読書好きの佐久間由衣がおススメする作家
――佐久間さんは読書がお好きだということですが、普段はどのようなものを読まれますか?
佐久間 西加奈子さんや川上未映子さんが好きです。自分の中にもあるはずなのに言葉に出来ないという感情を言葉に出来て、小説の中に散りばめられているような作品が好きで。この映画の原作の小説にもそれを感じました。
――佐久間さんが学生のときに読まれた本で、印象的だったものはありますか?
佐久間 太宰治を漁るように読んでいました。敬意を持って「太宰治」と呼び捨てにさせてもらうんですけど(笑)。太宰治が好きな人は皆さん言うのですが、「こういう気持ちになるのは自分だけじゃなかったんだ」という感情に出会ってしまったんです。あんまり人に言えない自分の心の中の苦い部分、暗い部分、黒い部分がすごく細かく描かれています。そこに共感してしまって、太宰治の沼にハマっていきました。
――読者の隠れていた感情を引き出してくれるというか、太宰治作品ってすごいですね。
佐久間 私、キャラ変を過去に何度かしていて(笑)。中学生の頃は本当にひょうきん者で常に人を笑わせるのが楽しいという、ちょっと芸人的ポジションでした。でも高校生で太宰治と出会ってしまって、もっと内面的なものに向き合っている時間が長くなったというか。読書を通していろいろな経験ができました。
――W online読者にオススメの小説を教えてください。
佐久間 川上未映子さんの『あこがれ』という小説です。弟が現役高校生なのですが、プレゼントしました。私にとっても特別な本で、出口がないと思っていた世界に、ちょっと出口を見つけてくれるというか、自分を導いてくれるような、とても温かい作品なので、ぜひ読んでいただきたいです!
Information
『君は永遠にそいつらより若い』
2021年9月17日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開中
大学卒業を間近に控え、児童福祉職への就職も決まり、手持ちぶさたな日々を送るホリガイは、身長170cmを超える22歳、処女。変わり者とされているが、さほど自覚はない。バイトと学校と下宿を行き来し、友人とぐだぐだした日常をすごしている。同じ大学に通う一つ年下のイノギと知り合うが、過去に痛ましい経験を持つイノギとは、独特な関係を紡いでいく。そんな中、友人、ホミネの死以降、ホリガイを取り巻く日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる…。
出演:佐久間由衣 奈緒
小日向星一 笠松将 葵揚 森田想
宇野祥平 馬渕英里何 坂田聡
監督・脚本:吉野竜平
原作:津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』(ちくま文庫)
主題歌:小谷美紗子「眠れない」
©「君は永遠にそいつらより若い」製作委員会

佐久間由衣
女優
1995年03月10日生まれ。2014年から俳優活動をスタートさせ、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017)、『”隠れビッチ”やってました。』(2019)、『ひきこもり先生』(2021)、『彼女はキレイだった』(2021)、『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021)など数々の話題作に出演。10月からスタートするTBS金曜ドラマ『最愛』にも出演。「ゼクシィ」10代目CMガールなど広告起用も多数。「第32回東京国際映画祭」東京ジェムストーン賞授賞など、今最も注目されている女優の一人。11月4日には初の写真集『佐久間由衣写真集 SONNET 奥山由之撮影』が発売される。
Photographer:Hirokazu Nishimura,Interviewer:Kozue Nakamura