「サリー楓」として発信を始めた理由

――楓さんはいつから女性として生活しているのでしょう?

楓 大学院に通っていたときにトランスジェンダーをカミングアウトして、女性として通学するようになりました。「性別を移行していきたい」と言うと、学校内ではすんなり受け入れられましたが、学校外ではたまにイジられるんです。「『どんだけ~!』やってよ」とか「新宿二丁目よく行くんですか」と言われたり。

――そんなことを言う人がいるんですね。

楓 そういう偏見を持たれることに違和感がありました。逆に、トランスジェンダーだと言っただけで「つらかったですね」と同情されることもあり、それにも違和感があって。「トランスジェンダーってこうだよね」というステレオタイプなイメージに自分を当てはめられるのが嫌でした。

――サリー楓名義で発信を始めた理由は?

楓 トランスジェンダーについて、どこか遠い世界の人たちといったイメージを持つ人は多いですが、実際は私のように普遍的な生活をしている方もたくさんいます。それを知ってほしくて、普段の生活をSNSや講演会で発信するようになりました。自分がロールモデルとなって、これからカミングアウトする方々の役に立てばいいなと思っています。

――『息子のままで、女子になる』は楓さんを追ったドキュメンタリー映画ですが、どのような経緯で制作されることになったのでしょう?

楓 トランスジェンダーのビューティーコンテストがあり、それに出場するため、スティーブン(※映画にも登場する本作のエグゼクティブ・プロデューサー)のトレーニングを受けていたら、ある日突然レッスンにカメラが入ったんです。スティーブンに「日々成長していく楓の姿を記録しないか」と言われて承諾し、それが映画になりました。