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LoLと勉強と睡眠を3本柱にした高校時代

——『League of Legends(LoL)』を始めたきっかけを教えてください。

Kreative 高校1年生の時に友達が「このゲームおススメだよ。一緒にやろう!」と誘ってくれて始めました。それまでMultiplayer online battle arena(MOBA)のようなゲームはやったことがなかったので、初めは難しいなと思ったんです。でも、ランクというモードを始めた時に一気にハマりました。友達と一緒に競い合いながら、ランクが上がっていくのが面白かったんです。

——ランクは順調に上がっていきましたか?

Kreative 初めの半年くらいは躓いていたところもあったんですが、時間を割けば割くほどランクも上がっていきました。

——ランクアップをする秘訣はあったのでしょうか?

Kreative 試合数を重ね、時間をどれだけ費やすかが一番大事です。ですが、高校のときは勉強にも時間を割いていたので、同時に1試合1試合を大切にすることも心がけていました。もう一つは、休憩をはさむことも重要です。ひたすらやり続けていると、最終的に集中力も切れてしまいます。

——高校時代はゲーム中心の生活でしたか?

Kreative はい。基本的にはゲームと睡眠と勉強の3つしか考えていませんでした。我が家では、ゲームをする前に必ず勉強を終わらせるというルールがあったので、家に帰ったらすぐさま勉強をして、それが終わった後にゲームをプレイしていました。加えて、睡眠を8時間くらいはとって欲しいという家族の希望があったので、その点も考慮してバランスを取っていました。

——1日のタイムスケジュールを教えてください。

Kreative 学校が終わってから、勉強する時間は4、5時間。その後に3時間くらいゲームをして寝るというパターンを繰り返していました。ただ、金曜日だけはゲームが優先で、朝から夜中まで12時間ぐらいやっていました。その分、土曜日か日曜日のどちらかを一日中勉強に割いていました。

——効率的に時間を使っていたんですね。ご両親は、ゲームをすることに対してネガティブな考えはなかったのでしょうか?

Kreative 勉強時間と成績さえ保てば自由にしてもいいという感じで、ゲームをすること自体への批判はなかったです。「勉強を頑張っているから」とゲーミングPCを購入してくれたこともありますし、いろいろなサポートもしてくれました。なので、学業をしっかりやるという約束はしっかり守りました。ゲームがしたいから勉強を頑張る、ということで両立できていたと思います。

——努力の甲斐があり東大に進学されますが、ゲームと勉強を両立していく上で苦労はありましたか?

Kreative 8時間睡眠はなるべく心がけていたんですが、限られた時間の中で、どうしてもゲームも勉強もしたいというときがあり、睡眠不足になることはありました。特にテスト期間中は苦労しました。

日本国内のトップでも海外勢に比べると差は歴然

——LoLの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

Kreative MOBAはストラテジーゲームの要素が強いので、チームのコミュニケーション能力だけでなく、ゲーム画面外の相手がどう動くかを考えて予測し、それに合わせて行動することが重要になります。そういった心理的な面を問われるところに一番惹かれました。マウスの動かし方以外でも、相手の裏をつくといった戦略で勝てるところも魅力だと思います。

——プロゲーマーとしての活動を意識したのはいつ頃からですか?

Kreative 高校2年生の時に日本ランキングで5位になり、アマチュアチームから「チーム活動に興味あれば一緒に練習してみませんか?」と声がかかったんです。試しに半年ぐらい参加したんですが、その時に初めてプロを意識したと思います。その後、高校を卒業してから少し時間ができたので、いろいろな大会に出場し、そこで優勝することができて、いくつかのチームから声をかけてもらうようになりました。それがきっかけで、大学ではプロ活動を始めようと決めたんです。

——ソロとチームでは戦い方や戦略に変化がありますか?

Kreative ソロでは自分重視で動きます。チームメイトがランダムなので、結局は自分が試合をどう動かすかを考えないと勝てないんです。それがチームゲームだと、お互い話しながらコミュニケーションを取らなければいけないですし、なおかつチーム全体がどうしたら動きやすくなるのかというところも考慮しなければならない。ここが大きな違いだと思います。

——プロチームに所属したことで環境や意識は変わりましたか?

Kreative 新たに目標ができてモチベーションが上がりました。プロチームに所属してからは、外国のサーバーでプレイできるようになったんです。韓国などの強豪チームと対戦することで自分の実力や問題点を把握することができて、ゲームに対する熱を上げることができるようになりました。

——やはり海外の選手のレベルは高いですか?

Kreative すごいなって実感しています。私は日本のプロの中に入ることができましたが、まだまだ海外勢に比べると大きな差があるということを実感しました。

——日本の選手とはどのあたりが違うのでしょうか?

Kreative 画面の動かし方、キャラクターのコントロールの仕方だけでなく、1秒1秒を大切に使っているところですね。どのタイミングでどういう動きをするか、その一つひとつが細かく正確、かつ完璧にできているのが、すごいと思います。

趣味と学業を両立するにはタイムマネジメントが大切

——現在、プロ選手として活躍されていますが、具体的な活動内容を教えてください。

Kreative 週によって多少変わりますが、基本的にはスクリム(※他のチームと5対5で行う練習試合)練習を1日3、4時間、週4、5日くらいの頻度で行っています。後はYouTubeに動画を投稿したり、練習をしていない時間には、配信を通じて自分自身の紹介をしています。皆さんにゲームについてもっと理解してほしいですし、視聴者さんと話すのを楽しんでいます。

——東大のLoLサークルにも所属されているそうですが、どういった活動を行っているんですか?

Kreative サークル活動は基本的に、わいわいみんなで楽しむというか、交流する目的が大きいです。もちろん、プロチームで行う練習の中でも楽しむ部分はあるのですが、やっぱり勝ちたいという気持ちがあるので、その違いはあると思います。

——楽しくて始めたゲームだと思いますが、プロとして勝利を追求する上での辛さはありますか?

Kreative もともと私は負けず嫌いなので、国内だけでなく、韓国など海外勢のプロ選手を相手にして、自分よりも明らかに強いなと思うと悔しさを感じます。1回負けたら「こうやって勝っているのか」という学びを得て、「次に絶対同じ間違いを起こさない」という気持ちをバネにして進んでいます。

——大学生活を送りながらプロ活動を始めることに対して、ご家族の理解は得られましたか?

Kreative 母は「ちゃんと勉強ができるのか」という面を心配していたようでしたが、最終的に、自分ができるならやってもいいよと理解してくれました。ただ、そういった心配もあったので、大学生活の中で工夫もしました。自分が通う大学は1、2年と3、4年で取る単位が分かれているので、2年のときにそんなに単位をとらなくていいように、1年のときにできるだけ授業に出席しました。本当は大学1年目からプロ活動を始めたいと思っていたのですが、その年は単位を取ることに専念し、2年目から始めることにしたんです。2年生になった今は、週2、3日ぐらいの授業で、しかも1日2時間くらいしかないという状況なので、プロ活動にも専念できています。

——現在、大学ではどのようなことを勉強されていますか?

Kreative 専攻が教養学部なので、哲学、経済学、文学、心理学と、幅広く勉強しています。今はまだ自分がどの分野に興味あるのかが明確ではないので、知識の幅を広げていくことで、この先やりたいことを探したいと考えています。

——練習、大会、学校生活のスケジュールを管理するのは大変ではないですか?

Kreative もちろん重ならないように工夫はしています。それと、オンライン授業がメインになって、通学時間がなくなったのは大きかったです。たとえば14時45分に終わる授業があって、15時から練習というのが基本的なスケジュールなんですが、通学をしていたらとても間に合いません。それがオンライン授業なら、家で受講して、そのまますぐ練習ができます。そのことに関しては、今の状況がプラスになっています。

——大学卒業後はプロ一本で活動していく気持ちはあるのでしょうか?

Kreative 今はまだいろいろな選択肢を持っています。企業に就職する可能性もありますし、プロ活動を続けることも一つの選択肢だと考えています。いずれにせよ、大学4年間のうちにプロとしてどれだけ結果を残せるのかが大きいと思います。

——これからの活動も含め、目標とする選手などはいますか?

Kreative  DetonatioN FocusMeのEviさんです。彼はプロとして活動しているだけでなく、日本のサーバーを盛り上げるために、いろいろなコミュニティ大会を開いたり、動画配信をしたり、周りの人やプロ選手の人たちが注目を浴びることができるような活動をしています。自分もいろいろと助けていただいているので、本当に感謝しています。彼のように、貢献できる人になりたいです。

——最後にプロゲーマーを目指す高校生にアドバイスをお願いします。

Kreative 基本的に自分の好きなことをするのが大事だと思います。ただ、1つのことだけに傾き過ぎず、学業と両立するからこそ成功するものだとも考えています。自分も夏休み中などは、ゲームだけをひたすらやってしまう時もありました。でも、そうするとどうしても集中力がなくなってしまいます。時間が無限にあるからという気持ちでゲームに挑んでしまって、試合が終わればすぐに次という感じで、プレイが適当になってしまう傾向があったんです。

——時間の使い方が大切ということでしょうか?

Kreative はい。自分の集中力は、ゲームを通じて磨かれたと思っています。たくさんゲームをする中で、長時間集中できるようになったので、勉強もはかどるようになりました。両立する上で、どちらにどのくらい時間を割くかというタイムマネジメントもできるようになったと思います。ちゃんと時間配分を考え、勉強も、自分の好きな趣味にも打ち込んで両立させる。他のことをすることによって時間は限られてきますが、両方頑張らないといけないという感覚が生まれることで、全力で挑めるかたちが作れるのではないでしょうか。

Kreative(Burning Core)

東京大学在籍の2年生。高校1年生から『League of Legends(LoL)』を始め、2年生の時に日本ランキング5位に入り頭角を現す。「神田明神カップ」「e-elements」などの大会で優勝を飾り、今年からBurning Core所属選手としてプロ活動を開始。学業との両立をこなしながら、大会、配信などで活躍中。東大LoLサークルにも所属しており、コミュニティの活性化に力を入れている。

Photographer:Hirokazu Nishimura,Interviewer:Fumio Makino