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今この時が当たり前じゃないということを感じ取ってほしい

――中田さんは映画『マイ・ダディ』で、ムロツヨシさん演じる御堂一男の娘・ひかり役として出演されています。この役に抜擢された時の気持ちを教えてください。

中田 第一にすごく嬉しいという気持ちがありました。でも、時間が経っていくにつれて自分が任された役の責任などを考えるようになって、嬉しい反面、責任感も強く感じました。複雑な気持ちではありましたが、私を選んでくださったのがとにかく嬉しかったので、精一杯がんばろうと思いました。

――牧師の娘という役どころで、映画の中ではオルガンも演奏されていました。

中田 実際に演奏したのですが、撮影で現場に入ったときに弾いてみると全然できないということに気づいて。ピアノはやっていたので練習はしていましたが、オルガンはまた違いますし、特にペダルを踏みながらの演奏が本当に難しくて、現場でもすごく練習しました。また、教会という神聖な場所に入ることができたのも、自分にとっていい経験になりました。

――台本を読んで、ご自身とひかりとで共通している部分はありましたか?

中田 私はひかりのように表面的な明るさみたいなものはあまり持っていないけれど、ひかりの中にある意思の強さや、頑固な面は似ていると思いました。ひかりは友達を大事にする子だし、私も友達を大事にしたいので、そういう面でのギャップというのはあまりなかったかなと思います。ただ、演じた時に心情がだんだんと変化していくところなどはすごく難しかったです。

――中田さん自身はどういったところが頑固なんですか?

中田 自分で決めたことや、相手に対する気持ちみたいなものに対してはけっこう頑固だと思います(笑)。

――本作品でムロさんと初共演となりますが、どういった印象を受けましたか?

中田 ムロさんの存在は本当に大きかったです。間近でムロさんを見て、学ぶことは多く、役に真摯に向き合っている姿は格好よかったです。現場でも存在感があって皆さんとコミュニケーションをたくさん取られていていつも和ませてくださるので、そういう存在に私もなれたらいいなって思いました。

――劇中でひかりは白血病を発症してしまいますが、中田さんはこの役作りのために髪を剃って撮影に臨んでいます。ためらう気持ちはありましたか?

中田 事前にわかっていたことでしたし、なによりこの役を演じるにあたってすごく大事なことだと思ったので、全然抵抗はなかったです。それに撮影に入る前にも、助監督さんたちが白血病についてや、教会のことなどについて資料を作ってくださっていて。その資料を読んだり、白血病の方のインタビューやドキュメンタリーも観たりしながら自分の中でも想像力を働かせるようにしていました。

――そういった面からもひかりに対する理解を深めていったんですね。この作品に出演して変化したと感じることを教えていただけますか?

中田 お芝居に対する向き合い方が変わりました。もっとお芝居に向き合って、本当の意味で役として生きたいなと思うようになりました。これまでは作品に出ることが大事だと思っていたんですけど、それよりもこの役をやりたいと思ってできることが幸せなことだと思うようになりました。スタッフさんや共演者の方とコミュニケーションを取ることやしっかりと準備をすることが大切なんだなと。撮影までに一年あったのですが、できるだけ準備をするという過程を経て現場に臨むことができました。

――改めて本作品の見どころを教えてください。

中田 私としてはひかりが変化していくところを見てほしいです。最初は普通に学生として生きている。それがいろいろと段階を踏んでいって、当たり前だったことが当たり前じゃなくなったり、急にそこにあったものがなくなったり。状況が180度変わってしまったり、立ち直れないようなことがあったとしても、それが人生。特に私みたいな年代の方には、今この時が当たり前じゃないということを感じ取ってほしいです。

――中田さんは現在18歳ですが、同世代の方にも響くものが多い作品なのかなと思いました。

中田 私と同じ年代の方は思春期や反抗期で親との距離がある方が多いのかなと思います。でもそれがずっと続くわけじゃないし、その関係って変わらないようで実は変化しているんです。そうした中でも自分のことをずっと思ってくれている人はいるし、そういう人を大事にしてほしいなと思います。

お芝居は誰かの人生を分けてもらっている感覚がある

――ここからは中田さんご自身のことについてお伺いしていきます。そもそも芸能界に入ったきっかけはなんだったんでしょうか?

中田 きっかけは「東宝シンデレラ」オーディションです。当初は女優になりたいとはまったく思っていなくて。私の姉が一つ前の「東宝シンデレラ」オーディションを受けていたこともあり、母が私の知らない間に応募していたんです。その当時、私は部活をやっていたし、休んだら怒られるからオーディションに行きたくはなかったんですけど、無理やり連れていかれました(笑)。でも、そこがすべての始まりで、それがなかったら今はないので、きっかけを作ってくれた母や姉には感謝しています。

――なぜこのお仕事をしていこうと思ったんでしょうか?

中田 最初は自分の中でやらされている感がありました。高校生になってから「このままじゃだめだ」という気持ちが強くなっていきました。このままレッスンに行って帰ってということをやっていても何も変わらないし、自分自身がビジョンを持たないといけないことに気づきました。そこから自分のだめなところも受け止めながら、お芝居に積極的に向き合っていこうと思うようになりました。

――お仕事のどんなところが楽しいと感じますか?

中田 できないことや悔しいことが多いですが、やっぱりお芝居をすることが一番楽しいです。それにお芝居は誰かの人生を分けてもらっている感覚があるし、演じることがすごく好きだから。

――今後の目標を聞かせてください。

中田 どんな役でもやれるようになりたいし、ずっと初心を忘れずにやっていきたいです。細く長くとは言わないですけど、ずっとお芝居に関わりたいと思っています!

――ちなみに演じてみたい役柄などはあるんですか?

中田 サイコパスとか、自分とは真逆のぶっ飛んだ役をやってみたいです(笑)。

――自分にはないキャラクターを演じてみたいんですね(笑)。では最後になりますが、中田さんと同世代のティーンに向けてメッセージをお願いします!

中田 自分がこうしたいと思ったことに向かって突き進んでほしいなと思います。私もそれでぶつかったりしたことはあったけど、ぶつかったりしながらもなんとか進んできてよかったなと思えています。人生の岐路みたいな、決断するときがありますよね。そこでどうするかによって未来も変わっていくから、その時にちゃんと立ち止まって、後悔のない選択をしていってほしいなと思います。

Information

『マイ・ダディ』
絶賛公開中!

[キャスト]
ムロツヨシ
奈緒 毎熊克哉 中田乃愛
臼田あさ美 徳井健太(平成ノブシコブシ) 永野宗典 小栗旬 光石研

[スタッフ]
監督:金井純一 脚本:及川真実 金井純一 音楽:岡出莉菜
主題歌:「それは愛なんだぜ!」カーリングシトーンズ(ドリーミュージック)
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント 制作プロダクション:ROBOT 配給:イオンエンターテイメント
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく……と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る……。

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中田乃愛(なかだ のあ)

女優

2003年6月21日生まれ。石川県出身。2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションにてファイナリストに選ばれる。2019年、国内外の映画祭で話題となった長久允監督の映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』でデビュー。

Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Tetsu Takahashi