高校は多様な価値観を持っている人たちが多かった
――モデルを始めたきっかけを教えてください。
トラウデン 私は今でも表に出るのが苦手なので、自分からやりたいとは思ってなかったんです。でも中学で部活動にも入らず、毎日ダラダラ過ごしていた私を見かねた母から、「何でもいいからやってみなさい」と言われて応募したのがきっかけです。
――それまでは打ち込めるものはなかったんですか?
トラウデン なかったですね。小学生の頃から乗馬は習っていたんですけど、そこまで中学生の頃は本気で打ち込んでいなかったです。ただ、学校の勉強は好きでした。父が大学で教鞭を執っているので、私も学校の先生になりたかったんです。
――小さい頃から、お父さんに勉強を教わることもあったんですか?
トラウデン 両親は完全に放任なので、ほとんど教えてもらうことはなかったです。ただ父はいろんなことを知っていて、「これって何?」「なんでこうなってるの」と1聞けば100返してくれるので、聞いたことはなんでも教えてくれました。教え方もすごくわかりやすかったので、すごく尊敬しています。
――高校時代、お仕事以外に打ち込んだことはありますか?
トラウデン 先ほど乗馬をやっていたとお話ししましたが、高校生になって馬術に力を入れていました。それまで大会に出ようとは思わなかったんですけど、最後だからと高校2年生のときに馬術の大会にも出ました。
――大会などに出たとき、競争意識は強いほうですか?
トラウデン それが小さい頃から競争意識というものがなくて、今の課題でもあるんです。めちゃくちゃ負けず嫌いではあるんですけど、自ら戦いに入っていくタイプではないんですよね。なぜかというと、人がやっていないことで一番になった方が近道だなと考えちゃうから。それは中学1年生からモデルをやっていたことにも関係していて、きれいな方、スタイルのいい方がいっぱいいる中で戦っても、たぶん私は上まで行けないだろうと。だから勉強を頑張って、そちらでピックアップされたほうが表に出る機会があるだろうなと思ったんです。モデルをやっていなかったら慶應義塾大学にも入ってなかったと思います。
――高校時代は生徒会に所属していたそうですが、自分から立候補されたんですか?
トラウデン そうです。月に一度は生徒会主導のイベントをやっていましたし、たとえば学校全体を巻き込んで「フードバンク」というフードロスをなくす活動を校内に持ち込むなど、自分たちで企画を作って、それをプレゼンして形にするのが好きでした。生徒の3分の2くらいが帰国子女で、多様な価値観を持っている人たちが多かったです。もちろん無関心な人もいましたけど、賛同してくれる人もたくさんいました。自分たちが選んだことに責任を持てるなら、好きにしていいという自由な校風で、高校生活を経て一回り大きくなれたと思っています。