだよね」って言葉で噛み砕いたり、最初から決めてかかると広がりがなかったりすることもあるから、二人で「ここのシーンはこのぐらいの関係性だよね」っていうのをサラッと話すぐらいだったよね。

松本 そうだね。本当に「よーい、ドン」で、直前に「ここはこうだよね」って確認して。その時の空気感で何となく通じるものを大切にしていました。

玉城 話し合いがなくても、女の子の心情として、私の中にもあるようなセリフが多かったので、シーンごとに対応していきました。