70年代の価値観にビックリ!
――昨年上演して話題を呼んだ、「INDESINENCE」のシリーズ作品「INDESINENCE Case:Beautiful Vermilion Ways」に出演されます。三田さんは、苦境に立たされる人達のために動く組織“タリオ”のメンバー、南上宮陽子を演じられますが、キャラクターについてどう感じていらっしゃいますか?
三田麻央(以下、三田) 陽子と私は似ているところがあるので、ついついそこに引っ張られてしまい、舵取りが難しくなる時があります。すり合わせをしながら、南上宮陽子になれるように頑張っています。
――どんなところが似ていらっしゃるのでしょうか?
三田 真面目過ぎる故に突き進んでしまうところ、強い女性に憧れているところですね。陽子は復讐のために生きているキャラクターなので、私とは背景が全く違いますが、こうありたいと思う姿やビジョンは似ている気がします。
――ご自身にとっても魅力的なキャラクターですね。
三田 素敵だな、こういう女性でありたいな、かっこいいなと思います。
――ストーリーの注目ポイントを教えてください。
三田 70年代の昭和が舞台で、今とは価値観が全く違います。当時は、女性が下に見られていて、女性蔑視の言葉や態度を見たりすると、女性が働くのは本当に大変だっただろうなと思います。先人の努力を思うと自然に「頑張ろう」という気持ちになりました。タバコとお酒の匂いが入り混じった大人な雰囲気のシーンは、演出家の方に「今だったらありえないけど、あの頃はこれが当たり前の空間だから。めちゃくちゃ格好つけて演じてください」と言われて。昔のトレンディードラマは、ハードボイルドというか、恰好つけたもん勝ちみたいなところがありますよね。そのこだわりに乗っかろうと、頑張って格好つけました(笑)。
――いつもと違う三田さんが観られそうです。
三田 新しい私を見ていただけるのではないかと思います。
――「INDESINENCE Case:Dry Crimson Thistle」(※以下、「Case:Dry」)と「INDESINENCE Case:Beautiful Vermilion Ways」(※以下、「Case:Beautiful」)の2作連続上演ということで楽しみ方の幅が広がりそうです。どのような観方をしてほしいですか?
三田 2つとも「INDESINENCE」の続編なので、登場人物は同じですが、「Case:Beautiful」は復讐劇、「Case:Dry」は学生運動でストーリーが異なりますし、演じる役者も違います。演出家さん曰く「Case:Beautiful」はライトで、「Case:Dry」はドロドロしているそうです。同じ登場人物でも全く違う楽しみ方ができるので、パラレルワールドに入った気分で楽しんでいただきたいです。
――違う世界感が目の前で楽しめるのは、舞台ならではの演出ですね。
三田 演出家さんの解釈で生まれた巧みな世界が秀逸で、「こう来る?こんな感じでつなげるの?」と感激しました。舞台を観慣れている人でも「うわー!」と純粋に楽しんでいただけると思います。
――現場で印象に残っているエピソードはありますか?
三田 コロナ禍でご飯もご一緒できないから、共演者の方がどんな人なのか、お互いよく分からない状態で芝居を始めましたが、その分、現場では「こんなお茶目な部分がある人なの?」と新鮮な驚きがたくさんありました。芝居中はバチバチしているけど、一回カットがかかれば和気あいあいとした雰囲気で。お芝居のキャリアが長い方もたくさんいらっしゃいましたが、「何かあったら言ってね」と、皆さんとても気さくでした。殺陣の練習を含めてたくさんの方に支えていただき、本当に素敵なチームでした。」
――普段から体力づくりのためにしていることはありますか?
三田 仕事でトレーニングをしている以外は、たまに走る程度です。体力づくりというよりも「走っている自分が格好いい」と思って始めました(笑)。「朝、走ってます」って言えたら格好いいじゃないですか。
――どれくらい走りますか?
三田 15分間全力で走って、15分かけて歩いて帰るようにしています。
――15分間全力で走るのはきつそうですね。
三田 きついけど、坂があっていいコースなんですよ。有酸素運動のために、帰路は早歩きをしています。
――もともと運動は好きなほうですか?
三田 むっちゃ苦手です(笑)。家が大好きでこもりがちなので、趣味として始めました。
――三田さんは通る声が印象的ですが、特別なケアはされていますか?
三田 全然してなくて、叫ぶ時だけケアをするくらいですね。もともと強いんだと思います。親に感謝です(笑)。
――グループ時代は大人数で活動することが多かったですが、その経験がお芝居に活かせていると感じることはありますか?
三田 めちゃくちゃあります。グループ活動を経て、団体行動が得意になったし、舞台に立つことにも慣れました。でも、お客さんの前では緊張しないのに、稽古場で初めて共演する方とお会いする時は緊張します(笑)。