自分に与えられたことを毎回全力で出し切ってやっていくしかない
――ここからは森崎さんのキャリアについてお伺いしていきます。中学生のときにスカウトされたことで芸能活動を始められたんですよね。
森崎 そうですね。最初は週一回のレッスンに行く習い事みたいな感覚でした。高校2年生のときに初めて作品が決まり、テレビにも少し出るようになって、(街中でも)声を掛けられるようになりました。当時は調子に乗っていて、「芸能人ってこういう感じかー」みたいな薄っぺらいことを思っていました(笑)。そのときからすでに解散していますがPRIZMAXとしての活動もあり、「この世界でやっていきたいけど、本当にできるのか」と思っていました。そういう状況で臨んだオーディションが『レディ・プレイヤー1』でした。あの作品が僕の人生を180度変えてくれたんですよね。本当にターニングポイントで、それを機にいくつもオファーををいただくようになりましたし、ようやく日の当たるところに出られるようにもなったという感覚でした。でも、芸能界の面白いところは、やりたくてできる仕事ではないし、こうして求められているうちが華なので。自分に与えられたことを毎回全力で出し切ってやっていくしかないのかなと思っています。
――『レディ・プレイヤー1』への出演が決まるまでは、この仕事を続けていくか悩んでいたのでしょうか?
森崎 続ける覚悟もなかったですし、求められている気がしていませんでした。でも今は、たとえスパッと仕事がなくなって、芸能の仕事だけで生活ができなくなっても、どんな作品でも出られるのならアルバイトをやりながらでも俳優を続けたいという覚悟ができていると思います。
――当時はレッスンを受けながらお仕事もされていたということですが、学業との両立はいかがでしょうか?
森崎 学生時代はすごく仕事をしていたわけではないので、よく「学校に行く時間がなかった」ってみんな言うんですけど、そういう感覚もなくて、普通の学生生活も楽しみながらやっていましたね。
――学生時代は何に熱中していましたか?
森崎 サッカーですかね。でも、高校になってからはサッカーが遊びくらいの感覚になってしまったので、本当に「これだ!」と熱中するものってなかったんじゃないかなと。最近になって自分のやるべきことが見えて、やりたいことがはっきりしているから、今の方が熱中していることは多いかもしれないです。毎回、何かにチャレンジしていくということはすごく楽しいです。
――昨年30歳という節目を迎えてから、約一年が経ちました。仕事に対する意識についてもこの一年で新たに考えることもあったと思いますが、その点はどうでしょうか?
森崎 ガラッと変わりましたね。この一年だけでも本当にいろんな経験をさせてもらって、自分のなかで表現の幅が広がったなと思う部分もあれば、足りないところもはっきり見えてきました。歌手としても活動しているんですけど、今は自分一人で発信していくことも不可能ではない時代だと思います。だけど、マネージャーだったり、音楽の制作プロデューサーチームだったり、その現場ごとに出会うチームだったり、いろんな方に支えてもらって自分というものが成り立っているんだということを、改めて痛感させられた一年でもありました。
――今年は歌手としてワンマンライブ開催など、特に並行して様々なことをされている印象があります。
森崎 僕自身、現実主義的なところがあり、まだまだ知名度もどかんと上がっているわけではないかなと。でも今やっていることって絶対に後で繋がる瞬間がくると思っていて。それまでは本当に一つ一つ丁寧に、全力投球でやっていくという、当たり前だけど難しいことをしっかりと続けていきたいです。何より、続けられる環境があるだけでもありがたいと思っています。