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お母さんは無意識に変な服を着ているような人

――スタイルブック発売、おめでとうございます。かてぃさんがファッションに興味を持ったきっかけを教えてください。

かてぃ お母さんがお土産として派手で変な服を買ってきてくれたところから始まっています。今でも覚えているのは、なぜかうちにお母さんが買ってきたチマチョゴリがあったんです。そのチマチョゴリが、小さいながらもめちゃくちゃ好きでした。それとは別に小さい子が好きになるプリキュアのコスプレとかも普通に好きで着ていました。

――おもちゃ売り場に置いてある変身セットみたいなやつですか?

かてぃ そうそう。あとはなぜか幼稚園の頃は体育館履きにハマっていました。

――体育館履き?それは通常の上履きとは違う靴なんですか?

かてぃ 上履きの先っぽにカラーが入っているタイプで、幼稚園の頃、それを履いてディズニーランドに行った覚えがあります。あとはコストコで売られていたド派手なアメリカっぽい子ども服!日本の洋服とは明らかにセンスが違っていたし、そういう普通の小学生が着ない洋服がお母さんは好きだったんだと思う。それから子ども服でもないドット柄とスパイラルが合わさったサルエルパンツとか。そういうのを、可愛いかったら子どもにはデカすぎても平気で着せてたんです。本当に小さいときから一貫して変な服が好きです。

――母親の影響が相当大きいみたいですね。

かてぃ そもそも家にあるのが異常な洋服ばかりでした。ロリータとかもありました。お母さん自身も無意識に変な服を着ているような人なんです。自分もその頃は無意識で着ていたので、洋服のジャンルとかはわからなかったですけど。高校2年生くらいまではマジで洋服のセンスがおかしくて。上履きを普段から履いているのも「ちょっと人とはズレているものが可愛いんだ」みたいな恥ずかしい勘違いをしていました。東京に来るようになってリアルにおしゃれな人たちを見ると、「あれ?今まで間違えていたんじゃない?」みたいな(笑)。

――思春期にありがちな行動かもしれません。

かてぃ そんな私にとって大きかったのは、きゃりーぱみゅぱみゅさんの存在です。きゃりーさんは奇抜なのに可愛いんだから、自分もやり切るしかないと思って変な服を着ていました。きゃりーさんに衝撃を受けたのが中学2年生頃だったかな。

――かてぃさんの中学校生活って、友達と不潔自慢をしたり、異性の目をまったく意識しなかったという話をうかがいました。

かてぃ 厳密に言うと、小学校5年生から中学2年生の春ぐらいまではギャルだったんです。ギャルって何をしてもいいというか、一人ひとり自分の個性を持っているから、そこが可愛いんです。当時は自分もギャルをどこまでやり切れるのか挑戦していたような部分があります。ただ、その一方でなぜか途中からはジャニーズが好きになってしまい、ギャルとして挑戦する心が折れてしまった面もあるのですが(苦笑)。

――誰が好きだったんですか?

かてぃ 山田(涼介/Hey! Say! JUMP)くん(笑)。もうギャルは卒業するしかない!と思ったんですけど、すぐきゃりーさんが出てきて。自分もきゃりーさんみたいに好きな服を着たいと思うようになりました。そこからはどんどん奇抜になって普段から人形とか持ち歩くような感じになりました。

――そういった「ファッションは自由であるべきだ」という思想がファッショニスタとしてカリスマ性になっているとも思います。

かてぃ 不意に「なんでこんなのが好きなの?」という違和感が襲ってくることもあるし。あるときギョッとしたんですけど、私のファンの子が私の真似をしてスカジャンを着出したことがあったんですよ。

――かてぃさん、横須賀出身ですからね。

かてぃ 私は小学校のときから父に「とにかくスカジャンにはこだわれ」という教えを受けてきたのでそれが自然でした。たしかにスカジャンって一時は再ブームみたいになったけど、それもだいぶ前の話じゃないですか。自分が懐かしいなという気持ちもあってスカジャンに手を出したら、「そうか。今はスカジャンが可愛いんだ」みたいになって(笑)。

――若い人への影響力が凄いです。

かてぃ 「若きカリスマ」とか言われるのは恥ずかしすぎて。ファンの子もどこかでわかっていると思いますよ、かてぃちゃんは変な格好をする人なんだって。だからこそ、自分の基準の中で「まだ真似できそうな普通な恰好」を真似するんですよね。やっぱり一般的な恰好がみなさんの好みだと思います。そういう方が今回の本を見たら、「え?」ってなると思います(笑)。というのも、最近のファッションは本当につまらない!色で言えば、たしかに黒は落ち着くでしょう。楽な服がいいという考えもあると思います。だけど間違いなく言えるのは、数年前ってもっとファッションが盛り上がっていましたからね。今回、この本がそういった風潮を変えるきっかけになればいいなと思います。

――ご自身のブランド「Cult Tokyo」も絶好調と伺っています。

かてぃ 今は冬に向けて新作を用意している最中です。買ってくれるのは中学生とかも多いんですよ。だから中高生でも買えるような価格にすることは意識しています。もうね、本当に値切ってギリギリまで安くしています。自分が学生のときは5000円くらいの服を買うのも大変だったし、今はその頃に比べてもさらに服が高くなっている印象もあって、価格面はかなり頑張っています。

奇をてらって変な恰好をしているわけではない

――そもそもかてぃさんとしては、ファッションってどうあるべきだという考え方なんですか?

かてぃ 躊躇している場合じゃなくて、とにかくなんでも挑戦するべき!自分が絶対に似合わないと思うようなスタイルでも、あえてチャレンジして玉砕する。失敗したら、また次のところに行けばいい。よく勘違いされるんですけど、私自身は別に奇をてらって変な恰好をしているわけではないんです。好きなものにしか手を伸ばさなかったら、

周りから変わり者扱いされただけ。実際、地元の横須賀ではめちゃくちゃ馬鹿にされていましたから。

――独自のファッション道を突き進むかてぃさんですが、誰かのスタイルを参考にしたりすることもあるのですか?

かてぃ う~ん、どうだろうな。どちらかというと、昔から男の人に憧れていた部分はあるかもしれない。たとえば上半身を裸にした状態でサッカーするとか、女の人ができないじゃないですか。そういう姿は単純に憧れていた。私は男兄妹に囲まれて育ったし、わりとそれも荒々しい感じだったから。

――かてぃさんのお兄さん、典型的な神奈川のヤンキーですよね。

かてぃ そうそう!小さい頃に女の子っぽい恰好をしていたら、「お前、恋してんの?」ってお兄ちゃんにからかわれたことがあるんです。それがわりとトラウマみたいになっていて、典型的な女の子っぽい恰好をしなくなったのかもしれない。

――「女の子っぽい恰好が苦手」ということですが、本の中ではロリータファッションも披露されています。

かてぃ 映画『下妻物語』を観て吸収したものなのです。でも私もこういうキャラだから、やっぱりロリータは似合わないなと封印していたんです。それで最近になってまた着るようになったんですけど、こんな女の子っぽい恰好をしたのは山田くんに夢中になっていたとき以来(笑)。なぜロリータというか女の子っぽい恰好をするようになったかというと、以前所属していたアイドルグループではあまりにも私を応援してくれる男性ファンが少なかったから!

――かてぃさんの場合は同性からの支持が多いですが、他の女性からするとうらやましい話だと思います。

かてぃ 1回のライブにつき男の人が5人くらいで、あとは全員女の子。もちろんありがたいし、すごくうれしかったです。だけどグループとしてもっと上に行くためには、男性ファンが絶対に必要だというのもすごく感じていました。私が男性ファンを獲得する方向にいくべきではなかったのかもしれないけど、武道館に行くためにはこうするしかないっていう気持ちがあったのも事実です。なんというか、コスプレ感覚で女装していました。

――異性に媚びていたような感覚は一切なかったですが。

かてぃ スカートを履くようになった時点で、私的にはめっちゃ意識しています!リボンつけたり、髪も伸ばしたりしていましたしね。だいぶ「女子」していたつもりです。

周りに合わせたらそれは自分の人生じゃない

――『W online』はティーン世代の読者も多いのですが、お薦めのコーディネートがあれば教えてください。

かてぃ 中高生の服装といえば、やっぱり制服とジャージ!私が中学の頃に着てたジャージは先輩がくれたものなんですけど、ボロさに味があってすごく好きだったんです。それからカスタマイズというか、みんなラインのところに勝手に落書きとかして自分オリジナルのジャージを作るという文化もあって。いつもジャージと制服ばかり着ていたけど、その限られた環境の中で靴下とか髪型を工夫したりもしたし、今思うとそういうのってすごく貴重な時間だったなと思う。

――ジャージ以外では何かありますか?

かてぃ 洋服なんて、そのときに好きなものを着ればいいだけですから。今思い出したんですけど私の中高生時代はroialっていうサーファーのブランドと、バナナセブンっていう洋服が流行っていました。私も憧れていて、お兄ちゃんの服を借りて着ていました。その頃の私、太っていて、体型をごまかすためにバナナセブンを着ていたのもいい思い出だし、かと思えば太っていたのに血迷ってロリータを着ていたのも思い出。自分でも面白いなと思います。

――中高生って他人の目を猛烈に気にする時期でもあると思います。

かてぃ 私の場合、周りに合わせるという感覚はあまりなかったかな。むしろ周りと一緒だと嫌だから、透明のリュックとか背負っていました。学校で禁止されていた携帯とかお菓子が入ってると、先生にバレちゃうんですけど(笑)。周りに合わせたら、もうそれは自分の人生じゃないんですよ。自分のやりたいことをできない人生……そんなの、あまりにももったいなさすぎます。周りに合わせなくてよかったなとは今でも思いますね。流されないでよかったなって。

――最後にティーンへのメッセージをお願いします。

かてぃ 高校は絶対に卒業してほしい!もちろん卒業しなくても楽しいし、そういう生き方もアリだとは思うけど、やっぱり卒業したほうがカッコいいもん!

――今後の目標を教えてください。

かてぃ 最近はインスタグラマーみたいなになっているんですけど。アイドルをやりたくてずっとアイドルやってきたけど、それは終わっちゃった。でも音楽は絶対やりたいという気持ちはずっと持ち続けています。今はファッションやブランドのお仕事を中心にやっていますけど、音楽とファッションを混ぜたようなことを仕掛けていきたいと思っています。ファンの方には「ちょっと待っててね」とお伝えしたいです。

Information

ファッションドキュメンタリーブック
『ファッションカルト』
定価:2200円(税込)
好評発売中
扶桑社

出版社紹介サイト

かてぃ

1998年10月10日生まれ。神奈川県出身。逃げ切れない圧倒的パーソナリティーで、SNSでの言動ひとつひとつにアクティビティの嵐が発生。ときどき炎も発生。そのライフ生命、見た目に憧れて信仰する人たちをギャルズと呼ぶ。2021年2月の武道館ライブを最後に所属していたアイドルグループZOCを卒業。これからよろしくね。

Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Mamoru Onoda