東京藝大はどんな表現も尊重してくれる

――東京藝大の魅力はどこにあると思いますか?

長瀬 普通の4年制大学がどういうところかは分からないんですけど、藝大はどんな表現も尊重してくれます。学生も先生もいろんな専攻の方がいるので、自分の作品を「良くない」と言う先生もいれば、「良い」と言ってくださる先生もいます。必ずしもすべてが拒否されるわけではないですし、私は「ノー」と言ってくれる先生の意見も自分にとって大事だと思ったら取り入れたいとは思っていました。

――学生の皆さんはいかがでしたか?

長瀬 藝大って変な人が多いってよく言われますけど、全然そんなことはないです。年代にもよると思うんですけど、自分の学年は穏やかなタイプが多かったです。私は集団行動があまり得意じゃないんですが、藝大は各々が自分の時間を大切にするところがあるので過ごしやすかったです。

――確かに中学・高校のような集団行動の煩わしさは少なそうですね。

長瀬 あまりないですね。あと、それぞれの良さを認め合っています。大学生だから多少精神年齢が上がっているからかもしれないですけど。

――改めてティーン世代の多い「W online」読者に『酔いどれ東京ダンスミュージック』の見どころを教えてください。

長瀬 私の兄弟は勉強やスポーツができるタイプなのに、自分は何にも得意なことがないなと、たくさんのコンプレックスを持って生きてきました。でも大槻さんは長く音楽活動をやっているのに、あまり特別な感じがしないんです。もちろん歌は素晴らしいですけど、特別じゃなくても普通に生きてるだけでいいんだというのが大槻さんの姿から伝わるといいですね。人生はうまくいかないときがあってもいいし、ずっと完璧でいる、ずっと普通でいるなんて無理なので、自分を甘やかすことがあってもいい気がします。そんな映画になっていると思います。

――最後に将来の進路を検討しているティーンにメッセージをお願いします。

長瀬 私は兄弟が優秀だったこともあって、高校時代の進路選びは悩みました。周りにいろいろ言われることもあると思うんですけど、なるようになる気がしています。なので自分が今したいことをしていたらいいんじゃないかな。それでダメになっちゃったり、飽きちゃったり、つまらなくなったりしたら、そのときにまた別のことをしても十分間に合います。そういうスタンスで気楽に考えたらいいのではないでしょうか。

Information

東京ドキュメンタリー映画祭 正式出品作品
『酔いどれ東京ダンスミュージック』
9月17日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中

出演:大槻泰永 真黒毛ぼっくす
石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)
大木温之(ピーズ) 曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
知久寿焼(知久寿焼ちんどん楽団/パスカルズ/ex.たま)
中川五郎 ロケット・マツ(パスカルズ)

撮影・編集・監督:長瀬由依
配給宣伝:アルミード
2018/日本/カラー/57min/16:9/モノラル
© Yui Nagase

バンド・真黒毛ぼっくすの大槻泰永は上京してから32年、会社員として働きながら音楽活動を続けてきた。かつてはテレビ番組”イカ天”こと『三宅裕司のいかすバンド天国』にも出場し、同世代や憧れのミュージシャンとも共演してきた大槻は今、仕事中と睡眠中以外はだいたい傍にお酒がある、そんな生活を送っている。ライブの最中に飲んだり、はたまた二日酔いだったり、時にはライブの前に飲みすぎて怒られたりと、その様に周囲の人々は最初は驚き振り回されながらも気がつけば渦の中に巻き込まれていく。

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長瀬由依

1993年生まれ、神奈川県出身。東京藝術大学先端芸術表現科卒業。大学の卒業制作として真黒毛ぼっくす・大槻泰永を撮影した『酔いどれ東京ダンスミュージック』が2019年の東京ドキュメンタリー映画祭で入選。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi