妥協せずにファッションを楽しめるようになったのは最近
――初のスタイルブック『ストリート沼MAATASO’S STREET FASHION STYLE BOOK』は帯に「ストリートファッションの教科書」と書かれています。私服やコーディネートの紹介だけではなく、ストリートファッションの歴史も学べる読み応えのある1冊になっていますね。
まあたそ 昔から「スタイルブックを出したい」っていうふわっとした夢みたいなのはありましたが、まさかこんな教科書みたいなものを作ろうとは思ってなくて。みんなと相談する中で、うちの気持ちを読み取ってくれて、「じゃあ教科書みたいに、“好き”を伝えた方がみんなに伝わりやすいんじゃない?」みたいな感じで、こういう形になりました。
――まあたそさんのファッション変遷をたどる内容でもあります。
まあたそ 小さいときのことを聞かれたりすることはよくあったけど、なかなかファッションに特化して過去を振り返るってことはなくて新鮮でした。めっちゃギャルだったときとか、ちょっとお姉さんに憧れてキャバ嬢が着るような服を着とるときとか、中二病みたいなノリでV系の好きなバンギャの女の子みたいになってみたりとか、ホントいろいろな時代があって。ひと通り試して、一番しっくりきたのがストリートだったんです。
――ストリートにたどり着くまでは雑食だったんですね。
まあたそ そう、迷走期。何でもチャレンジしたい人で。10代の頃はなりたい自分がわからなくて、広く浅くいろいろ試してました。顔が可愛い子がロリータみたいなの着てたら、「ロリータ着たい!」みたいな感じ。やっぱ試さないと自分に似合うか、自分がそれを好きかとかわからないから、実際に着て周りの反応を見て、似合うか似合わないかを聞いたりしてました。
――ファッション好きを自覚したのはいつですか?
まあたそ 一番最初は幼稚園。5、6歳の頃から自分で服を選んでいて、ずっと親には選ばさなかった。学生の頃もめっちゃファッションが好きだったけど、お金がなかったし、妥協したファッションばっかりでした。最近になってやっとお金を使えるようになって、本格的に自分の“好き”をぎゅっとできるようになった。妥協せずにファッションを楽しめるようになったのは、最近ですね。
――お金がない中でファッションを楽しむために、どのような工夫をしていましたか?
まあたそ 自分の服をオークションで売って、新しい系統を買う。ちゃんとコンセプトのある服にチャレンジしていたから、そういう服の需要って絶対にあるんです。それでお金を作って、新しい服を買ってました。
――ファッション情報はどこから得ていましたか?
まあたそ 学生の頃は、まだ雑誌全盛の時代で。ママが教科書の代わりにギャル雑誌の『egg』や『Ranzuki』を買ってきてくれて。それをずっと読んでギャルを学びました。その影響もあって、小6のときに入れたタイムカプセルの中身は『egg』とかギャル雑誌の切り抜きだったのを覚えてます。
――ここ数年またギャルが注目されてきていますよね。
まあたそ そう!今もギャル大好きやから、流行ってきて嬉しい。
――当時は見た目も完全にギャルだったんですか?
まあたそ 中学3年生から高校3年生までギャルサーに入って、日サロにも行ってて、真っ黒だった(笑)。パラパラも好きだったから楽しかった!
――ギャルサーに入るのは怖くなかったですか?
まあたそ 怖いもの知らずなのかな?何でも興味があって、やりたいと思ったらバンジージャンプも跳ぶし、滝修行だって行くし、一度、やりたいと思うと、やらんと気がすまんみたいな感じで、抵抗はなかったかも。
――ギャルだったことが、その後のファッションや考え方に影響は及ぼしていますか?
まあたそ あるんじゃないかな。ギャルって全体的に派手だし、今も全然関係ないことでも派手なことが好きなのは、ギャルだったときの影響がある気がする。個性出すのがすごい好きだし、当時好きだったものに今も引っ張られているなと思います。