思わず笑ってしまうほどの「明るい」撮影現場

――本作では、早朝出社と終電帰りの長時間勤務も強いられるような厳しい「営業部」の環境下で、泥臭く不器用ながらも一生懸命に生きる「社畜OL」のちえ丸こと築丸ちえ子を演じます。初めに、主演のお話を聞いた当時の心境から教えてください。

玉城ティナ(以下、玉城) 今までに私自身が演じたことのないキャラクターで、そうした役柄に挑戦できるのはありがたかったです。脚本を読ませていただいて、元気づけられる描写が多かったので、立体的に演じてみたいと思いました。

――お話にあった脚本をいただいた段階では、どのような感想を持ったのでしょう?

玉城 私は実際、一般企業で働いた経験はありませんが、仕事をひたむきに真面目に頑張っていきたい気持ちはちえ子と一緒だなって。そこで打ちのめされたり、上手くいかなかったりすることもありますけど、ネガティブに描くのではなく、コミカルな要素で描くことにより、私自身もちょっと救われる気持ちになれたので、演じることでもっとたくさんの人にそうした気持ちが広がっていくんじゃないかと思いました。濃いキャラクターも登場しますけど、ただ濃いだけではなく、人間味があって現実味があるところも好きでした。

――実際の撮影現場では、何を思いながらちえ丸を演じましたか?

玉城 実際のご本人と、作品としては似ていく必要はないのかと思って。私の要素が入ってもキャラクターとして肉付けできればと思ったので、ご本人を強く意識したわけではないです。撮影中にお会いできる機会があって、ご挨拶もさせていただいたんですが、作品内の「毎日を一生懸命生きているちえ子を、どう演じようか」ということに、重きを置いて考えていました。ちえ子は底抜けの明るさがあって、でも、本人はそれを真剣にやっているのは作品のおかしさでもあるので、脚本に書かれていることを忠実にやっていこうと心がけていました。

――共に新入社員役の望月歩さんや、母親役の鶴田真由さん、部長役のコウメ太夫さんや、ちえ丸を励ます自称ミュージシャン役の大橋彰(アキラ100%)さんなど、個性的な共演者が多い印象。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

玉城 作品へ入る前に1日、本読み(出演者同士で行う脚本の読み合わせ)の機会をいただいて。現場に入るまではみなさんのお芝居をどう受け止めて演じようかと不安がありました。でも、本読みやリハーサルの段階からみなさん優しくて、「僕はこう」「私はこう」というのも一切なく、柔軟性の高い人の集まりになっていたのでやりやすかったです。リハーサルでボルテージマックスくらいまで「こうやっていきます」とみなさんのスタンスも見られたので、終わってから自分でも調整して、本番に臨みました。だから、撮影中は不安もありませんでした。反対に笑ってしまい、NGになってしまったことも何度かありましたけど(笑)。それほど明るい現場でした。

――作品内では、撮影現場の空気を受けたコミカルなシーンなども目立ちそうですね。

玉城 (インタビュー時点では)クランクアップ直後なので、映像がどうなるか私も楽しみです。新しい映像の切り取られ方だった印象はあって、本作ではモノローグ(独白)も多いので、ちえ子の「心の声」にクスっとしていただけるんじゃないかと思います。おかしな出来事が起きたとき、その声がツッコミにもなっているのでスッキリする内容になっています。