柳葉敏郎さんの一言にほっとした
――劇中では民謡も歌われていますが、なかなか大変だったとお聞きしました。
長澤 1ヶ月くらいレッスンに通ったんですけど、基礎の肺活量がとにかく足りなくて。短いフレーズでも、長く伸ばす部分とか、一息で歌わないといけない部分がたくさんあるので、とにかく持たない。練習中に一度、酸欠で倒れかけてしまうこともありました。でも、屋根の上で歌う時に、ふらっとなったらダメじゃないですか(笑)。そこだけは気をつけないといけないと思って、先生にもたくさん指導していただきました。
――抑揚のつけ方も難しそうですね。
長澤 “こぶし”もそうですけど、音程やリズムも、伴奏がなくアカペラだから、自分でテンポを決めているとどうしても息が足りない。それでも徐々に余裕が出てくると、歌詞の意味や、風景を思い浮かべながら歌えるようになって楽しかったです。
――情感豊かに歌いあげていたので、さすがだと思いました。
長澤 先生に支えられながらじゃないですけど、ぎりぎりまで調整をしていただいたので、自信は持てましたし、成長もできたかなと思います。
――真希のおじである秀雄役は柳葉敏郎さんが演じていますが、共演されていかがでしたか?
長澤 言うことははっきりと言ってくださるので、あいまいなまま終わることは全然なくて。でも、怖い雰囲気でもなく、本当に自分のおじさんというような感じでしたし、ずっと支えられていたように感じます。それに私が間違えてNGを出してしまったときも、柳葉さんは「ドンマイ!」と言ってくださったんです。その一言にとてもほっとしたと同時に、今まで「完璧にやろう」「NGを出しちゃいけない」とか、そういうことばかり考えていたのが逆に失礼なんだということに気がついて。それまでは真希という子を理解するために、時間や思考を使うことの方が大事だということが分かってなかったんですよね。
――役を演じる意識もそこから学ばれたんですね。
長澤 自分にできることは「どれだけ真希を分かってあげられるか」。柳葉さんとの撮影が最初のころだったので、早い段階でそれに気づけてよかったです。
――映画の見どころを教えてください。
長澤 真希が成長していくストーリーはもちろんですけど、映画には秋田の魅力がぎゅっと詰まっているので、音や空気感など、そういうものも感じてほしいなと思います。