共演相手との小まめなコミュニケーションで不安要素を解消する

――『犬、回転して、逃げる』が映画初主演となります。オファーがあった時は、どんなお気持ちでしたか?

長妻怜央(以下、長妻) 初めての主演だったので、すごくうれしかったです。正直、不安も感じましたが、いただいた台本が面白くて、好きな内容だったので「演じてみたい」という気持ちのほうが強かったです。

――長妻さんが演じたカフェ店員の木梨栄木は、泥棒という裏の顔もありますが、前半と後半ではキャラクターの印象が違いました。役作りで意識したことはありますか?

長妻 几帳面な性格など、キャラクターの要素をフックに手探りで模索しながら、少しずつ役のイメージを掴んでいきました。

――几帳面な部分などご自身に通じる部分がありましたか?

長妻 僕はA型なんですが、この間、お掃除をする企画に出た時に、木目に沿って床を拭いている自分に気づいて、「几帳面なのかな」と思ったりしました(笑)。でも、普段はまったく無頓着なので似てないですね。

――部屋は頻繁に掃除するタイプですか?

長妻 掃除をする時は頑張るけど、面倒くさい気持ちのほうが勝つので……。できるだけ部屋には物を置かず、掃除の回数を減らせるようにしています。

――監督とはどのようにコミュニケーションをとりましたか?

長妻 監督は役者に委ねてくれる方で、僕から聞くと答えてくれるんです。「ここはもうちょっと感情的になったほうがいいですか?」「いや、自然体でいいと思うよ」など、答え合わせをすることは多かったです。

――長妻さんは普段から監督には相談されるほうですか?

長妻 僕はどちらかというと、監督よりも共演者に相談するほうが多いですね。演技は相手役の方とお芝居をやって成立するものなので、小まめにコミュニケーションをとりながら、不安要素を解消するようにしています。

――コメディ映画らしい独特の間(ま)がありました。

長妻 セリフの間を取るのは難しかったですね。特に、なだぎ(武)さんと二人のシーンのやり取りはタイミングを掴むのに苦労しました。正解がないので、なだぎさんと「こういう感じですかね?」と模索し合って進めました。

――現場の雰囲気はどんな感じでしたか?

長妻 意外と淡々としていました。バタバタしたのはダンスシーンぐらいで「これでいいんですか?」って思うぐらいに淡々と進んでいって、「大丈夫かな」と思いましたが、最終的には素晴らしい作品に仕上がりました。監督の頭の中でちゃんと設計されていたんですね。