コロナ禍を経てようやく実現した写真集は「旅行気分」で楽しめる
――写真集の構想が生まれたのは「約3年前」だったそうですね。
深川麻衣(以下、深川) 1stソロ写真集『ずっと、そばにいたい』(幻冬舎)を出版した当時は20代半ばで、30代を迎えるにあたり「好きな方々と一緒に形に残る作品を作りたい」と思ったんです。その思いをマネージャーさんに相談したのが発端でした。でも、いよいよ撮影に行けるとなったタイミングでコロナ禍となり、一時は企画が止まってしまったんです。社会の状況を見つつ、企画がもう一度動き出して、2022年7月にようやく撮影が実現しました。
――沖縄での撮影となりましたが、他の候補地も考えていたのでしょうか?
深川 当初は、モロッコの予定でした。ずっと行ってみたかった場所で、異文化の集まる空気に刺激をもらえるのではないかと思ったんです。でも、海外での撮影は厳しいと判断して、国内なら「どこか?」と考えて、決まったのが沖縄でした。1stソロ写真集は、まだ肌寒い時期に石川県金沢市で撮影したので、せっかくなら反対のイメージがある場所にしたかったんです。コロナ禍の自粛期間でふさぎ込むこともあったし、「見ている人が温かい気持ちになれるような場所」にと考えて、沖縄に決めました。
――タイトルを『Free Mind』とした経緯も聞きたいです。
深川 すごく迷いまして、撮影中に「どんなのがいいと思いますか?」とスタッフの方と案を出し合って、自分のスマホに色々な言葉をメモしていたんです。でも、どれも決め手に欠けていて、悩んでいたら(カメラマンの)川島小鳥さんが「Free Mindはどうですか?」と提案してくれました。単語の頭文字「F」と「M」が私のイニシャルと重なりますし、言葉から連想される「自分がこうありたいという心の持ちよう」という意味が写真集の世界観に合っていたので、即決でした。
――テーマは「沖縄4泊5日旅」。石垣島、竹富島は満喫できましたか?
深川 過去に、お仕事やプライベート旅行で沖縄に行ったこともあるんですけど、巡ったことのない場所にも行けたし、すごく楽しかったです。珊瑚の砂浜へ行ったり、人生で初めてイルカと接したり。到着したときは「仕事モード」の緊張感がありましたけど、撮影中は旅行気分でいっぱいでした。おいしいご飯を食べているときの表情とか、30年以上生きているのに「こんな顔もあったんだ」と、自分でも驚くほどリラックスしている姿を切り取っていただきました。
――読者の方も「旅行気分」を味わえそうです。
深川 石垣島や竹富島は時間の流れがゆっくりで、温かく、おだやかでした。その空気感が読者の方に伝わればいいなと思います。現地の風景を楽しみながら、一緒に旅行へ行った感覚でリラックスしてもらえたらうれしいです。