ターニングポイントになった朝ドラ出演
――短い撮影期間の中で、監督や共演者の方とコミュニケーションをとるのは難しかったですか?
松本 本当に撮影が一瞬で。普段から監督と話し合ったりするほうではないんですけど、今回はちょっと言葉を交わすだけで終わってしまいました。(映画館のシーンで)共演した男の子は、「映画が初めて」と話していてガチガチに緊張していたので、ちょっとでもほぐせないかなと思って「好きな女の子とかいないの?」と話しかけていました。余計にドギマギさせちゃった気もするんですけど(笑)。撮影後に花束を受け取って「花束をもらうの、初めてです」と話しているのを見たときには、彼の初めての作品になるんだなと思うと、すごく光栄でした。
――現場で先輩として後輩に接する上で意識することはありましたか?
松本 そんなに先輩って感じで接する方でもないのですが、私もこれまで先輩方の姿を見てきているので、お節介になりすぎず、現場では対等に、ちょうどいい感じでいられたらいいなと思っています。私もすごく緊張しちゃうこともあるんですけど、ちょっとでも現場にいる方と仲良くなれただけでも落ち着けることがあるので、余計な緊張が少しでもなくなれば一番いいのかなと思っていました。
――松本さんにも、現場でお互いに対等でいたいと思わせてくれた先輩がいらっしゃったのでしょうか?
松本 そうですね。朝ドラ「ひよっこ」で共演した和久井映見さんは、年下の私たちにも敬語で話してくださいましたし、他にも素敵だなと感じる姿をたくさん見てきました。だからこそ、そういう人になれたらいいなという思いはあります。
――これまでの半生を振り返って、今の自分を作ったきっかけになった経験はありますか?
松本 大きなきっかけだなと思うのは、「ひよっこ」です。あのとき感じられたことはきっとどこかに残っているんだろうなと、不安になったときに思い出せる経験になりました。自分でいろいろアイデアを出して、それがよかったと言ってもらえたのも「ひよっこ」が初めてで。役の上でも心の底から嬉しい気持ちになれたり、脚本に書かれている以上のものが自分の中から出てきたのは、なかなか体験できることじゃなかったなと思います。
――では、松本さんの半生で人に語りたくなるようなすごいエピソードをひとつ上げるとしたら何でしょうか?
松本 高校生のときにUSJに行って、その日にSMAPさんがサプライズでいらっしゃっていたのを見たことです。何で今これを思い出したんだろう(笑)。でもあれはすごかったです。普通に友だちとユニバに遊びに行って、そしたらいろんな人たちが急に走り始めて。よくわかんないけど、みんなが走っているからつられて走ったら、建物の屋上から木村拓哉さんが出てきたんです。そういう運のよさはありますね(笑)。