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常にゾンビとの戦いをイメージトレーニング

――今回、「DIVOC-12」プロジェクトに参加しようと思ったきっかけを教えてください。

清野 コロナ禍で撮影が止まるなど、本当に悔しい思いをしている中で、もう一度日本の映画界を盛り上げようという前向きな姿勢に胸を打たれて、私もどんな形であれ、少しでも参加できたらいいなと思いました。中元(雄)監督はアクションに対するリスペクトが強くて、他にない世界観をお持ちの方で、その世界観に浸れるというのもとてもワクワクしましたし、私はゾンビに追いかけられるのが長年の夢で(笑)。その夢も叶えてもらえるんだと、本当にやりたいと思わされる作品でした。

――中元監督とのやりとりで印象的なエピソードを教えてください。

清野 ゾンビだけだったら怖いけど、その中でもクスっと笑えるコメディ要素をちりばめていきたいとおっしゃっていて。基本的には自分でこうしようというのはあまり決めずに、現場に行って、監督と一緒に少しずつ完成させていった感覚がありました。監督は「こういうことをやりたい」というのが明確にある方で、「これってどうなんですかね?」と聞いたら必ず答えをお持ちだったので、とてもやりやすかったです。アクションにしても「今回はブルース・リーっぽく」「次は千葉真一さんっぽく」とか(笑)、監督のやりたいことをやりましょうという雰囲気で撮影をしていて、たくさん笑いがあるすごくいい現場でしたね。

――監督からのリクエストで大変だったこと、難しかったことはありますか?

清野 やっぱり「コォ〜〜」(※千葉真一さんのモノマネ)ですね。あんなにやったのに、カットされちゃったんですけど(笑)。でもブルース・リーをイメージした、ゾンビの手でヌンチャクをするところは入っていてよかったです(笑)。

――たくさんの見せ場がある中で、清野さんのお気に入りのシーンを教えてください。

清野 ゾンビを切り裂いた後に大きなカマを回すんですけど、あそこは何回もNGを出しちゃって、苦戦しながら頑張ったシーンです。あとドリルでゾンビの頭を攻撃するところは、実際はドリルが動いていないけど動いている感じを出さないといけなかったので、刺されるアクションマンの方と一緒に振動を出せるように努力しました(笑)。

――ホームセンターが舞台ということもあって、アクションの中でいろんな道具も登場しました。

清野 そうですね、今まで剣や銃、素手を使ったアクションはやってきましたけど、DIYの道具を使うことはなかったです(笑)。あとはゾンビから引きちぎった手がヌンチャクになる発想もすごく刺激的で面白かったです。でもやっぱり本物のヌンチャクではないのでキレイに回らないし(笑)、そういう苦労はありました。今回のアクション監督が以前何度かお世話になった方たちで、私のよさもアクションの中に入れてくださって。さらに監督が敬愛しているブルース・リーやジャッキー・チェンの要素、そして私が『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチに憧れてアクションを始めたので、その要素も取り入れてくださったんです。みんなの夢がギュッと詰まっていますし、すごく映画愛に溢れた作品になったのかなと思います。

――映像としてアクションをカッコよく見せるコツはありますか?

清野 同じリズムで動くと、どれだけ速くてもそう見えないので、同じテンポにしないようにすることは心がけています。一発一発にインパクトを残したいので、殴るにしても斬るにしても、必ず余韻をオーバーにつけています。あとはアクションマンのみなさんの受けがすごくて、自分の余韻+アクションマンの方のリアクションという化学反応で、ダイナミックなことが起きているように見えたらいいなと思っています。

――撮影期間が短い中で、キャストやスタッフとのコミュニケーションで心がけたことはありますか?

清野 みなさん、向いている方向が一緒だったので、特別に何かしたということはなかったです。夢中で走りきって、みんなで作り上げたという感覚でした。自分でも満足のいく素敵な作品になったなと思います。すごく楽しかったです。

――後輩役の高橋文哉さんとのテンポ感もすごく面白かったです。

清野 あんなにいい人がいるんだって思うぐらい、本当に優しい男性でした。すごく疲れていると思うのに、「お疲れさまでした。これだけ言いたかったんで」と私の撮影が終わるのを待ってくださっていて。すごく素敵な俳優さんでした。

――ゾンビに追いかけられるのが夢とおっしゃっていましたが、もともとゾンビはお好きなんですか?

清野 大好きです! 『バイオハザード』で好きになって、ずっと追いかけられたいと思っていたのは『ウォーキング・デッド』のゾンビですね。全部のシーズンを見ていて、あの仲間に加わりたくて。ゾンビ役でもいいからどこかで出られないかというくらい、あのゾンビたちに追いかけられたいし、頭を突き刺したいです(笑)。常に「もし電柱の影からゾンビが出てきたらどう刺そう」とか、イメトレをしています。

脚本家・倉本聰との出会いで仕事観が変わった

――今回のプロジェクトは“コロナに負けない”というテーマもあれば、表現者への支援や成長の場としての意味合いもあります。清野さんにとって、表現の変化や成長のきっかけになった経験はありますか?

清野 「やすらぎの刻」(テレビ朝日系)というドラマに出させていただいたときに、脚本家の倉本聰さんに出会って、自分の仕事観が変わりました。それまでも一生懸命やっていたんですけど、どうやって役作りをしたらいいのか、どう向き合ったらいいのかわからなくて。倉本さんはキャラクターが生まれたときからの年表を書いて台本を作ると聞いて、そういう向き合い方もあるんだと知りました。そこで自分の芝居に対する気持ちが変わりました。

――清野さんも同じように、役の年表を作られたりしたのでしょうか?

清野 一時期は真似して年表を作ってみたこともあります。あとは台本に書いてあることがすべてではないと考えられるようになりました。例えばただお茶を出すだけでも、その人は家で家族と喧嘩してきたかもしれないし、すごくハッピーなことがあったかもしれない。それでお茶の出し方は変わるよねと。そういう裏設定の考え方、想像の膨らませ方を倉本さんに教えていただいて、広く捉えられるようになって、答えはひとつじゃないんだなと教えていただきました。

――中学生からお仕事をしている清野さんですが、学業との両立はどうしていましたか?

清野 学業との両立は相当の努力がないと無理だなと思いましたね。私はできなかったです(笑)。私が通っていた学校はすごく特殊で、授業でドラム、ギター、ピアノ、ダンスもヒップホップ、ジャズ、バレエをやっていたので、仕事で休むと一回の授業で学べないことが多すぎて。ずっとテストに向けての授業なので、それで自分はちょっとひねくれちゃったところがあったんです。でも今は、高校時代はかけがえのない3年間で、もっと勉強面も頑張っておけばよかったなという気持ちもあったりします。

――オーディションに応募された小学6年生から、芸能の道で頑張ろうと決めていたのですか?

清野 友だち3人で受けたんですけど、若いときのノリというか、「一緒に受けようよ」と言われて受けたので、最初はそこまで絶対にという気持ちはなかったですね。でも高校卒業した頃から、これが自分の仕事だと思うようになってきて。大学に進まなかったということもそうですし、この仕事しか知らなかったので、他の仕事に就くことは想像しにくかったです。

――高校を卒業する前と卒業してからで、お仕事への意識は違いますか?

清野 違いますね。学校に行きながらの仕事だと、現場も学校の一環という気持ちになっちゃっていて。だからこそもうちょっと楽な気持ちで、楽しかった思い出のほうが強いんです。学校がなくなったら「もうこれしかない」というか、かなり現実を突きつけられた感じはありました。

――清野さんが学生の頃に夢中だったことを教えてください。

清野 学生の頃は、とにかくジャスティン・ビーバーに夢中でした。私、愛知県の出身だったので、音楽を聴きながら電車通学することにすごく憧れていたんです。高校で上京してきて、電車で何を聴こうかと音楽を探していたら、ジャスティン・ビーバーを知って。最初は女の子かと思っていたら、男の子という衝撃からさらにハマっちゃったんです。もうジャスティンに夢中で、ジャスティンがギターを弾くので、私もギターを弾けるようになりたいと思って高校でギターを始めました。ジャスティン・ビーバーになりたかったですね(笑)。

――何がそこまで清野さんを惹きつけたのでしょうか?

清野 私は高校生のとき、自分に自信がなかったんです。でもジャスティンはピアノ、ギター、ドラムもプロ級に上手だし、ダンスだって踊れるし、歌だって作っていて。でもそれって努力しないと身につかないものだよなと気づいて、その見えない努力のカッコよさやあんなに自信を持ってショーできるというのが、その当時の自分にとって魅力的で。すごくカッコよく見えました。

高校時代は友だちがいつも支えてくれた

――学生時代で印象的な思い出を教えてください。

清野 私は高校時代、世界の中で私が一番青春している、一番今を楽しんでいると思っていて、毎日が楽しかったです。辛い時期もあったんですけど、私の友だちはいつも私を支えてくれて、学校に行くときも家まで迎えに来てくれたり。一時期学校に行かないという選択をしていた時期もありましたが、最終的には学校に行って、またみんなと仲良くできたのもすごくいい思い出です。あとは青春を感じたら「青春!」って叫んで走ろうみたいなことをしていて(笑)。今思うとかわいいし、キャピキャピしていましたね。

――どんなときに青春を感じていましたか?

清野 横断歩道を渡る瞬間とか、みんなで冬にコンビニのおでんを買ってわーって走るときとか(笑)、なんか「青春って感じが湧いてこない?」って。あとは紙パックのジュースを飲んで、プリクラを撮って、サイゼリヤに行って、カラオケに行ってみたいな、高校生らしいことをしていましたね。

――最後に、学生の読者にエールをお願いします!

清野 今を楽しんでいる人もいれば、あんまり面白くないなと楽しめていない人もいるかもしれないんですけど、どっちにしても、やっぱり学校には行っておいたほうがいいと私は思います。ちゃんと授業も受けたほうがよかったなと私は大人になってから思ったので、「こうすればよかったな」と思いそうだったら、時間は取り戻せないのでしっかりやったほうがいいと思う。あと制服はいっぱい着たほうがいいです! いっぱい着て、いっぱい出かけて、いっぱい写真を残したほうが絶対いい思い出になるし、リアル高校生を体感できるのは本当にこの3年間しかないから、いっぱい楽しんでください!

Information

『DIVOC-12』
10月1日(金)公開
監督:藤井道人 上田慎一郎 三島有紀子
志自岐希生 林田浩川 ふくだみゆき 中元雄 山嵜晋平 齋藤栄美 廣賢一郎 エバンズ未夜子 加藤拓人
製作・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2020-2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc.

『死霊軍団 怒りのDIY』
出演:清野菜名 高橋文哉
監督:中元雄

元空手部で男勝りな性格のマリ(清野菜名)は、ひょんなことからデート中に彼氏にフラれてしまう。そんなある日、落ち込みながらホームセンターでバイト中の彼女の元に友人から合コンの誘いが。一世一代の大チャンスに気合を入れるマリだったが、突如ソンビ化した市民が店内に侵入!果たして、マリはゾンビ軍団により地獄と化したホームセンターから脱出し、無事合コンにたどり着くことが出来るのか!?

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清野菜名

女優

1994年10月14日生まれ。愛知県出身。ティーン誌の専属モデルを卒業後、女優に。2014年に映画『TOKYO TRIBE』でヒロイン役に抜てき。以降、ドラマ、映画、舞台、広告など多くの作品に出演。ジャパンアクションアワードベストアクション女優賞を2度受賞するなど、アクションのできる女優としての立ち位置も確立。さまざまなジャンルでいろいろな表情を見せる注目女優である。2021年10月期TBS火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』にて主演を務める。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Sonoko Tokairin, Stylist:Kazunori Sasaki, Hair&Make:Satsuki Shimoyama