24歳ではっきり答えを持って活動した方がいいことに気づいた

――EMILYさんは東京出身ですが、地方からシンガーソングライターを夢見て上京してきた未央の気持ちは理解できましたか?

EMILY 正直、上京の孤独はわからないんですが、父が栃木県出身で「こんな町は嫌だ」という気持ちで上京したと聞かされていたので、それを未央に落とし込んだ部分はあります。あと私自身、ハングリー精神はあるんですけど、「あいつより上に行ってやる!」という気持ちは希薄で。個人的な意見ですけど、ミュージシャンを目指して東京に来た上京組に、そういう気持ちを強く感じてきました。そういう過去に会ったことのあるミュージシャンを思い出して演技の参考にさせていただきました。

――EMILYさんがミュージシャンとしてやっていこうと決めたのはいくつぐらいの時ですか?

EMILY 15歳です。誘われてバンドを始めて、若かったから「天下獲るぜ!」という気持ちで音楽活動を続けて。『NANA』というマンガが流行っていた時期でしたから、いつかお偉いさんが、たまたま自分たちのライブを見て、名刺を渡してくれて「ウチの事務所に来なよ」という展開があるはずだと、私に限らず多くの人が夢見ていたと思います。でも、大人になるにつれて、そんなことは限られた人間にしかないのがわかってきて。わかった時にはすでに遅くて、もう戻れないところに来ているなと思いました。そこで実現不可能な夢を見るのは一度やめて、どうやって食べていけるかの方にマインドチェンジしました。

――それはいくつの時ですか?

EMILY 24歳ぐらいです。大学も卒業して、フリーターをしながら音楽活動を続けていました。でも先輩に「その年でヤバくない?これからどうすんの?」と言われて、ハッとしたんです。ずっと答えがないままやっていたので、はっきり答えを持って活動した方がいいことに気づきました。そこからは誰かのお世話になろうという気持ちはなくて、自分たちで食べていけるだけの力をつけようと思いました。今思うと大学4年間を無駄にしたなと思います。モラトリアムというか、守られた世界にいて、全てが中途半端になってしまったのかなと思います。

――ミュージシャンを目指すティーンは多いですが、諦めない秘訣はなんでしょうか?

EMILY 自分なりの目標を立てて、こなしていくだけですね。誰しも続けることが苦手だと思うんですけど、1つだけでも何かを長く続けられたら、周りの見方がガラッと変わる瞬間があります。それまでは面倒くさくても、飽きちゃっても、続けるべきだと思います。

Information

『リスタート』
2021年7月9日(金)より北海道先行公開中
2021年7月16日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿ほか全国公開

EMILY(HONEBONE) SWAY(DOBERMAN INFINITY / 劇団 EXILE)
品田誠 朝倉ゆり(エラバレシ) 夏目ベール(純情のアフィリア) 藤井俊輔 向井日菜海
阿部隼也 かんた 岩崎う大 もりももこ
西野亮廣(キングコング) 松田大輔(東京ダイナマイト) 庄司智春(品川庄司)
小杉竜一(ブラックマヨネーズ)
黒沢あすか 中野英雄

監督・脚本:品川ヒロシ 音楽:HONEBONE 撮影:Yohei Tateishi
照明:淡路俊之 津田道典 美術・装飾:遠藤剛 編集:須永弘志 録音:光地拓郎
衣裳:宮本まさ江 ヘアメイク:泉宏幸 助監督:高土浩二 制作担当:金城恒次
チーフプロデューサー:片岡秀介 古賀俊輔 プロデューサー:木本直樹 大日方教史
エグゼクティブプロデューサー:羽根田みやび 製作岡本昭彦
クラウドファンディングパートナー:MOTION GALLERY
スペシャルサポート:下川町 制作プロダクション:ザフール 制作:吉本興業
配給・宣伝:吉本興業 ハピネットファントム・スタジオ 製作:吉本興業
© 吉本興業

北海道下川町で育った未央は、シンガーソングライターを目指して上京。10年の月日が経ち、思い描いた夢とは異なるものの、地下アイドルとして一生懸命に活動していた。ある日、意図せず起きた有名アーティストとのスキャンダルによって、世間からのバッシングを受け、SNSで炎上。夢に破れ傷つき、故郷に帰ってきた未央だったが、周囲とも上手く接することが出来ずひとり殻に閉じこもってしまう。そんな中、同級生の大輝は、未央を思い出の場所へと連れ出す。自然豊かな景色、支えてくれる仲間や家族の存在によって、未央はゆっくりと前を向き始める―。

公式サイト

EMILY(HONEBONE)

アーティスト

東京都高円寺出身。フォークデュオ「HONEBONE」のヴォーカル担当。日本語にこだわったリアルな歌詞を歌い、これまでにアルバム5枚、ベストアルバム1枚をリリース。笑いあり涙ありのライブは全国で完売続出、歌のみならずEMILYのキレのあるMCも特徴的。個人のInstagramフォロワーは3万人を超え、中国・Weiboアカウントは開設わずか3日で2.6万人からフォローを受けるなど、SNS上でも話題を呼ぶ。キャラを生かしたメディア出演、New Balance、TOYOTA、BOSE等のWeb広告モデルなどマルチに活躍の場を広げる。バラエティ番組「家、ついて行ってイイですか?」(TX)の出演をきっかけに品川ヒロシ監督に見出され、演技未経験ながら、本作でスクリーンデビュー・初主演を飾っている。

Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Takahiro Iguchi