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可愛い動物たちと撮影できることにワクワク

——『犬部!』は北里大学の獣医科大学生が立ち上げた実在のサークル「犬部」をモデルにした映画ですが、脚本を読んでどんな印象を受けましたか?

大原 犬部は青森県十和田市で行き場を失った犬と猫を保護して、草の根運動で里親募集や譲渡会を行っていたのですが、まずは原案の「北里大学獣医学部 犬部!」を読ませていただいて、すごくテーマの深い作品だなと思いました。現場に入る前から、この作品に携われることに、とてもやりがいを感じていました。脚本を読んでみると、原案よりホッコリしたり、ちょっと笑えるシーンがあったりして、いい意味での軽さというか、コミカルさがある作品だったので、より楽しみな気持ちが強くなりました。

——撮影は舞台となった十和田市で行われたそうですね。

大原 はい。十和田には1カ月くらいいました。夏でしたけど、ちょっと涼しい感じでした。

——十和田での撮影はいかがでしたか?

大原 自然あふれる十和田の良さを感じながらの撮影は、すごく気持ちよかったですし、実際に犬部が活動していた場所ということで、よりリアルさを感じられました。

——撮影以外で街を歩いたりする機会はありましたか?

大原 コロナ禍だったので、外出は控えていましたが、テイクアウトで地元の味を楽しんでいました。

——北里大学でのシーンもふんだんにありますが、大学構内の雰囲気はどんな感じでしたか?

大原 とにかく大きいなと思ったのと、いろんな動物の鳴き声が聞こえてきて、不思議な感じでした。私が通っていた大学とは全然違う雰囲気でしたね。

——もともと動物好きだそうですね。

大原 ネコも犬も大好きです!大好きな動物を題材にした映画なので、可愛い動物たちと撮影できることにワクワクしました。

——大原さんが演じた佐備川よしみと、大原さん自身に共通点や共感する部分はありますか?

大原 台本を読んだときに、学生時代は男性に混ざって犬部のネコ担当として活発に活動している女の子、大学卒業後は命を扱う職に就いてらっしゃる方ということで、どこか男勝りでガッツのある女性という印象を受けました。私も仕事に対してはガッツがあるほうだと思いますし、ちょっと男勝りな部分もあるので、そういう部分は似ているのかなと思います。

——確かによしみは男性陣の中にいても強い存在感を放っていました。林遣都さん、中川大志さん、浅香航大さんが犬部のメンバーですが、現場はどんな雰囲気でしたか?

大原 みなさん普段から気さくな方々で、現場もピリピリせずに和やかでした。大志くんは共演が3回目になるので気心が知れていましたし、浅香さんも2回目の共演というのもあって、私自身リラックスして現場に臨めました。

——劇中では犬部から16年後の時代も描かれますが、学生時代と社会人になってからの演じ分けが素晴らしかったです。

大原 よしみに限らないですが、一人の人間の成長を見せられる役だなと感じていて。学生時代のよしみと、30代になったよしみの差をつけるために、お芝居のトーンを変えましたし、ヘアメイクや衣装といった外見的なものは、スタッフさんと相談しながら決めていきました。

——学生時代のよしみは天真爛漫ですけど、大人になってからは大学の研究員として落ち着いた雰囲気が漂っていました。

大原 学生時代はキャピッとしているというか、元気印な感じで演じました(笑)。

——篠原監督から役作りの上で要望などはありましたか?

大原 篠原監督は役者の芝居を大切にしてくださる方でした。アドバイスにしても最初からするというよりは、まず演技を見てから、ああしていこう、こうしていこうとお話を進めていく感じだったので、私たちに任せてくださっている感がありました。

——動物たちとの絡みはいかがでしたか?

大原 やっぱり動物の演技は動きの予想がつかないので、それぞれ臨機応変にお芝居をするように意識していました。

——先ほどネコと一緒に撮影をしていただきましたが、なかなかカメラ目線をしてくれなかったですしね(笑)。

大原 そうでしたね(笑)。でも、可愛いワンちゃんネコちゃんといっぱい出会えたので、楽しかったですし、いっぱい癒されました。あと、ワンちゃんのお芝居には驚かされました。スタッフさんの指示をよく聞いて、見て、動いてくれていたので、そのお芝居によって成り立った映画だなと感心しました。

——特に印象的なシーンはありますか?

大原 大志くんが注射針を自分に向けようとしたシーンは胸が苦しくなりました。それぐらい犬を愛していて、犬を救いたいと思っている人がいるんだなと思うと、命の重さというものを考えさせられるシーンでした。

——普段は動物の殺処分問題などに、なかなか目を向けないですからね。

大原 そうですね。ちょっと心が苦しくなるので、目を背けたいことかもしれないんですけど、知らないといけないことだなと思います。

——改めて映画の見どころを教えてください。

大原 可愛いワンちゃんやネコちゃんが出ているのが大きな見どころですし、動物を飼ってる方だったら、その大切さに気づく映画になっています。一方で明るい側面だけではなく、殺処分されているワンちゃんネコちゃんがいるっていう現実は勉強になりますし、命について考えさせられるチャンスをくれる映画です。ぜひご覧いただいて、犬部の思いを感じ取っていただければなと思います。

人に夢を伝えることで可能性は広がる

——高校時代から人前に出るのは得意なほうでしたか?

大原 あんまりためらいはないタイプでした。高校の文化祭で、女の子6人組でバンドを組んで歌ったこともあります。すごく楽しかったですし、かなり盛り上がりました。

——高校時代の授業で思い出に残っていることはありますか?

大原 地学の先生で面白い先生がいました。地学自体は苦手なんですけど、雑談が本当に面白かったんです。その先生とは今でも仲が良くて、たまに連絡を取っています。

——この仕事を始めたきっかけを教えてください。

大原 友達から「めちゃめちゃ〝さく〟にピッタリなマンガがあるんだ」と言われて、そのマンガを借りたら、「このマンガを原作にした映画のオーディションをやるらしいから受けてみたら」と言われて、受けました。ずっと役者をやりたいなと思っていたので、チャンスだなって思ったんです。

——高校時代に芸能界デビューされますが、早い段階から大学進学は考えていたんですか?

大原 そうですね。両親が大学へ行きなさいと言ってくれていました。ちょうどデビュー作になった映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の撮影中に受験勉強をしていました。

——仕事と学業の両立は大変ですよね。

大原 すごく大変でした。大学に行きながらお仕事もしていたので、大学生活をエンジョイしつつも、お仕事でヘトヘトになって、睡魔と闘いながら授業を受けていました。忙しいときは友達に協力してもらってノートを写させてもらい、テストに臨んでいました。友達がいなかったら単位を取れてなかったと思います。ちゃんと大学も卒業したいと思っていたので、マネージャーさんに細かくスケジュール調整もしてもらっていました。

——周りの協力が必要不可欠だったんですね。どうして日本大学藝術学部を選んだのでしょうか?

大原 いろんな大学を調べてみたんですが、高校の先生に「芸術・芸能の道に進みたい」という話をしたら、その学校をおススメしてくれたんです。

——社会に出てから、大学に行って良かったなと感じるのは、どういうときですか?

大原 もちろん大学生活は楽しかったですし、良いお友達に出会えたのは宝です。卒業してから思うのは、先ほど撮影していただいたカメラマンさんも同じ大学出身で、「日芸なんです」って仰ってくださったんです。母校が一緒だと、それだけで距離が近い感じがするんですよね(笑)。作品を作る上でも、映画の現場で同じ大学出身の方に出会うと、よりファミリー感が出る気がします。それってとても大事なことなんですよね。

——最後に、進路に悩むティーンにメッセージをお願いします。

大原 先ほどもお話しましたが、私がこのお仕事に就いたきっかけが、友達の「さくにぴったりだよ」っていう言葉だったんですけど、夢があったら人に言っておくべきだなって思います。いろんな人に言っておくことで、チャンスが舞い込んでくるんです。今はまだ夢がない人でも、好きなことや、何かやりたいことを、とにかく他人に言っておくと、きっと良い出会いがあるはずです。

——学生時代は人に夢を伝えるのってハードルが高いですよね。

大原 私も恥ずかしくて言えなかったんです。でも姉からそう言われたので頑張って言うようになったんです。それが夢の実現に繋がったので、勇気を持って自分の夢を周りに伝えてほしいですね。

Information

『犬部!』
2021年7月22日(木・祝)、全国ロードショー
出演:林遣都、中川大志、大原櫻子、浅香航大、田辺桃子、安藤玉恵、しゅはまはるみ、坂東龍汰、田中麗奈、酒向芳、螢雪次朗、岩松了
監督:篠原哲雄
脚本:山田あかね
原案:片野ゆか「北里大学獣医学部 犬部!」(ポプラ社刊)
主題歌:「ライフスコール」Novelbright(UNIVERSAL SIGMA / ZEST)
配給:KADOKAWA
©2021『犬部!』製作委員会

青森県十和田市に、一人の変わり者がいた。花井颯太(林遣都)22歳、獣医学部の大学生。子どもの頃から大の犬好きで、一人暮らしのアパートには保護動物がぎっしり。周りからは変人扱いされても、目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。ある日颯太は、心を閉ざした一匹の実験犬を救ったことから、ひとつでも多くの命を救うため、動物保護活動をサークルにすることを思いつき「犬部」を設立。颯太と同じく犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)らが仲間となり動物まみれの青春を駆け抜け、それぞれの夢に向かって羽ばたいていった。颯太はひとつでも多くの命を救うため動物病院へ、そして柴崎は動物の不幸な処分を減らすため動物愛護センターへ。「犬部」から16年後。獣医師となっても一途に保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道をうけて、開業医として、研究者として、動物愛護センターの一員として、それぞれの想いで16年間動物と向き合ってきたメンバーたちが再集結するが、そこに柴崎だけがいなかった……。

公式サイト

大原櫻子

女優

1996年1月10日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』全国ヒロインオーディションで5,000人の中から選ばれ、スクリーン&CD同時デビューを果たす。2014年、女優として『日本映画批評家大賞 新人賞』、歌手として『第56回輝く!日本レコード大賞 新人賞』を受賞。以降、歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演。主な映画出演作に『舞妓はレディ』(2014年)『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(2017)『あの日のオルガン』(2019年)など。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi