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1年8ヶ月ぶりとなる待望の有観客ライブ

ヨシダタクミ(Vo、G)、ユタニシンヤ(G)、ヤマザキヨシミツ(B)からなる3人組バンド「saji」。彼らは2011年4月に前身バンド「phatmans after school」として活動を開始し、2019年7月にレーベル移籍のタイミングでsajiに改名した。

2019年12月に改名後初のワンマンライブを行い、sajiとして勝負をかけるべく2020年を向かえたが、コロナ禍で昨年7月のツアーが中止になるなど、他のバンドと同様にライブができない状況となってしまった。

だが、3人は時間を無駄にせず楽曲制作に励み、昨年4月に1stミニアルバム『ハロー、エイプリル』、6月に配信シングル「明日の空へ」、9月に2ndミニアルバム『花火の詩』を発表。今年に入ると、3月に1stフルアルバム『populars popless』、7月21日にニューシングル「星のオーケストラ」をリリース。

そしてこの日、sajiにとって約1年8ヶ月ぶりの有観客ライブが実現した。メンバー3人は、サポートメンバーの生田目勇司(Dr)、工藤拓人(Key)とともに観客と久々の再会。ライブ中、10月27日にニューシングル「ハヅキ」発売をサプライズ発表するなど、前進し続けるsajiを存分に見せるステージを繰り広げた。

観客一人ひとりの心にダイレクトに突き刺す鋭さとパワー

会場に集まったファンの期待が高まる中、シンセビートのSEをバックにメンバーがステージに登場。全員で音をかき鳴らすと、ツインギターのイントロが響く「シュガーオレンジ」からライブはスタート。別れの辛さや寂しさが詰まった歌詞とサウンドを、切なく明るいメロディで届けていく。ライブは新型コロナウイルス感染症拡大防止に配慮した形で行われ、観客は声こそ出せないものの、バンドの演奏にハンドクラップで応えていった。

ギターのユタニが「『saji Live 2021〜夜の兎は眠らない〜』始まりました!みんな盛り上がっていきましょう!」と観客を煽ると、タイトなアップチューン「ミラーリンク」を披露。幸せを叶えに行こうというファンへの思いを届け、ライブのテンションは一気に上がる。

お立ち台に立ったユタニがギターをかき鳴らすと、ニューシングル「星のオーケストラ」をプレイ。明るいメロディのキャッチーなサウンドに乗せた歌詞は、始まったばかりの夢を後押しする、明日へ向かう勇気を与えてくれるパワーがある。輝く希望が溢れるナンバーに会場は熱くヒートアップした。

▲ユタニシンヤ(G)

MCでユタニが「こんばんはsajiです!『saji Live 2021〜夜の兎は眠らない〜』ようこそ! お元気ですか!」とハイテンションで挨拶すると、ヨシダが「1年8ヶ月もライブをやってないから、想定よりもテンションうわずってるよ」と鋭いツッコミを入れる。ユタニは一瞬小声になってみたものの、熱い気持ちは抑えきれずに、「前回のライブから1年8ヶ月、貯めたパワーを全力でぶつけていきます!みなさん、夏の思い出作ろうぜ!」と声を上げた。

ここで、ヤマザキのベースソロからドラムとファンキーなセッションが行われる。ヤマザキがスラップでファンキーなグルーヴを作り出すと、バンドは真っ赤なライティングの中、「真に暗き夜」を歌唱。前に進めない苛立ちを、マイナーコードで疾走するサウンドで伝える。

ハードなギターとシンセサウンドが交差する激しいナンバー「Maybe It’s In Your genes.」では、不透明な行き先に不安を抱えながらも生きる心の葛藤を荒々しいサウンドで放つ。

「CHANGE UPPER」で、不安を乗り越えた先にある希望感をタイトな演奏で届けると会場のボルテージはさらに高まりを見せた。

sajiのライブパフォーマンスは、当然のことではあるがヨシダの感情のこもったボーカルが主軸にある。ヨシダは歌だけでなくギターをプレイし、ユタニはフライングVやストラトなど曲のテイストによってギターを変えながら鮮烈なサウンドを響かせる。ヤマザキのぶっといベースラインとサポートの生田目のパワフルなドラムが楽曲のボトムを支え、工藤のキーボードが様々な音色で楽曲の色彩を鮮やかに染めていく。3人+2人の生の一体感は、曲の持つ世界観を観客一人ひとりの心にダイレクトに突き刺す鋭さとパワーを宿していた。

▲ヤマザキヨシミツ(B)

ファーストライブのような気持ちで楽しむ

ライブはMCを挟んでミディアムチューンのコーナーに入る。ピアノから始まる優しいメロディのポップソング「猫と花火」、初恋を想起させる黄昏感たっぷりな「ハナビノウタ」と心温まる楽曲を歌唱。

「アルカシア」では、大切な君を想う切ない感情を届けていく。アップテンポなサウンドだけでなく、sajiは繊細な表現にも長けていることをライブでも印象付けた。

MCタイムに入ると、ヨシダがこのライブで、現在進行形で感じていることを語っていく。「僕らがライブをやるのは約2年ぶりで、その間、曲作りに没頭させてもらってました。今日やるほとんどの曲が、その期間に作ったものです。僕にとってレコーディングとライブは全く別物なんです。レコーディングがテストで、ライブで答え合わせをしていくような感じがあります。なので今、この曲はこう歌うべきだなとか、自分はこういうことを言いたくてこの曲を書いたんだなとかを感じながら、自分をアップデートしながらライブをしています。今日は、初めましての方もいるかもしれませんが、まだ僕らはsajiになってライブを1回しかやってないんです。なので今日がファーストライブのような気持ちで、声が枯れるまで全開で楽しんでいきたいです!」と語り観客から大きな拍手が送られた。

続けてヨシダが「ライブで一番歌いたかった曲を歌わせてもらいます」と口にすると、バイオリンの音色が印象的な優しいメロディのミディアムチューン「三角の恋」が披露される。胸の奥で相手を想い続ける気持ちを、ヨシダは低音からハイトーンまで幅広いボーカルを駆使して歌っていく。その圧倒的な表現力に会場から拍手が沸き起こった。

▲ヨシダタクミ(Vo、G)

ライブも折り返し地点を回ると、phatmans after school時代の明るいメロディのポップチューン「ツキヨミ」が披露される。テンションの高まる会場に届けられたのは、ヨシダのアカペラから始まる「You & Me」。もう届くことはないと知りながらも相手を想う深い愛。その切ない感情が、バンドの演奏、ユタニのギターソロでさらにディープに響いた。

ライブもいよいよラストスパート。ユタニが「今日、このライブが開催できて本当にうれしいです。見てくれてるみんな、スタッフ、全員に感謝します!」と語り、バンドは「ユートピア」を披露。この空間こそがユートピアだと訴える歌詞を、キャッチーに疾走感溢れるサウンドで届ける。観客は拳を突き上げ、バンドの放つメッセージに呼応する。

熱量の高まった会場に、アップチューン「瞬間ドラマチック」が投下される。僕らの出会いは偶然じゃないという歌詞は、sajiとファンの絆のように感じられた。バンドの強烈な演奏に観客はクラップで応戦し、ライブのボルテージはマックスとなった。

ヨシダが熱く語ったsajiへの改名とこれからの思い

ラストチューンの前にヨシダが、sajiへの改名とこれからの思いについてを語り始めた。その全文を紹介する。

「僕らは、学生の頃から前のバンド名でやってきて、10年を節目に1から出直す気持ちでsajiという名前にしました。発案はユタニで、3人で考えて決めたんです。次こそは、自分のチャンスをすくい上げられる大人になりたいと思ってリスタートしました。

もともと僕は、中学2〜3年生のときに音楽で飯を食っていきたいと思って、phatmans after schoolでありがたいことにプロで活躍させていただけるようになったんです。でもある日、昔からの夢が叶っていた自分に気づいてしまったんですよ。そこから、目標が定まらないまま宙ぶらりんみたいな気持ちが1〜2年続きました。

でも現時点の思いは、ずっとこれ(音楽)を続けていきたいなって思いです。10年やってきて、横にいた人もバンドもほぼいなくなり、続けることがどんなに大変かがわかったんです。今の自分は10代に戻れないけど、自分が好きだったアーティストのように、夢を目指そうとしてる人の勇気や共感を覚えてもらえる存在になれればいいのかなって思ってます。

みんなから「励みになります」とか言ってもらえる音楽を作る、そういうものを体現するアーティストとして、一生こっち側の人間でいられたらそれはそれでかっこいいことじゃないかなと思っています。僕は、音楽を長く続けるということを夢に抱えて、最近走るようになりました。ただ、悩みながらやってます。でも、不安の中で戦っていくからこそ、勝ち取ったときに実感があると思うんです。

僕も悩みながら走っていくので、みんなも自分の人生、死ぬまで悩みながら生きていってほしいです。今日はどうもありがとうございました。sajiでした」

ヨシダの真摯な言葉に、観客は大きな拍手を送った。

ヨシダの「ラスト、全力でぶつかっていきましょう」の声から歌われたのは「STAR LIGHT」。今日という日を一緒に描こう、死ぬまで2人で笑って生きようというメッセージを、sajiはミラーボールが回る中、徐々に熱量を高めながら演奏する。様々な感情を昇華するようにライブ本編は終了した。

鳴り止まない観客のクラップに応えてメンバーがアンコールのステージに登場すると、ヨシダのボーカルから始まる「明日の空へ -Album ver.-」が歌われる。愛しい人への想い募らせる切ないバラードが観客の心を打つ。

感動的な空気の中で、MCでユタニが中3のときの失恋話を、ユーモアを交えて語っていく。変に固くなりすぎず、いいバランス感があるのが実にsajiらしい。

ユタニは「失恋したのは、今くらいの時期でした。そんな、夏の終わりに合いそうな切ないラブソングやりたいと思います。ここにいる全員、配信を見てくれてる全国の一人ひとりに全力で歌いたいと思います!それでは聞いてください「棗」!」と曲振りをして、「棗」が始まる。ヨシダとユタニのギターの掛け合いから始まるタイトなロックチューンは、夏らしい爽快感たっぷり。バンドのブチ上げぶりに観客も手を挙げ応戦した。

会場の盛り上がりがレッドゾーンに到達すると、エクスプローラーを手にしたユタニがワウを駆使したギターソロをぶちかます。ユタニが「クアトロー! ラスト行けますか!」とシャウトし、ラストチューン「Yummy!! Yummy!!」に突入。明るく疾走するアップチューンに観客も沸き立つ。

すると突然のブレイクからヨシダが「僕ら10月27日にニューシングルを出すんです。表題曲『ハヅキ』が、アニメ『SHAMAN KING』の第3弾エンディングテーマに決まりました!」とサプライズ発表をすると、大きな拍手が起こった。さよならと再会を誓う楽曲のメッセージとともに、ライブはさらなる盛り上がりとなってフィニッシュ。

ステージを終えたユタニは「スタッフさんから8月に有観客でできるかも知れないと言われたとき、めっちゃワクワクしたんです。でも、コロナの影響だったりで有観客でできるか危うい時期もあったんです。ですが、今日こんなに大勢の人が来てくれて、ちゃんとしたライブハウスで、久しぶりのライブができて本当に幸せです。みなさんありがとうございました!今後もみんなをワクワクさせられることをたくさん発表できると思うので、今後のsajiをよろしくお願いします!」と語り、会場が大きな拍手に包まれライブは終了となった。

昨年のコロナ禍以降に生まれた楽曲で構成された、ほとんどの曲がライブ初披露というセットリストは斬新の一言。メンバーが語っていたように、まさにsajiとして新たな一歩目を印象付ける、エモさたっぷりのライブだった。

Information

10月27日、saji New Single「ハヅキ」発売決定!!
タイトル曲「ハヅキ」は現在放送中のTVアニメ「SHAMAN KING」第3弾エンディングテーマに起用!

タイトル曲「ハヅキ」は、現在放送中のTVアニメ「SHAMAN KING」の第3弾エンディングテーマに起用されることが決まっており、「ハヅキ」のオンエア開始は10月下旬を予定している。なお、今作もヨシダタクミの書き下ろし楽曲で、失って初めて気付く大切な人への想いを歌った壮大なバラードナンバーに仕上がっている。

人気アニメの主題歌を数々つとめ、バンドファンのみならず国内外のアニメファンからも絶大なる支持を受けるsajiの真価となる本作に注目!

■New Single「ハヅキ」 2021年10月27日(水) リリース
品番:KICM-2108
定価:¥1,320 (税抜価格 ¥1,200)
形態:CD Only

【収録内容】
M1:ハヅキ
※TVアニメ「SHAMAN KING」第3弾エンディングテーマ
M2:タイトル未定(新曲)
M3:タイトル未定(新曲)

公式サイト

saji

ミュージシャン

北海道出身の3人組バンド。全楽曲の作詞・作曲を手掛けるVo.ヨシダタクミの透き通る歌声、圧倒的で叙情美溢れるメロディーライン、そして葛藤や憂いをストレートに表現した歌詞に、Gt.ユタニシンヤ、Ba.ヤマザキヨシミツのパフォーマンスが相乗効果を生み出し、男女問わず若者世代を中心に支持されている。ヨシダタクミは自身の全楽曲の作詞作曲のみならず、水樹奈々や Kis-My-Ft2 など数々の楽曲提供も行っている。

Photographer:Kyoka Uemizo,Reporter:Keisuke Tsuchiya