人に夢を伝えることで可能性は広がる

——高校時代から人前に出るのは得意なほうでしたか?

大原 あんまりためらいはないタイプでした。高校の文化祭で、女の子6人組でバンドを組んで歌ったこともあります。すごく楽しかったですし、かなり盛り上がりました。

——高校時代の授業で思い出に残っていることはありますか?

大原 地学の先生で面白い先生がいました。地学自体は苦手なんですけど、雑談が本当に面白かったんです。その先生とは今でも仲が良くて、たまに連絡を取っています。

——この仕事を始めたきっかけを教えてください。

大原 友達から「めちゃめちゃ〝さく〟にピッタリなマンガがあるんだ」と言われて、そのマンガを借りたら、「このマンガを原作にした映画のオーディションをやるらしいから受けてみたら」と言われて、受けました。ずっと役者をやりたいなと思っていたので、チャンスだなって思ったんです。

——高校時代に芸能界デビューされますが、早い段階から大学進学は考えていたんですか?

大原 そうですね。両親が大学へ行きなさいと言ってくれていました。ちょうどデビュー作になった映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の撮影中に受験勉強をしていました。

——仕事と学業の両立は大変ですよね。

大原 すごく大変でした。大学に行きながらお仕事もしていたので、大学生活をエンジョイしつつも、お仕事でヘトヘトになって、睡魔と闘いながら授業を受けていました。忙しいときは友達に協力してもらってノートを写させてもらい、テストに臨んでいました。友達がいなかったら単位を取れてなかったと思います。ちゃんと大学も卒業したいと思っていたので、マネージャーさんに細かくスケジュール調整もしてもらっていました。

——周りの協力が必要不可欠だったんですね。どうして日本大学藝術学部を選んだのでしょうか?

大原 いろんな大学を調べてみたんですが、高校の先生に「芸術・芸能の道に進みたい」という話をしたら、その学校をおススメしてくれたんです。

——社会に出てから、大学に行って良かったなと感じるのは、どういうときですか?

大原 もちろん大学生活は楽しかったですし、良いお友達に出会えたのは宝です。卒業してから思うのは、先ほど撮影していただいたカメラマンさんも同じ大学出身で、「日芸なんです」って仰ってくださったんです。母校が一緒だと、それだけで距離が近い感じがするんですよね(笑)。作品を作る上でも、映画の現場で同じ大学出身の方に出会うと、よりファミリー感が出る気がします。それってとても大事なことなんですよね。

——最後に、進路に悩むティーンにメッセージをお願いします。

大原 先ほどもお話しましたが、私がこのお仕事に就いたきっかけが、友達の「さくにぴったりだよ」っていう言葉だったんですけど、夢があったら人に言っておくべきだなって思います。いろんな人に言っておくことで、チャンスが舞い込んでくるんです。今はまだ夢がない人でも、好きなことや、何かやりたいことを、とにかく他人に言っておくと、きっと良い出会いがあるはずです。

——学生時代は人に夢を伝えるのってハードルが高いですよね。

大原 私も恥ずかしくて言えなかったんです。でも姉からそう言われたので頑張って言うようになったんです。それが夢の実現に繋がったので、勇気を持って自分の夢を周りに伝えてほしいですね。

Information

『犬部!』
2021年7月22日(木・祝)、全国ロードショー
出演:林遣都、中川大志、大原櫻子、浅香航大、田辺桃子、安藤玉恵、しゅはまはるみ、坂東龍汰、田中麗奈、酒向芳、螢雪次朗、岩松了
監督:篠原哲雄
脚本:山田あかね
原案:片野ゆか「北里大学獣医学部 犬部!」(ポプラ社刊)
主題歌:「ライフスコール」Novelbright(UNIVERSAL SIGMA / ZEST)
配給:KADOKAWA
©2021『犬部!』製作委員会

青森県十和田市に、一人の変わり者がいた。花井颯太(林遣都)22歳、獣医学部の大学生。子どもの頃から大の犬好きで、一人暮らしのアパートには保護動物がぎっしり。周りからは変人扱いされても、目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。ある日颯太は、心を閉ざした一匹の実験犬を救ったことから、ひとつでも多くの命を救うため、動物保護活動をサークルにすることを思いつき「犬部」を設立。颯太と同じく犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)らが仲間となり動物まみれの青春を駆け抜け、それぞれの夢に向かって羽ばたいていった。颯太はひとつでも多くの命を救うため動物病院へ、そして柴崎は動物の不幸な処分を減らすため動物愛護センターへ。「犬部」から16年後。獣医師となっても一途に保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道をうけて、開業医として、研究者として、動物愛護センターの一員として、それぞれの想いで16年間動物と向き合ってきたメンバーたちが再集結するが、そこに柴崎だけがいなかった……。

公式サイト

大原櫻子

女優

1996年1月10日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』全国ヒロインオーディションで5,000人の中から選ばれ、スクリーン&CD同時デビューを果たす。2014年、女優として『日本映画批評家大賞 新人賞』、歌手として『第56回輝く!日本レコード大賞 新人賞』を受賞。以降、歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演。主な映画出演作に『舞妓はレディ』(2014年)『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(2017)『あの日のオルガン』(2019年)など。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi