千夏と私は似ているし、共感できる部分が多い。だからこそリアルな演技ができた

――主演映画『あつい胸さわぎ』では、心の中にいろんなものを抱えながらも母親と楽しく掛け合いをするシーンが多かったと思うのですが、どのように千夏という役柄に向き合われましたか?

吉田美月喜(以下、吉田) 最初は乳がんにまつわる映画ということで、暗いストーリーかなというイメージがありました。でも脚本を読んでみると全く暗くなくて、むしろ明るいストーリーに感じたのが印象的でした。撮影後、原作の舞台を観に行ったのですが、脚本を読んだときに感じた明るさやあたたかさはこの舞台から生まれたものなのだなと、改めて感じました。この作品は“18歳の少女の成長物語”なので、病気が関わってはいますが、青春や甘酸っぱい恋などがメインテーマです。だからこそ私自身も、病気のことをあまり気にせずに演じようと意識していました。

――脚本の読み合わせなどで、監督から役のイメージを告げられていたのですか?

吉田 常盤貴子さん演じる母親の昭子との親子関係についてはたくさん話をしましたが、千夏が今までどういう生活を送ってきたのか、どんな出来事があったのかなどは、それほど話さずに撮影に入りました。ただ我が家の親子関係と、千夏と明子の親子関係には共通点が多くあったので、今回演じた千夏は“そのままの私”が表現されていると思います。

――共通点とは具体的にどのような部分ですか?

吉田 映画の中で昭子と千夏はぶつかり合ったり、すれ違ったりすることもありますが、姉妹のように仲が良く、二人三脚で暮らしてきた強い絆を持つ親子です。私と母もよくケンカをしますが、とても仲が良く、千夏たちと同じように「姉妹みたいだね」と言われます。また親子ともに気が強く、絶対負けず嫌いな性格も、似ているかもしれませんね(笑)。

――吉田さんから見た千夏の印象はいかがですか?

吉田 撮影当時、私も千夏と同じ18歳だったので、共感できることが多かったです。高校を卒業して「大人になっている」と思いながらも、結局は大人がいないと何もできないイラつきやドキドキ。そんなもどかしい気持ちをどう解消したらいいのかわからないモヤモヤや、つい八つ当たりしてしまう部分などは特に共感できました。

――関西弁がとても自然でしたが、どんな工夫をされましたか?

吉田 まず、「方言に気を取られすぎてしまうのは良くないですよね」と監督とも話していました。これまで何度か関西弁を話す役を演じたこともあったので、無理せず自然に使える関西弁で話すように工夫しましたし、ニュアンスが違う部分などは、現場で常盤さんがアドバイスをしてくださることも。関西弁で話しているのは昭子とのシーンだけなので、自然な関西弁を通して、家族ならではの距離感を表現できればと思って演じました。

――母親である昭子を演じた常盤さんとの関西弁での掛け合いが流れるようでしたね。

吉田 ありがとうございます。実は常盤さんときちんとお話をしたのは、撮影がはじまってからで。撮影前は本当の親子に見えるのかな?という不安や緊張もありましたが、現場では常盤さんが“関西のおかん感”をずっと出してくださったので、自然と打ち解けることができました。おかげで最初のシーンの撮影後には、監督から「ちゃんと親子に見えてたよ」と言ってもらえて、そのほかのシーンも安心して演じることができたんです。