1曲1曲の楽曲に込めた、「愛」のエッセンス

――今作は、「このマンガがすごい!2017」(オンナ編)で1位を獲得した人気コミックが原作です。作品に関わると決まった時の気持ちを教えていただけますか?

Evan Call(以下、Evan) 最初にストーリーを聞いた時は、「世界観がすごく面白いな」と思いました。とても人間的な物語でありながら、私たちの日常とは違う壮大なつくりになっているので、音楽でいろんな表現ができそうだなと。それぞれのキャラクターに寄せるというよりも、作品全体の世界観を音楽でつくり上げていけると感じたので、すごく楽しみでした。

琴音 最初に原作の漫画を読ませていただいて、「すごくハッピーな物語だな」という印象を受けました。自分はシンガーとして歌を歌い上げる役割だったのですが、映画の劇中歌を歌わせていただくというのは初めての経験だったので、「いったいどんな風になるんだろうか?」という不安と期待の気持ちがありました。

――そこからEvanさんは、どのような思いで楽曲制作を進めていったのでしょうか?

Evan この映画は、主人公のサーラとナランバヤルの関係性が、100年国交を断絶している2つの国の歴史を大きく動かしていく…というストーリーです。なので、やっぱり“人間関係”というのが重要なポイントだと考えました。人と人との間には、恋愛に限らず親愛や友情とか、様々な「愛」のかたちがある。そこで、1曲1曲にいろんな愛のエッセンスを取り入れることで、作品全体に統一感が出るよう工夫しました。

――「愛」が全体のテーマになっているのですね。

Evan はい。だからとても人間的というか、心情的な曲が多いです。派手な印象の楽曲であっても、その中に優しさを感じられるとか。優しさだけでなく過去への後悔とか、いろんな人間の感情が感じられるようになっています。

――そうやって完成した楽曲を歌ってみて、いかがでしたか?

琴音 できるだけ物語や登場人物の気持ちに寄り添うつもりで歌いました。それと同時に、音楽がつくり上げたシーンごとの雰囲気や空気感を自分の声が邪魔してしまわないように、少し俯瞰して見守っているような感覚もありました。

――完成した作品をご覧になった感想をお聞かせください。

Evan 楽曲の制作段階では映画のビジュアルが完成していなかったので、想像しながらつくっていた部分もあったんですけど、改めて完成したものを観て「なんて綺麗な映画だろう」と驚きました。細かいところまで丁寧に描かれているし、とにかく映像が美しい。それと、最初に見せていただいた映像には仮の声優さんのセリフが入っていたんですが、実際のキャストの方々の声を聞いて「なるほど、こうなるのか!」という感動もありました。とても見応えのある作品になっていると思います。

琴音 原作の魅力はそのままに、より親近感が湧くような作品に仕上がっていると感じました。あとは、シーンごとに入れるべき音楽というか、映像にピッタリな楽曲が流れることで作品により深みが増している感じがして、改めて音楽の力ってすごいなと思いました。

――お二人は今作からどのようなメッセージを受け取りましたか?

Evan 先ほど「楽曲に愛のエッセンスを取り入れた」と話したように、やっぱり“愛の力で、世界を変えられる”というメッセージですよね。主人公の二人がひょんなことから出会ってお互いを好きになり、関係を深めていくことで長く続いていた悪い歴史が変わっていく。二人が人として向き合い、愛し合うことで現状を変えていくというのは、私たちが今いる世界にも必要なことというか。「人が人として愛の気持ちを持って接することの大切さ」みたいなものを感じました。

――琴音さんはいかがでしょうか?

琴音 私も原作を読んだ時から、愛の偉大さや平和への願いみたいなメッセージを強く感じていました。普段はあまりニュースを見ないというか、自分の中であえて情報をシャットダウンしているところもあるんですけど、今回この作品に関わることをきっかけに改めて向き合ってみようと思ったんです。そうしたら何というか、世の中が荒れてしまっているというか、大きなストレスを感じて攻撃性を増しているような空気を感じたんですよね。だけど、こんなにも純粋で真っ直ぐな作品を観ることでハッとさせられるというか。人によっては綺麗ごとと言われてしまいそうな愛や平和の大切さも「あぁ、確かにそうだったな」と思い出させてくれるような、そんな力のある作品だと思います。