日本にこんな素晴らしい俳優がいるんだということを世界に広めていきたい

トークがどんどんと盛り上がっていく中で、濱口監督、三浦透子、霧島れいかの3人が、7月6日から開催されるカンヌ国際映画祭に参加することを発表。

西島は残念ながら予定が合わず、国内に残ることになったのだが、カンヌに出発する3人に向けて、「世界中の人の反応が知りたい。意外な反応などもあると思うので、この映画がどのように世界の人の目に映ったのか。是非聞かせてほしいです」と、熱いメッセージを送った。

濱口監督は「本当に西島さんあっての映画なので、そのお披露目の場に西島さんがいないのは、正直に寂しいという思いです」と話し、それだけに「日本にこんな素晴らしい俳優がいるんだということを世界に広めていきたい」と、改めて意気込みを述べた。

三浦は「どんな場所なのか楽しみで、いろんなものを目に焼き付けていきたい」と喜びを語り、霧島も「今からワクワクが止まらないです」と満面の笑みを浮かべた。

記者から濱口作品の魅力を聞かれた西島は「今という時代を生きる人たちの心の中をちゃんと映した作品」として、「人と人はどうしても気持ちが繋がりきれずに、相手のことが分からないところがある。特に断絶が広がっていると言われている現在、濱口監督はそういった現実を真正面から描きつつ、最後は言葉を紡ぎ続けることで辛い現実を乗り越えようとしている」と、素直な気持ちを述べた。

三浦も濱口監督の作品の魅力は「言葉の力にある」と分析。「普段の濱口監督も丁寧に言葉を選んで話される方で、そういう濱口監督が時間をかけて選んだ言葉のパワーが、登場人物たちの台詞一つひとつに常に宿っていると思います」と語った。

霧島も「とても繊細な言葉を慎重に選んで、映画の中で真実を突いてくるような印象です。人生で見つけられない何か大切なものを見つけてくれるような、私たちを導いてくれる力がある」と、監督の言葉を賞賛した。

原作者の村上春樹にどのような思いを伝えたいのかと問われた西島は、「個人的に高校生の時からずっと作品を読んでいて、村上春樹さんのファンでした。村上さんの小説を自分が演じることがあればと、いつもどこかで考えていました」と感慨深げに語った。

さらに西島は、「かつて村上春樹さん原作の市川準監督の『トニー滝谷』(2004年)という映画でもナレーションを務めたこともありますが、今回の『ドライブ・マイ・カー』の話をいただいた時はどうしても自分で演じたいと思った。毎日全身全霊を込めて演じたのでとても幸せです」と、熱量を込めて述べた。

濱口監督も、「村上春樹さんに試写会のご案内をお送りしたところ、『一般公開された時に地元の映画館で観ます』というお返事をいただきました。映画化の許諾を得る際に、原作と映画とでは細部のディテールが異なることはお伝えしたのですが、実際に村上さんが映画をご覧になられて、どう感じられるのか、非常に楽しみです」と答えた。

キャストたちが監督の演出に絶大な信頼を寄せる『ドライブ・マイ・カー』。カンヌ映画祭の現地で世界中の人々が本作にどのような反応を示すのか。否が応にも期待が膨らむ壮行会イベントとなった。

Information

『ドライブ・マイ・カー』
8月20日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

西島秀俊
三浦透子 霧島れいか /岡田将生
原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集『女のいない男たち』所収/文春文庫刊) 監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介 大江崇允 音楽:石橋英子
©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
配給:ビターズ・エンド

妻との記憶が刻まれた車。孤独な二人が辿りつく場所――。驚異的なストーリーと胸に迫る演技が導く、心突き動かされる圧巻のラスト!俳優であり演出家の家福は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。原作は、村上春樹による珠玉の同名短編小説。この作品に惚れ込み映画化を熱望、自ら脚本も手掛けるのは、いま世界が最も熱い注目を寄せる気鋭・濱口竜介監督。主演を務めるのは日本映画界に欠かせない名優、西島秀俊。みさきを三浦透子が演じるほか、岡田将生、霧島れいか、と実力派俳優陣が集結した。

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