好きな舞台を続けながら生活していく方法をずっと探していた

--Z世代代表としてSNSやメディアで積極的に情報発信をするなど幅広く活動されている長谷川さんですが、幼少期はどのように過ごされていましたか?

長谷川ミラ(以下、長谷川) 小学生の頃はバレーボールを頑張っていました。クラブチームに所属して週4~5日、夏休みもない状態で練習に打ち込むという、いわゆる「スポ根」な感じだったのですが、12歳でスカウトされ、急に人生の転機が訪れました。チャンスがあるならやってみようと、その芸能事務所に所属したのですが、中学校の3年間は全く仕事がありませんでした。事務所を辞めようかなと思っていた頃に舞台の仕事が急に決まったんです。それで芸能系の高校に通いながら舞台を中心に仕事をしていました。

--人前に出ることへの抵抗感はありましたか?

長谷川 全然。もともと高身長で、しかもハーフなので嫌でも目立っていましたしね。「身長でかいな」って言われても「小さくてかわいそうだね」なんて返す強気な子どもでした(笑)。小柄だった母が「身長はお金では買えない。だからラッキーなことなんだよ」と言ってくれていたことも大きかったかもしれません。

--舞台のお仕事はある程度の基礎ができていないと簡単にいかないことも多いと思いますが、その辺りはどのようにクリアしていきましたか?

長谷川 12歳から事務所に入っていたので、レッスンまでいかなくても現場を見学させていただける機会はありました。それに若いと大人の方々がいろいろと教えてくれます。みっちり稽古したうえで発表するという舞台が入り口になったから、ドラマや映画に出させていただいても自信を持って演じることができたと思います。

--お芝居に打ち込んでいくなかで、その魅力を知ることになったのですね。

長谷川 そうですね。一方で舞台俳優がそれほど稼げる仕事ではないことも分かっていました。大好きな舞台を続けながら、生活を成り立たせていくにはどうしたらいいのか、と真剣に考えるようになって、高校卒業と同時に事務所を辞めて、大学に入る前のギャップイヤー(※高校卒業と大学入学の間に留学やインターンシップ、ボランティアなど、自分が興味のあることをする期間)でいろいろな道を模索しました。どうせなら自分の好きなことがいいと思い、ファッション関係のビジネスをしようと。とはいえ、ファッションの仕事といっても何十種類もあります。カメラマン、スタイリスト、デザイナー、パタンナー……その中から好きなもの、向いていることを見つけようと、あれこれ挑戦しました。スタイリストのアシスタントだけでなく、デジタルマーケティングのインターンシップも経験しましたね。ただ、好きなことにこだわるあまり悩むことも多くて。そんな私に母がかけてくれた言葉がありました。「毎日電車に乗って仕事に行く人みんなが、やりたいことをやっているように見える?みんなずっとそうやって生きていくものだし、社会ってそういうもの。別にやりたいことをやらなくていいの」。そんな母の言葉は刺さったし、気が楽になったところはあるかもしれません。

--厳しくも温かいお母さまの言葉が長谷川さんの背中を押したのですね。

長谷川 今でこそ当たり前の考え方ですが、母は何年も前から、「女性が社会で活躍できる時代が必ず訪れるから」と言っていました。だから私の中で、働くことは楽しくて誇らしいことだという思いがずっとあったんです。ただ私は長時間座って一つのことに集中することができません。それが嫌だということではなくて、本当にできないんです。一人の人間として生きていくうえで、自分にできることは何だろうと考えながら、目の前に来たチャンスを一つひとつ取り組んできた感じです。