大人になって高校生を演じることへの意識が変わった

――萩原さんは現役の高校生時代から、多くの高校生役を演じてきましたが、『Bitterand』を撮影した2019年は二十歳を迎えた年です。その年で高校生役を演じることに変化はありましたか?

萩原 どんどん難しさは増えていきますね。自分が高校生の時に高校生役を演じるのはリアルなことなので、そこまで意識しなくてもよかったということを19〜20歳になって気づきました。そのきっかけになった現場が『アイネクライネナハトムジーク』(2019年)という映画です。今泉力哉監督から「もっと高校生って柔らかい」とご指摘いただいて、そのときに制服を着ているだけでは高校生に見えないんだという気づきがありました。

――『アイネクライネナハトムジーク』の萩原さんは、すごく生々しく高校生を演じているなという印象でした。

萩原 ありがとうございます。今泉監督に言われたことで、年齢を意識できるようになったというか。高校生と一括りにしても、15歳と18歳では全く違うじゃないですか。高校1年生と高校3年生では、1年1年の重みが違いますし、高校を卒業して大人になったとき、それを感覚ではなく、演技で作っていかないと、高校生として存在できないんだと考えるようになりました。

――井上祐貴さんと共演して、どんな役者さんだなと感じましたか?

萩原 一言でいうと、いい人です(笑)。なんか薄っぺらい表現に聞こえてしまいますが、本当にいい人でした。真面目だし、ちゃんとお芝居に向き合って、常に全力なんです。その姿を僕らは間近で見ていて、引っ張られるものがありましたし、まさしく“座長”という存在感がありました。みんな井上君を見て、もっと頑張ろうと思っただろうし、井上君を中心に『Bitterand』の撮影は進んでいきました。僕自身もすごく頼りにしていました。

――過去に井上さんを取材した際に感じた真摯さは、『Bitterand』で演じた吉原暁人に共通するものを感じました。

萩原 そうですね。真っ直ぐさが井上君自身と暁人にマッチしていたなと感じました。もっと撮影期間があれば、たくさん砕けた話もしたかったんですけど、井上君は一人のシーンも多かったので、他の共演者と同じように話せなかったのが残念です。