地元を盛り上げてくれるアイドルの存在がうれしかった

――この世界を目指したきっかけについて教えてください。

日高優月(以下、日高) 私は今24歳なんですが、アイドルになったのはちょうど10年前の14歳で、中学3年生の秋でした。それまではこれといった夢を持ったことがないというか、たとえばお花屋さんになりたい、パン屋さんになりたい、看護師になりたい、とか思ったことが一度もなくて。あっても虎とかプリンセスとか(笑)、中学1年生までは忍者になりたいって思ったくらい、非現実的な夢しかなかったんです。自分が将来何になるかなんて想像もつかなかったし、何かに深く興味を示すこともなくて。でも、ある時いとこが芸能界に興味があるって言い出して、そこから自分も気になり出したっていうのがきっかけです。

――当時からアイドルに興味はありましたか?

日高 アイドル自体は幼い頃から好きでした。モーニング娘。さんとかAKB48さんを見て、「アイドルって可愛くて素敵な職業だな、何か良いな」とは思っていて。その流れで、地元ということもあってSKE48が好きになって、自分も一緒のステージに立ちたいと思い、中学3年生の夏にオーディションを受けました。

――SKE48のどのようなところに魅力を感じたのでしょう?

日高 地元をこんなに盛り上げてくれるアイドルグループがいるってことがうれしくて、身近な存在に感じていました。名古屋でモーニング娘。さんはなかなか見られないですし、AKB48さんも拠点は東京なので触れる機会も少なかったんです。でもある時、大きなフェスにSKE48が出演していて、全力のパフォーマンスを目の当たりにした時に「あ、私もSKE48になりたい!」って。

――地元のアイドル、という存在が大きかったのですね。

日高 はい。実は中学2年生の時に、仲が良かった1つ上の先輩が5期生のオーディションを受けて最終審査まで行ったと聞いたんです。その時に「こんなに身近にSKE48になれるかもしれない人がいるのか」と思ったら、なぜか急に自分も挑戦してみたくなって。それで、「次にオーディションがあったら受けてみよう」と。けっこう軽いノリではあったかもしれないです。

――それまで歌やダンスの経験はありましたか?

日高 クラシックバレエの経験はありましたけど、アイドルが踊るようなダンスでは全くなかったですし、歌も好きでしたけど自分ではそんなに上手ではないと思っていました。だけど、自分の可能性に賭けてみよう、みたいな感じで思いきりました。

――オーディションに合格されたのは、高校進学の直前ですね。

日高 そうなんです。私、中学2年生まではわりと成績が良くて、一応行きたい高校もあったんです。なので勉強も頑張っていたんですが、3年生になったらなぜか勉強のスイッチが切れてしまって、成績が急激に下がってしまったんです。そのタイミングでオーディションがあることを知って、受けたら合格したっていう。それまでは父親にも「ちゃんと高校に行ってほしい」と言われていたので、母には伝えていましたけど、オーディションに受かったことはギリギリまで話しませんでした。

――SKE48に受かったことを伝えた時の、お父様の反応はいかがでしたか?

日高 「自分がやりたいことを見つけてくれたのはうれしい」とは言ってくれたものの「できるなら学校と両立してくれたほうが安心する」とも言われて。アイドルになること自体はそこまで否定的でもなく、家族も背中を押してくれたんですけど、とにかく父は心配だったみたいですね。なので、高校にもちゃんと行きました。

――高校だけでなく大学にも進学されています。もともとその予定だったのでしょうか?

日高 いえ、全く。当初は高校を卒業したらSKE48に専念しようと思っていました。でも、やっぱり大学に行きたいって急に考えが変わって、入試の直前、本当に1ヶ月前とかになって進学を決めました。高校にもすぐ連絡して「やっぱり大学に行きます!」みたいな。行こうと思えば後からでも行けるのはわかっていましたし、自分のタイミングで行けば良いとも思ったんですけど、性格的に暇な時間をつくりたくないというか、毎日何かをしていたいタイプなんです。なので、本当にギリギリに決めた感じです。……なんだか私、いつも行動が急ですね(笑)。