思春期の女の子が無自覚なずるさをもっているのはしょうがない
――『うみべの女の子』は浅野いにおさんの漫画が原作ですが、原作を読んだ印象はいかがでしたか。
石川 私はあんまり漫画を幅広く読むほうではなくて、好みを絞ってしまうので「この作品は傑作だ!」と言えるほど漫画は読んでなのですが、『うみべの女の子』は自然と中身が入ってきました。こういう物語ってあんまりないんじゃないかなと思いましたし、映像の可能性も感じました。私が演じた小梅は難しい役柄だなと感じたので、オーディションに参加する段階から慎重にならなきゃという思いがありました。
――漫画の実写化作品は、原作に引っ張られる部分もあると思いますがいかがでしたか?
石川 原作に引っ張られると部分はたくさんありました。上っ面なものになっても嫌ですし、漫画通りの表情を作ることはできませんが、根底に原作がある訳で、それを無視できないという矛盾もありました。あと小梅の気持ちを読み取ることにも必死でした。
――今、二十代ですが中学生を演じるのはいかがでしたか?
石川 自分がちゃんと中学生に見えるのかというのは最初から気になっていて(笑)。まずは自分自身を「私は中学生だ」と一番に思っていればいいんじゃないかと外見的なところから入りました。中学生が着るようなブランドの服を着たりして、普段の生活から慣らしていったんです。演技に関していえば、あんまり事前に決めていかず、撮影現場で磯辺(青木柚)から感じ取ったことを大切にしました。磯辺がこうだったから、小梅にこんな感情が生まれて、こういう行動に出たんだ、という感じで演じていくことが多かったです。
――自分というものをあまり持たない小梅という役柄に共感できましたか?
石川 共感というか、理解をするように努めました。自分がない人っていないはずなんです。嫌でも自分というのはあって、それに対して無自覚な人はいると思うんですけど、小梅はそのタイプです。思春期の女の子が無自覚なずるさをもっているのはしょうがないことだし、だからこそ理解してあげられることでもあるし、そこに惹かれたりもしました。そんな小梅が大好きだったんですけど、一方で大嫌いにもなったんです。演じながら磯辺から怒りをぶつけられる小梅の足りない部分を痛感したんです。
――大胆なシーンの連続で、体当たりの演技も多かったのではないでしょうか。
石川 体当たりできるというか、やりきっていける役をいただけるのは本当に自分の中で誇らしいことです。確かに今回は大胆なシーンもありましたが、自分で納得して挑戦できたので、そこに大変さはなかったですね。
――小梅と今の石川さんではしゃべり方が全く違う印象です。
石川 漫画なので声は想像するしかないんですが、ネチネチ話すというか、磯辺にもイラつきを与えるようなしゃべり方になったのかなと。あの時だからできたことだなと思います。