「夢幻クライマックス」で作家として認められた感じがあった

――大好きなハロー!プロジェクトの新旧グループにも楽曲提供をされていますが、今回は「GIRL ZONE」 (雨ノ森 川海)と「夢幻クライマックス」 (℃-ute)をセルフカバーされました。

大森 雨ノ森 川海は、BEYOOOOONDSから生まれたユニットですが、BEYOOOOONDS自体が自由にいろんな音楽を楽しくやろうというグループで、攻めたことをたくさんしているんです。いつもだったらハロー!プロジェクトさんからは、大森靖子っぽさをなくしてくれという方向のオーダーをいただくんですけど、「GIRL ZONE」に関しては初めて「バッキバキに大森靖子節をください」と言われて。それだったら、自分の曲の「GIRL’S GIRL」の中学生バージョンみたいな曲を作ろうと思って、女の子の「ここが本当に認めてほしい乙女心なんだよね」みたいなところを書きました。

――「夢幻クライマックス」は後期℃-uteの代表曲としてファンに愛されています。

大森 この曲は完全に鈴木愛理さんのボーカルを生かせるような音の運び方で書きました。鈴木さんはなだらかに歌う方で、トゲを出したり、リズムを立てたりしないんです。なので音階を動かしたほうが上手さも引き立つし、自分の聴きたいものだなと。それで速くてメロディの動きまくる歌いにくい曲を鈴木愛理さんのボーカルで書こうと思いました。もともと℃-uteさんじゃなくて、同じく鈴木さんの所属するBuono!さん用にオファーをいただいて書いた曲なんですけど、℃-uteさんにいいんじゃないかというお話をいただいて。ちょうど℃-uteさんの解散が決まった時期で、そのために歌詞を書き直したのもあって、思い入れのある曲です。この曲を出したことによって、作家として認められた感じがあったんです。

――セールスとしても好成績を記録しましたしね。

大森 それまでは「ちょっと尖ったアーティスト」という見え方がすごく大きかったんです。その評価も嬉しかったんですけど、楽曲提供ができるようになりたい、プロデュースをやりたいというのがメジャーデビューしたときからの目標だったので、初めてそれが認められた感じがしましたし、転機になった曲です。

――約7年前、大森さんがメジャーデビューを発表した直後にインタビューさせていただいたときも、アイドルに楽曲提供をしていきたいと仰っていたのを覚えているのですが、どうしてですか?

大森 昔からアイドルさんは好きだったんですが、自分自身がアイドルになりたいと思ったことは一度もなくて、私は小室哲哉さんとつんく♂さんが憧れの人なので、そんな風になりたいなと思っていたんです。

――小室哲哉さんとつんく♂さんの、どういうところに憧れたのでしょうか?

大森 90年代前半は、「可愛いなんてダサい」みたいな風潮があったような記憶があって、かっこよくてアーティスト然とした方しか認められなかった時代だったと思うんです。でも小室さんのプロデュースした人たちは、可愛いままで輝いていて、それは音楽がかっこよかったのも大きかったんですよね。本当に偉大な方ですし、小室さんありがとうという気持ちです。つんく♂さんも、洋楽のリズムを歌えるボーカリストを育てたいという気持ちを持って、当時の若い世代の女の子をプロデュースしてくださったことって、すごく日本の音楽界においてポップスの素養になったと思います。そういった文脈的なことは後で気づいたんですけど、カラオケで歌って楽しいのは小室さんとつんく♂さんの曲で、歌ううちに自然と多くのことを学んで。それが楽曲提供をしたいという気持ちに繋がっていったんです。

大森靖子のアーティスト・クリエイターとしての幅をより知ることのできる『PERSONA#1』を堪能してほしい。

Information

大森靖子
初の提供曲セルフカバーアルバム
『PERSONA #1』
avex trax
2021年7月7日リリース

<通常盤>
価格:3,300円(税込)

1.PERSONA
2.GIRL ZONE (雨ノ森 川海)
3.瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん) (相坂優歌)
4.EIGAをみてよ (道重さゆみ)
5.WHO IS BABY (道重さゆみ)
6.14才のおしえて (ずんね)
7.LADY BABY BLUE (The Idol Formerly Known As LADYBABY)
8.うんめー (ゆるめるモ!)
9.°*。:° (*’∀`*) °:。* ぴかりんFUTURE °*。:° (*’∀`*) °:。*(椎名ひかり)
10.夢幻クライマックス feat. MIKEY(東京ゲゲゲイ) (℃-ute)
11.KILAi STAR LIGHT (道重さゆみ)
12.stolen worID
13.Rude

公式サイト

大森靖子

超歌手

愛媛県出身。美大在学中に音楽活動を開始し、2014年avex traxからメジャーデビュー。自身の音楽活動は元より、執筆・楽曲提供、プロデュースと活動は多岐にわたる。又、メンバーと共にステージに上がりながらプロデュースするグループ「ZOC」も2021年1月にavex traxからメジャーデビューし、全プロダクトにおいて精力的な活動を展開中。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi