ヒロインの及川佳奈とは猪突猛進なところが似ている

――映画『餓鬼が笑う』は、ラブストーリーやファンタジー、ホラーなどの要素が入り混じった、独特の世界観が印象的です。最初に脚本を読んだ時のお気持ちを教えてください。

山谷花純(以下、山谷) 「攻めてるな」と思いました。

――タイトルの印象から、ダークな内容を想像していましたが、意外にそうでもないですね。

山谷 そうなんです。主人公の大貫大は「自分は何者になりたいのか」と常に自問自答しているけれど、実は悩んでいる内容はすごくシンプルだし、行き着く場所も分かりやすい。「大きく回り道しているだけで、直線にしてみたらすぐ近くに答えがあるのに」と思いました(笑)。

――山谷さんが演じたヒロイン・及川佳奈にはどんな印象を受けましたか?

山谷 「男性が思う理想の女性ってこんな感じなのかな」という印象です。

――それはどんな部分に感じましたか?

山谷 天真爛漫な性格で、常に前を向いて、自分の信じた道を突き進む姿です。男性は女性よりも過去に執着しがちと聞くので、そういう女性への憧れを投影したのかなと思いました。

――佳奈に共感できるところはありましたか?

山谷 一度興味を持ったら、後先考えずに突き進む猪突猛進なところです。私が俳優を目指したのも「テレビの放送の仕組みが知りたい!」という好奇心からだったし、ポジティブな部分を考えて道を切り開いていくタイプなんです。映画のなかで「忘れると楽になるよ」という佳奈のセリフがあるんですが、過去の記憶や思い出を大事に保存するよりも、アップデートすることを優先するところも似ているかもしれません。

――山谷さんも過去にはとらわれないタイプなんですね。

山谷 お芝居は感情を扱う仕事なので、喜怒哀楽を感じた経験は、演技の引き出しとして取っておこうと意識しているんですけど、普段の私からしてみれば、悪いことは思い出してもいいことないですから(笑)。だから、忘れたフリをするようにしているのかもしれません。

――佳奈について、監督から事前に指示はありましたか?

山谷 「何を考えているのか分からない、ミステリアスな感じにしてほしい」と言われました。

――佳奈を演じていて印象に残っていることはありますか?

山谷 大に対する興味を失った瞬間に、感情の波がサーッと引いていく感覚をリアルに体感しました。悲しいけど、無心になるってこういうことなんだなと実感しました。

――撮影で印象に残っているロケーションを教えてください。

山谷 この物語の最初と最後に出てくる古書店です。もともと古書店が好きで、本が目的というより、静かな空間に身を置くのが好きで撮影の空き時間に、ふらっと一人で立ち寄ることもあります。古書店で昔の台本を購入した時に、「今、私が使っている台本と何が違うんだろう」と見比べましてみましたが、ほとんど変わらなかったです。書き込みを発見して、「このマーカーは役者さんではなくて、技術さんのマーカーかも」とか想像したりしました(笑)。