映画のタイトルに使われた「息子」という言葉

――映画はご両親に出演のオファーをするところから始まっていますが、そのときはどんな気持ちでしたか?

楓 映画に出てもらうとなるとジェンダーの話にならざるを得ないから、最初は嫌でした。今まで親と話すとき、わざとらしいくらいジェンダーの話題を避けていました。ギクシャクすることがお互いにわかっていたから。だけど、学生の方やその親御さんが映画を観たとき、一番気になるのは私の親子関係かもしれないと思い、出演してもらうことにしました。

――タイトルに「息子」という言葉が入っているので、親子関係ありきで制作された映画なのかと思いましたが、違うんですね。

楓 タイトルの『息子のままで、女子になる』はあとから知りました。私は、社会的には女子になったのかもしれませんが、映画の中で父が私のことを「息子だ」と言うんですね。

――その場面、楓さんのお父さんの表情が印象的でした。ものすごく葛藤されたのだろうな、と感じる表情で。

楓 世間は私からの距離が遠いから、私が女性として生活していたら女性として扱ってくれるけれど、親子だとそうもいかない。自分の子がいきなり「女性として扱って」と言っても、父としてはすんなり受け入れられないと思うんですよ。『息子のままで、女子になる』はそんな複雑さを表したタイトルなのかなと思います。私がつけたわけではありませんけど(笑)。