映像を観るだけでも映画館に足を運ぶ理由になる

――豊田市と岐阜県恵那市が舞台となっていますが、撮影中に印象に残ったことはありますか?

森崎 豊田市では地元の方が家を貸してくださったり、休憩をしていたら「頑張ってね」と声を掛けてくださったりして、そういった方々の支えがあってこの作品が完成したんだっていうことを毎日感じながら撮影していました。あとは家が燃えるシーンがあるんですけど、だいたいCGとかになりがちなところを、消防の方々のご協力もあって、「本当に燃やしていい」と特別に許可をいただきました。燃えている火の近くまで行って撮影をしたんですけど、これまでにない体験でしたし、一発しか撮れないということでかなり緊張しました。

――本作の監督である塚本連平さんとはどういったことを話しましたか?

森崎 今回は台本も塚本監督がご自身で書いてくださっているんですけど、最初の顔合わせや本読みのときから、「僕は脚本家じゃないし、みんなで作っていきたいから、キャラクター目線で思うことがあったら言ってね」とお声がけいただいて。最初の段階から台本の意図も含めて監督と綿密に話し合うことができたのは、役者として得たことも大きかったですし、そういう環境を作ってくださった塚本監督には本当に感謝しています。

――自分から監督に適度にアプローチされたのでしょうか?

森崎 「僕が思うにこのセリフは今言えないと思うんですけど、どうですか?」とか。みんな当たり前のようにやっているかもしれないんですけど、主演ということもあって、今まで以上に一歩踏み込んだところに行けたかなと思います。

――映画の見どころを聞かせてください。

森崎 ヒューマンドラマですし、ストーリーももちろん素晴らしいです。それに加え、天気にも恵まれて、風景がとにかく綺麗です。それを観るだけでも映画館に足を運ぶ理由になるくらい価値があるものが撮れたのかなと……僕が撮影したわけじゃないんですけど(笑)。でも、そういう合間に映る画がストーリーをよりいっそう盛り上げてくれているので、劇場で「ウィンが言っていたのはこれのことか!」と思いながら観ていただけたらなと思います。