幼少期からの読書習慣が作家としての仕事に繋がった
――ニシダさんは帰国子女で、幼い頃はドイツとスペインに住んでいた経験もあると伺いました。
ニシダ そうです。父親の仕事の関係で転勤になり、幼稚園の年長から小学校2年生の頃まではドイツにいて、小学3年生から小学5年生の頃までは、スペインにいました。転校が多かったので、周りと長期的に深い関係を築けなかったのは、今の人間性に影響を与えているのではと思います。
――幼なじみの方はいるのでしょうか?
ニシダ いないですね。山口県で生まれてすぐ、神奈川県などに父親が転勤していたし、旧友や親友がずっといる環境ではなかったんです。だから、ここが地元という感覚のある場所もないんですよ。小学6年生からは鎌倉市で暮らしていて、住んでいる時期が一番長かったので、しいていえば地元かな。でも、そこまで思い入れがあるかと言われるとないです(笑)。
――中学校時代や高校時代は、どのような学校生活を送っていましたか?
ニシダ 藤沢市にある中高一貫の男子校に通っていました。6年間、バレーボールをしてましたけど、今でも仲がいい友達がいるわけではなくて。そこもまた、幼少期に転校が多くて、深い人間関係を築くのが苦手な自分の「何か」が出ていると思います(笑)。初対面の人と、仲良くなる初速は速いんですよ。当たり障りない会話をするのは、得意というか。でも、そこから深い関係になるのは今も苦手です(苦笑)。
――特技が「読書(年間100冊読む)」というのは、そうした部分と関係していそうです。
ニシダ そうですね。友達が少なかったのは、絶対に関係していると思います。小学校時代から読書が好きで、当時は『かいけつゾロリ』や、流行っていた『ハリー・ポッター』シリーズ。『ダレン・シャン』などを、図書館で読んでいました。今も、テレビやYouTubeなどの娯楽がたくさんある中で、読書が一番好きです。勉強するのではなく、純粋に楽しんでいます。
――小学校から高校時代にかけての経験が今、役に立っていると思う場面はありますか?
ニシダ 読書は確実に生きていて、Web小説サイトや文芸誌で作家としてのお仕事をいただけるようになったのは、当時の経験があったからだなと思います。小説が多くて、中学時代は『太宰治全集』をひと通り読んだし、今でも好きな小川洋子さんの『博士の愛した数式』なども読んでいました。あと、お笑いも好きでしたね。小学校時代は海外に住んでいましたが、日本のテレビを観られるシステムがあったんです。ネタ番組全盛で『笑いの金メダル』や『爆笑オンエアバトル』を観ていたし、コント番組『笑う犬の冒険 SILLY GO LUCKY!』、『めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!)』も現地で観ていました。