他の追随を許さない昭和の伝説ヒーローが復活
『ウルトラマン』よりも先駆けて、毎週テレビで活躍した宇宙人ヒーローがいる。『遊星王子』だ。
1958年(昭和33年)、『遊星王子』は日本テレビドラマ史上初の宇宙人ヒーローとしてブラウン管に登場し、当時の子どもたちの間で絶大なる人気を博した。
そんな伝説のヒーローが令和の現在、スクリーンにて完全復活を果たす。
トークショーの模様をお伝えする前に、本作『遊星王子2021』について説明する。
本作の監督を務めるのは、おバカ映画の巨匠として知られる河崎実。『日本以外全部沈没』(06年)、『地球防衛未亡人』(14年)、『三大怪獣グルメ』(20年)など、独特のセンスでB級特撮映画を撮り続けている映画監督で、本作でもオリジナル作品に最大限のリスペクトを払いつつ、強烈な個性を遺憾なく発揮する。
物語は、200年前に宇宙から1機の宇宙船が地球に墜落するところから始まる。時は過ぎて、現在の日本。大学生・大村君子(織田奈那)の前に突如、宇宙人タルタン人が出現。しかし、200年もの長い眠りから覚めたMP5星雲第四遊星の王子こと遊星王子(日向野祥)が現われて、タルタン人たちを撃退。無事に君子を救う。
遊星王子は墜落時のショックで記憶の大半を失くしていたが、君子の自宅であるパン屋に居候し、タルタン人の脅威から街を守り続ける。
時にはトップアイドル・舟木康介(日向野祥・2役)と入れ替わったりするなど、遊星王子は地球での生活を存分に満喫して、平和を守るヒーローとして人気者になっていく。
しかし、君子のことを想う大学生・石森(若林司)が、遊星王子への嫉妬からタルタン人と接触。『まぼろし大使』に扮して、「遊星王子の正体は『宇宙の破壊者』だ」と電波ジャックで遊星王子の知られざる過去を暴露してしまう。
はたして遊星王子は正義の味方なのか?それとも王子こそが真の侵略者なのか?
主役の遊星王子を演じるのは、2・5次元舞台の出演で好評を博し、現在は映像作品をはじめ多岐にわたるジャンルで活躍している実力派俳優の日向野祥。
ヒロイン・君子とクローディア姫の2役を演じるのは、TikTokやYouTubeでの活動をはじめ、動画クリエーターとして活躍の場を広げて注目を集めている新進気鋭の女優・織田奈那。
遊星王子の新たなデザインを手掛けたのは、漫画『サイレントメビウス』の作者で、2011年放送の『仮面ライダーフォーゼ』で怪人ゾディアーツのデザインを担当した麻宮騎亜。
また、かつて日本の特撮界を彩ったレジェンド俳優たちが本作のために集結。
随所にお笑い要素を散りばめながらも、本作は宇宙人という異端者と市井の人々が触れ合いながら絆を深めるという世界観を構築。レトロフューチャーとして懐かしい雰囲気を漂わせつつ、昨今の暗い世の中を明るく照らすヒーロー像が新たに提示された。