「LGBTを理解する人が正しくて理解できない人が悪い」とは思わない

――この映画をどんな人に届けたいですか?

楓 「LGBTなんてよくわかんない」と言う人にこそ届けたいです。そういう人たちを“わかってない人”として排除したり炎上させたりするんじゃなくて、一緒に学び合いたい。きっと、そういう考え方に至るまでにはそれなりの理由があると思うので。

――一緒に学び合うにはどうしたらいいと思いますか?

楓 お互いに関心を持つことだと思います。今「LGBTフレンドリー」という概念が広まりつつありますが、多くの人はまだまだLGBTに無関心だと思うんです。無関心だからこそ「まぁ、そういう人たちもいていいんじゃない」と簡単に言える。だけど映画のとおり、私の父は無関心じゃないんですよ。自分の子だから、真剣に考えて考えて、そのうえで私のことを「息子だ」と言うんです。

――真剣に向き合っても、「娘だ」とはならなかったんですね。

楓 私は「LGBTを理解する人が正しくて理解できない人が悪い」とは思いません。父のように、真剣に考えた上でそれでも理解できないことだってある。そういう人たちと共に学び合えなければ、それは本当の意味での多様性に反するし、もったいないことだと思います。

――最後に、ティーンへのメッセージをお願いします。

楓 みんなが自分のまま生きられるようになればいいなと思います。人間は社会的な生き物だから、「これって普通はしないかな」とか「変だと思われないかな」とか、人の目が気になるのは当たり前。“普通”に合わせて自分を変えたほうがラクだったりもします。逆に、個性が求められる現代では、人とは違った「自分らしさ」を演じるために必死になることもあると思います。だけれども、無理して頑張らなくても保てる「自分らしさ」があるのだとすれば、それが本当の自分らしさですよね。

Information

『息子のままで、女子になる』
2021年6月19日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

サリー楓 Steven Haynes 西村宏堂 JobRainbow 小林博人 西原さつき / はるな愛
制作・監督・撮影・編集:杉岡太樹
エグゼクティブプロデューサー:Steven Haynes
監督助手:新行内大輝
撮影:新行内大輝、小禄慎一郎
リレコーディングミキサー:伊東晃
テキスト:舩木展子
ヴィジュアルデザイン:ヒノキモトシンゴ
配給:mirrorball works 配給協力:大福
宣伝:大福、大西夏奈子
音楽:tickles、yutaka hirasaka、Lil’Yukichi、Takahiro Kozuka、Ally Mobbs、ruka ohta
106分/日本語・英語/カラー
©2021「息子のままで、女子になる」

公式サイト

サリー楓(さりー かえで)

ファッションモデル/建築デザイナー

1993年、京都生まれ、福岡育ち。ファッションモデル、建築デザイナー。ブランディング事業を行う傍ら、トランスジェンダーの当事者としてLGBTQに関する講演会も行う。建築学科卒業後、国内外の建築事務所を経験し、現在は建築のデザイン、コンサルティングを行う。2017年、慶應義塾大学大学院在学中に社会的な性別を変え、建築やブランディングからモデルまでに及ぶ多岐にわたって活動するトランスジェンダーとして注目されている。パンテーン CM「#PrideHair」起用や「AbemaTV」コメンテーター出演も話題に。

Photographer:Masahiko Matsuzawa,Interviewer:Saki Yoshitama,Hair&Make:TAYA