義足かつ弓矢使いという役で臨んだアクション

--ヘイヤ役はオーディションで決まったそうですね。「恒松さんは、ヘイヤ像をはみ出すぐらいのパワーがあった」と佐藤信介監督がお話しされていました。

恒松祐里(以下、恒松) オーディションの前に原作の漫画を読んで、ヘイヤのとりこになりました。「絶対演じたい!」という気持ちで深いところまで役作りしていたので、気合いはすごかったと思います。オーディションで、「かまゆで」(※高温の温泉が湧き出し、時間とともに崩壊するスタジアムから脱出する)という“げぇむ”のシーンで、ヘイヤの口からお母さんへの文句が溢れる演技をしたことで、より役の核心に近づくことができたと思います。

--原作の漫画を読んだ時のヘイヤの印象はいかがでしたか?

恒松 とにかく強い!アクションもそうですが、傷ついたり、悲しいことがあったりしても強さで覆い隠して前に進んでく強さに魅力を感じました。

――演じる上で意識したことを教えてください。

恒松 心の奥底に隠した弱さがヘイヤの強さの原動力になっているので、その部分を大切に演じました。普段から役を演じる時はノートにメモを取るようにしているのですが、今回はヘイヤになりきって、事故で亡くなったお母さんへの恨み、悲しみ、怒りを手紙に綴り、それを現場で持ち歩くようにしていました。

--本作は激しいアクションも見どころの一つです。事前にどれくらい準備をされましたか?

恒松 クランクインの3ヶ月くらい前くらいからアクションの練習を始めましたが、物語の終盤で展開された渋谷109周辺での肉弾戦は最後のほうに撮影したので、アクションだけで半年以上は準備をしていたことになります。

--ここまで本格的なアクションにチャレンジしたのは初めてですか?

恒松 映画『散歩する侵略者』(17)でも、3ヶ月間くらい練習しましたが、今回は、義足かつ弓矢使いという役柄だったので、かなり難しかったです。義足を着けるとその分バランスが悪くなって、転がったり、寝そべったりする体勢がとりづらくなります。右回りはできるけど左回りできないとか、左手に弓矢を持っている状態でどうすればスムーズに動けるようになるのかなど、アクション部の人たちと調整していきました。おかげで、本番ではスムーズに動けるかっこいいアクションが完成しました。

--義足はどのように装着しているのですか?

恒松 左足にグリーンのストッキングをはいて、義足がついている靴をはき、CGで脚の部分を消してもらいました。森の中にいることが多いので、暗くてちょっと見えづらいと思いますが注目してみてください!

--弓と矢を持って動くのも大変そうですね。

恒松 弓も矢も固定していただいたのですが、弓は重いし、走ってでんぐり返しすると矢が落ちてしまったりして大変でした。弓と義足は硬さの違うものをいくつか用意していただいて、撮影では人に当たっても痛くないやわらかい素材のものを使いました。衣装合わせの回数はヘイヤが一番多かったんじゃないかなと思います。

--弓矢の練習はしましたか?

恒松 プロの方にアーチェリーを教えていただきました。本来のアーチェリーは、ゆっくりとした動作で行うものですが、それだと「今際の国」では生き延びることができないので(笑)、アクション用に素早く射るスタイルを練習しました。

--全編通して強い表情でしたね。

恒松 特に意識していたわけじゃないんですけど、武装して、メイクして、いつ襲われてもおかしくないサバイバルという状況にいると自然にそういう表情になりました。