中学生のときは明るかったけど高校でズドンと落ちた
――後藤さんは三軒茶屋のマンションに住んでいることをエッセイで公表されていますが、端々から地元・埼玉への愛が伝わってきます。
後藤 三軒茶屋よりも全然地元!友達が最高です。毎日会いたい!
――地元に友達が多いんですね。
後藤 高校時代の友達は一人もいないんですけど、中学校は超楽しかった。中学時代の友達には先生をやっている人もいて、みんな立派に働いてるんで、そういう安定した、いい暮らしをしてる人たちと一緒にいたいんです。
――中学時代の友達って特別なものでしょうか?
後藤 そうですね。僕たちがテレビに出たときの話になっても、「あれ面白かったよ」みたいな純粋な感想ですし、一緒にいて楽しいです。
――エッセイにも学生時代の話が出てきますが、中学時代と高校時代の落差がすごいなと思いました。
後藤 中学生のときは明るかったんですけど、高校でズドンと落ちてしまって。出だしを間違えちゃったんです。隣の学区にある高校に通っていたんですけど、すごく偏差値が低い学校だったんです。中学で仲が良かったお友達はみんな頭がいいので、進学校に行ってしまい、「あっ!間違えた」って思いました。
――勉強は苦手だったんですか?
後藤 勉強は嫌いです。塾とか通わせてもらえなかったですし。
――暗黒の高校時代、どうやって3年間を過ごしたのでしょうか?
後藤 ヤンキーがはびこる高校で、初日に眉毛を剃って登校したんですよ。奴らにナメられたくなかったから。でも、特にいじられることもなくでした。あと普通にヤンキーからしゃべりかけられるんですけど、話が合わないんで、あんまりしゃべりたくなかったんです。遊びにも誘われるんですけど、行きたくないから断ってたら、どんどん僕自身が静かになっていきました。みんなバカなんでテンションが高いんですよ。なんかノリが面白くないヤンキーっているじゃないですか?
――いますね(笑)。
後藤 そのテンションに合わせられないし、ちょっと関わりたくないなって。それで僕、ギャルと付き合ってたんですよ。そのギャルに全てをお任せして、ギャルを盾にして高校時代を乗り切りました。
――そのギャルとは高校1年生の頃から付き合っていたんですか?
後藤 そうです。僕ね、本当は好きなタイプは別だったんですけど、やっぱナメられないようにギャル!
――ギャルのノリにはついて行けたんですか?
後藤 いやその子とも話が合わないんで、全く遊んでなかったですけど。
――実際、盾にはなってくれたんですか?
後藤 ヤンキーの彼女グループでネットワークが広がっていたので、そのグループの中で僕の印象が良くなることを言ってねとお願いしてました。僕は高校時代、学業に専念してたんで、それがかっこよく見えて、学校では「いいセンス出してる」みたいな評価だったんです。
――ヤンキーと仲良くならなかったことが功を奏したんですね(笑)。そのギャルとは高校の3年間ずっと付き合ってたんですか?
後藤 そうです。ただ僕が「お笑いをやる」って言ったらどっか行きましたね。「お笑い?」って感じでビックリしたんでしょうね。
――交際中に後藤さんはギャルを笑わせていたんですか?
後藤 はい。よく笑う子でした。
――どういうきっかけで高校卒業後、「ワタナベコメディスクール」に通おうと思ったんですか?
後藤 お笑いはずっと好きでしたが、きっかけは、「中学時代の友達が願書を送ったから」なんです。
――「友達がオーディションに応募したから」みたいなデビューのきっかけはアイドルではよく聞きますが、お笑いの養成所で、そのパターンは珍しいですね。
後藤 高校を卒業したらバイトしようと思っていたんですよ。それを友達に言ったら、「養成所に応募しといたから」って言われたんです。ただ入学するにはオーディションがあって、友達にいじられての応募だったので、思い切って行ってやろうと思ったんです。そしたらオーディションでベタ褒めされて、それを真に受けちゃったんです。後で振り返ってみたら、養成所に入れたいから褒めるに決まっているんですよ。それに騙されまして、入学することに。それに気づいていれば、お笑いを始めることもなかったかもしれません。
――そんな後藤さんに聞くのもなんですが、進路に悩んでいるティーンにアドバイスってありますか?
後藤 よく「(進路なんて)なんとかなるさ」みたいなことを言われると思うんですけど、それってなんとかなった奴が言ってるだけ。なんとかならないと思うので、自分でなんとかしてください。僕自身、なんとかなったというか、なんかとかしましたから。
