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主演の森崎ウィンさんとは同い年で境遇も似ている

――映画『僕と彼女とラリーと』はモータースポーツ・ラリーを題材とした物語ですが、どのような気持ちで撮影に臨まれましたか?

深川 それまでラリーというものに馴染みがなかったので、まずは自分で調べたり、撮影前にプロのドライバーさんの助手席に乗せていただいて実際の速さを体感させていただきました。150キロという経験したこともないような速さで、「ひゃー!」と叫ぶことしかできなかったんですけど(笑)。私が演じる美帆という役は普段から車の運転がかなり上手な役だったので、ラリー車の運転についてもしっかりと知識を身につけておかないと、と思って勉強しました。

――深川さん自身、運転免許はお持ちですか?

深川 持っています。ただ自分の車を持っていないので普段運転する機会は滅多にないんです。今回の撮影では撮影の安全上、車を運転するシーンは牽引で撮りましたが、私が持っている免許はAT限定で、撮影で乗った車はマニュアル車だったので、ラリー車を運転するためのレバーさばきなど何から何まで教えていただきました。

――撮影期間を振り返って、感想を聞かせてください。

深川 豊田市(愛知県)、恵那市(岐阜県)の方々の全面協力のもと、約1カ月間撮影させていただきました。地方で1カ月もの長い間撮影をする機会ってあまり多くはないので。その分絆も深まりましたし、自然豊かな環境でとてもリラックスして撮影に臨めました。私は出身が静岡県なのですが、セリフに出てくる方言とかなり似ていたので、地元にいるような感覚にもなりました。

――確かに作中では美しい風景が随所に見られます。

深川 山や湖の景色は本当にきれいでした。水が透き通っていて、そこに山が反射して映っていたり。とても素敵な風景だったので写真をたくさん撮りました。また豊田市美術館にも行かせていただき、すごくきれいな場所で、プライベートでもまた行きたいなと思いました。

――主人公・北村大河役の森崎ウィンさんとの共演はいかがでしたか?

深川 幼馴染という役柄もあってしっかりコミュニケーションを取りたいなと思っていて。とはいえお会いするのは初めてなのでどうなるのかなと想像しながら撮影に入ったのですが、とても気さくな方で初日から現場を引っ張ってくださりました。わりとスッと仲良くなれた気がします。撮影期間もシーンによっては、「ここはどう演じていくか」を相談し合えたので良かったです。

――同い年ということもあり、親近感もありましたか?

深川 そうですね。同い年ですし、(水野一秀役の)田中俊介くんも含めて、グループからソロになったという境遇も似ています。意外とこの世代の人とお仕事で出会うことが少ないので、互いに「この学年、頑張っていこうね!」と言い合ったりしました(笑)。

子どものやりたいことを応援できる母親が理想像

――深川さんが演じたのは、大河の幼馴染であり地元テレビ局に務めるシングルマザー・上地美帆。深川さんは美帆をどういう人物だと捉え、演じる上でどのようなことを心掛けましたか?

深川 美帆は就職、結婚、離婚を経てシングルマザーになり1人で息子の敢太を育てているんですけど、たぶん今まで生きてきた中で苦しいことや傷ついたこともっぱいあったと思います。でも今はそういった過去を表に出さずに明るく前を向いている、とても強い人だと感じました。なので撮影全体を通して常に明るくいようとは心掛けていました。あと、大河のやりたいことに対して美帆なりにいろいろと考える場面もあり、誰かを自然にサポートできる人だという印象も受けました。

――深川さんと美帆を比較して、似ている点や似ていない点はありますか?

深川 美帆は車に乗るとものすごいハンドルさばきで一気に飛ばすんですけど、私は安全運転でいたいタイプなので、そこは違うかな(笑)。共通点は、地元が大好きというところです。今は気軽に帰れる状況ではありませんが、やっぱり地元の空気を吸ったり家族や友人と会うとリラックスできますし、地元の良さをもっとたくさんの人に知ってもらいたいという思いもあるので、地元愛という点では似ていると思います。

――シングルマザー役を演じてみていかがでしたか?

深川 最初はどういうふうに子役の子とコミュニケーションを取ろうかなと考えていました。敢太役の一ちゃん(佐藤一和)は本当に現場の天使で。場を自然と和ませてくれたり、眠くなったらストンと寝ちゃったりして、その姿が見ていてとても癒やされました。物語の中で敢太が大ケガをしてしまうシーンがあるんです。私は子どもを産んだ経験がないのでまだ母親の子に対する想いは想像することしかできないけど、自分の命より大切な存在をなくしてしまうのではないかという恐怖と、一刻も早く助けたいという気持ちにはとても共感しました。

――深川さんは「こういうお母さんになりたい」という理想像はありますか?

深川 子どもがやりたいことをちゃんと応援できるお母さんでありたいなと思います。それは私が実の母にしてもらったことでもあるので。私が上京するときに母が背中を押してくれたので、「理想のお母さん像」というと自分の母親と重なるかもしれません。

まずは興味のあることに手をつけることが大切

――このお仕事を目指したとき、ご家族は深川さんの夢をどのように後押ししてくださったのですか?

深川 中学生のときに、テレビや雑誌を見ていて初めて芸能のお仕事に憧れを持ったのですが、だからと言って自分が何か特別なものを持っているわけでもなく、高校を卒業して上京しても通用するとは思っていませんでした。それから専門学校に進学したんですけど、卒業を控えたタイミングで「(上京して芸能界に)挑戦するなら今しかない」とやっと決意が固まりました。その決断に対してうちの両親は「麻衣がやりたいんだったら、やってみれば」と背中を押してくれました。同時に、「1、2年頑張ってダメだったら静岡に帰っておいで」とも言われて。今思うとその言葉にすごく救われた気がします。そういう期限があったから自分の中でいい意味での緊張感ができたのかなって。その時に踏み出したことが今に繋がっていると思います。

――読者のティーン世代に、進路を決める上でのアドバイスやメッセージをお願いします。

深川 どんなに小さなことでもいいから、興味があることや好きなことに手をつけてみるというのはすごく大事だと思います。実際に手をつけてみないと自分に合うか合わないかは分からないので。もし自分が何をやりたいのか分からない場合は、例えばノートに自分が心惹かれるものを書き出してみるとか、あるいは逆に嫌いなことや、やりたくないことを書いてその対比で考えてみるのもアリかなと思います。私は学生の頃、大人の方から「何でもできる年頃だから」とよく言われていましたけど、年齢を重ねて30歳になった今、その言葉の意味がすごく分かるようになりました。10代の皆さんには本当にいろんな可能性があるので、もしかしたら「自分にできるのかな」とか「周りにどう思われるのかな」って思っちゃうかもしれないけど、そこを乗り越えてやりたいことに挑戦してもらえたらと思います。

――その点では、本作『僕と彼女とラリーと』も主人公・大河が自分と向き合ってチャレンジしていく物語なので、通じるところもありますね。

深川 そうですね、この作品は何歳になっても夢に対して挑戦できるということを描いた映画なので、見てくださった方の夢や、やりたいことを少しでも後押しできたらうれしいなと思います。また、この作品には家族愛も詰まっていて。家族と常に近くにいるとついついケンカしちゃうこともあるかもしれないけれど、当たり前のようにそばにいてくれる人の大切さにも気づいてもらえるんじゃないかな、と。もし1人暮らしをされている方だったら、「久しぶりに両親にLINEでもしてみようかな」「おじいちゃんおばあちゃんに電話をしてみようかな」といったきっかけにもなれたら。映画はラリーがテーマですが、車に詳しくなくても男女問わず楽しめる作品になっていますので、ぜひ気楽に見ていただけたらうれしいです。

Information

『僕と彼女とラリーと』
10月1日(金)全国ロードショー

森崎ウィン 深川麻衣
佐藤隆太 田中俊介 小林きな子 有福正志
竹内力 西村まさ彦

監督・脚本:塚本連平
主題歌:JOYRIDE/加藤ミリヤ
製作:『僕と彼女とラリーと』製作委員会
制作:RIKIプロジェクト
配給:イオンエンターテイメント / スターキャット
©2021『僕と彼女とラリーと』製作委員会

大学進学を機に上京し役者を目指す大河(森崎ウィン)は、ある日突然、地元で暮らす幼馴染の美帆(深川麻衣)から父(西村まさ彦)の急死を知らされる。父はラリーで数々の栄誉に輝いたメカニックで、今は豊田市の外れで「北村ワークス」を営んでいた。しかし、大河は幼い頃死別した母を想い、家庭を顧みなかった父を今も許せておらず、釈然としない思いのまま久しぶりに故郷へ帰る…。実家ではエリート銀行員の兄(佐藤隆太)が、優秀なメカニックの父なしに経営存続は難しいと考え、「北村ワークス」を畳む決断をする。一方、大河は実家で兄と遺品整理する中で父の知らなかった過去に初めて触れる。さらにシングルマザーとして奮闘する美帆や、父が若き日にともにラリーをめざした親友・宮本武蔵(竹内力)、路頭に迷う従業員(田中俊介、小林きな子、有福正志)たちと向き合ううちに、父の残した本当の思いに気づき、自分自身と仲間たちの再起をかけてラリーにチャレンジしようと決意する。しかし、素人の大河、頼りない仲間たちとの挑戦には、予想もしていなかった困難が待ち受けていた――。

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深川麻衣

女優

1991年3月29日生まれ。静岡県出身。2017年、『スキップ』で舞台初主演。2018年、映画初出演で初主演を務めた『パンとバスと2度目のハツコイ』で第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。2019年、「日本ボロ宿紀行」(テレビ東京)で地上波連続ドラマ初主演。主な出演映画に『愛がなんだ』(19)『空母いぶき』(19)『水曜日が消えた』(20)『おもいで写眞』(20)など。

Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Yutaka Sato,Stylist:Kumi Hara,Hair&Make:Mayuko Shiromizu
衣装協力
リング¥13,200/ete(エテ)、イヤリング¥17,600/ADER.bijoux(アトリエダブリュ) ※全て税込価格
問い合わせ先 アトリエダブリュ 03-6434-0486エテ 0120-10-6616