難しい題材を分かりやすくおもしろく描いた作品。アンヌを通して一緒に楽しんでほしい
――今回、日本版の「マリー・キュリー」に出演されるお気持ちはいかがですか?
清水くるみ(以下、清水) 「マリー・キュリー」は、小学生の頃に伝記を読んだことがあり知っていましたが、正直うろ覚えでした。史実では「マリー・キュリー」自身は、亡くなるまでラジウムが人体に害があることを公には認めなかったのですが、この作品のラストはまた違った描かれ方をしています。日本ではミュージカル作品を通して勉強される方も多いので、割と事実に基づいて作っている作品が多いと感じています。韓国版「マリー・キュリー」はエンターテインメントとして作りこまれていて、日本のミュージカルとは違った良さがありました。日本版の「マリー・キュリー」は、もしもマリーがアンヌに出会っていたらこうなっていたのではというニュアンスを含めた作品です。日本でも受け入れてもらいやすい内容になっているので、今からどんな反応をいただけるのかとても楽しみです。
――脚本を読んでみてこの作品のおもしろさはどこにあると感じられましたか?
清水 正直最初は「なんだか難しそうな作品だな」と感じたのですが(笑)。ラジウムや放射線など、「マリー・キュリー」が成し遂げたことは難しいと捉えてしまいがちだと思うんです。それをミュージカルにすることで「マリー・キュリー」という人物の一生を、分かりやすく、ドラマチックに伝えられそうだなと感じました。また、私が演じるアンヌもマリーのしていることや専門的なことが分からない役柄なので、分からないながらも教えてもらい理解していくというか。分かりやすいストーリー展開とすてきな音楽、劇的なラストという構成もおもしろいです。
――今回のミュージカルの曲の特徴について教えてください。
清水 曲は全体的にとても難しいです!(笑)曲の拍子が全て違っていて、とても早いリズムで歌う曲もあれば、ゆったりと歌う曲もあって曲調が全く異なるんです。同じ曲中で拍子が変わるものもあります。歌い手には難しいけどキャッチーなので、聴き手には心地良くて耳に残るメロディーだと思います。もしかするとミュージカルを観終わった後、歌ってしまいそうになる方もいるかもしれません。
――アンヌを演じる上で意識していることはありますか?
清水 最初は韓国版というお手本があるので、そのキャラクターをなぞって演じたほうがいいと思っていました。ですが、演出家の鈴木裕美さんとディスカッションして、もう少し違うキャラクターにしたいという話になったんです。韓国版のアンヌは飛び抜けて元気というわけではなく……たとえるなら、クラスで5番目にスポーツができる生徒のイメージです。クラス全体を引っ張っていく!みたいなタイプとは違いました。なので、私が演じるアンヌはもう少しお転婆で、元気が良くて活発。マリーとは対照的な存在になるように演じたいなと思っています。マリーが学校で一番勉強ができる生徒なら、アンヌは一番スポーツが得意な生徒みたいなイメージですね。
――主演の愛希れいかさんと共演してみていかがでしたか?
清水 愛希さんとは同じ事務所というのもあって、イベントでご一緒させてもらったり、プライベートで食事に行ったりと交流がありました。だから今回一緒にお芝居をすることになって、不思議な感じです(笑)。共演は初めてだったので「稽古場の愛希さんってこういう感じなんだ!」と新鮮でした。愛希さんがスカートなどの稽古着を着て稽古されているんですけど、逆に私はスポーティーな格好で、それもマリーとアンヌっぽくて。この正反対だけど自然な雰囲気が楽しかったです。
――これから本格的な稽古に入られると思いますが、現時点での見どころを教えてください。
清水 やっぱりミュージカルなので、音楽がとてもすてきで、メロディーを聴くだけで泣きそうになる曲もあります。また「マリー・キュリー」が難しい研究をしていた偉人なので、ミュージカルも難しそうなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはないと伝えたいです。分かりやすいストーリーと耳に残る音楽が融合した、おもしろくて興味深いミュージカルです。私が演じるアンヌもラジウムや放射線など科学のことが分からない役なので、アンヌを通して観客の皆さんもマリーの功績や研究を分かってもらえるのではと感じています。「難しそう」と迷わずにぜひ観に来ていただけるとうれしいです。