高笑いを上げる特異なヒーロー

――『遊星王子2021』のオファーをいただいたときの感想をお聞かせください。

日向野 僕は小さい頃、世代的に90年代の『ウルトラマンティガ』や『仮面ライダークウガ』などのヒーロー番組が好きだったので、最初に本作のオファーをいただいたとき、「自分がヒーローになれるなんて」と、とても嬉しい思いでした。作品の中心人物を演じるというプレッシャーも大きかったのですが、即決で「是非やらせてください!」とお答えしました。

――遊星王子はヒーローの中でも特異なキャラクターですが、演じるにあたって苦労された点などはありましたか?

日向野 宇宙人という、今まで演じたことのない役で、「どういう動きをして、どんな喋り方をするのだろう?」という疑問がありました。オリジナルの『遊星王子』を参考にしようと思いましたが、監督の河崎実さんが「新しい遊星王子を作ろう」と言ってくださったので、僕なりに遊星王子という人物を想像して作り込みました。普通だったら人の目を見て話すところを、宇宙人だから相手の目を見ないで会話をするなど、些細な部分ですけど、そういったところで宇宙人っぽさを出していきました。遊星王子はアンパンが好きで劇中でもよく頬張っているんですが、どのようにすれば美味しそうにアンパンを食べているように見えるのか。準備期間中は台本を読みながら、そういったことをいろいろと考えていました。

――遊星王子は高笑いが特徴的ですけど、あの高笑いは日向野さんが考えたのですか?

日向野 高笑いに関しては、本読みの際に監督から「遊星王子はこんな感じで高笑いを上げるんだ」と伝えられたんです。監督がイメージする高笑いに合わせて、その場でいろんな笑い方をしてみて、監督に「いや、ちょっと違うな」「今のはちょっと近いかな」と確認していただきながら、いくつか試作品を繰り返して、現在の高笑いに辿り着きました。

――劇中では宇宙人である遊星王子と並行して、人気歌手・舟木康介も演じられて、さらに劇中で歌も披露されます。

日向野 今まで舞台でダンスやアクションは披露させていただいてきましたが、歌唱にはあまり携わってこなかったので、「劇中歌を歌ってほしい」と言われたときに、「どんな曲を歌うんだろう」と不安でした。けれど、河崎監督が用意した音楽が『ウルトラマン』の主題歌を思わせる昔ながらのリズム感のある曲だったので、楽しんで挑ませていただきました。本来の僕は恥ずかしがり屋なので、遊星王子のような奇抜な恰好をしたり、アイドルとして歌ったりするのはできないですが、遊星王子や舟木康介という別人格に完全になり切ることで突飛なこともできてしまうんです。