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オール秋田ロケで行われた「宝探し」のような撮影

CMディレクターの成田洋一監督が、出身地の秋田で撮った初めての劇映画『光を追いかけて』。9月23日に秋田で先行公開されるや話題を呼び、10月1日から全国で公開。翌2日の土曜日に東京のグランドシネマサンシャイン池袋で舞台挨拶が行われた。

映画の舞台は、秋田県のとある町。過疎化の進む美しい田園を背景に、傷つきやすい思春期の少年少女と、悩みを抱える大人たちの日々が描かれる。

作品の上映直後、主演の少年・彰役の中川翼と少女・真希役の長澤樹──ともに15歳の二人に続いて、彼らのクラスの担任教師役の生駒里奈、真希のおじを演じた柳葉敏郎、最後に成田洋一監督が舞台に登壇し、盛大な拍手で迎えられた。

まずは成田監督が「5年前にこの映画を作ろうと思い、ようやくこのたび全国で公開となりました。感無量です」とお辞儀。

『光を追いかけて』は、2019年の9月に秋田県の井川町で撮影が行われた。2 年前のオール秋田ロケの日々を、中川は「ふだんとは全く違う環境で1カ月間、撮影させてもらって、田んぼが広がる景色をはじめ全部が新鮮で、宝探しをしている気分で過ごしていました」と振り返った。

▲中川翼

中川が「美しい夕日が印象に残っている」と回想すると、同じシーンで共演した長澤は「見渡すかぎり自然が広がる中、夕日がこんなに綺麗に見られる場所ってそうそうないよなと思って見てました、広大な田んぼに寝転がったのも気持ちよかった。全身で田んぼを感じる経験ができて幸せでした」と語った。

▲長澤樹

中川、長澤の主演コンビ以外に登壇した3人は、全員が秋田の出身だ。

生駒は「秋田が題材になった作品に携われてすごく嬉しかったです。2人(中川、長澤)にとってはすごく新鮮で綺麗な景色だと思うんですけど、私は小さい時から見ていたし、自分だったらスルーしてしまうような景色の町を、成田監督は素晴らしさに気づいて切り取って作品にしました」と感無量の様子。「私は実家から、お母さんに送ってもらって撮影現場に通ったんですけど、仕事を終えて家に帰ることが、こんなに嬉しいことだったんだなと気づいて、これも素敵な体験でした」と笑みをこぼした。

▲生駒里奈

現在も秋田で暮らす柳葉は、「あらためて、自分が住んでいる場所の良さをこの作品を通して感じさせてもらい、昔を振り返りながら作品に携われた。監督ありがとうございました」と思いを伝え、先ほどの長澤の発言を受けて「(少年時代は)ほぼ毎日、田んぼに寝転がっては怒られてました」と観客の笑いを誘った。

▲柳葉敏郎

生駒は、10歳下の中川と長澤について「2人の姿を映像を通して見て、すごく感動して泣けちゃいました。なぜかというと、キラキラしていたから。私もまだ頑張っていかなきゃいけない歳なので、本気で芝居している2人の頑張りに励まされ、力をもらいました」と目を輝かせる。

そんな中、成田監督が「巨大なトラックが来たんですよ、真っ赤な。何だろうと思ったら、柳葉さんが呼んだんです」と撮影現場でのエピソードを明かした。そのトラックの正体は、柳葉が親しくしている店舗に声をかけ、本場の「稲庭うどん」を現場に差し入れてくれたという。

▲成田洋一監督

「(稲庭うどんは)秋田の名物ですからね。少しでも秋田の味を味わっていただきたいと思って」と言う柳葉に、中川は「本当に美味しかったので、秋田から帰る際に買って帰ったんですけど、やっぱり秋田の大自然の中で食べる稲庭うどんとは全然違いましたね」と語り、長澤は「心も身体も温まって幸せでした」と感謝の意を述べた。

生駒だけは、スケジュールの関係で差し入れの稲庭うどんにありつけなかったとこぼすと、柳葉は「今度遊びに来い!いつでも食べに連れてってやるから」と兄貴のように頼もしい笑顔を浮かべた。

生駒里奈と柳葉敏郎と成田監督による「秋田弁講座」

中盤では、中川と長澤に向けた「秋田弁講座」がクイズ形式で行われた。生駒が出した問題は「はがいぐ」。成田監督が「仕事をしている時とかに使うね」とヒントを出すが、正解には至らず、生駒の口から、「はかどる」の意味だと正解が告げられる。

続いては柳葉が出題。「しょしなぁ」との問題に、「今の自分の気持ちでもある」とヒント。すると生駒が「おじいちゃんおばあちゃん世代は使うけど、若い人はあまり使わなくなってきている」と補足。そこで長澤は「緊張してるの意味では?」と回答。柳葉が「緊張も近い」と返すと、長澤が「恥ずかしい」と見事に正解を出した。

ここで、ゲストがもう1名。映画のエンディングに流れる主題歌の「心解く」を歌う、シンガーソングライターの湯木慧が登壇した。湯木は壇上にいる5人に持参した秋田の稲穂を配ってから自己紹介。ここで成田監督が湯木を抜擢したわけを話した。

「彼女の『金魚』という曲を聞いた時、今まで聴いていた音楽と全然違う種類の、新種とも言えるような曲で心に刺さりました。今回の僕の映画、どうやったら心に刺さるんだろう? どうやったら自分の思ってることがみんなに伝わるんだろう?と考えて。だとしたら曲はこの人じゃないかということで、湯木さんにお願いしました」

これを受けた湯木は、「私は恥ずかしながら秋田に行ったことがなかったので、すぐに行きました。秋田の風を感じたり、匂いをかいだり、おいしい食べ物を食べたり。あと、秋田に住んでいる方に話を聞いて、この楽曲を書き下ろさせていただいたので、込めたい思いがたくさんあって、すごく大変でした」と打ち明けた。

▲湯木慧

最後は、一同が観客に向かって、それぞれ秋田弁混じりに語りかけた。

中川は「僕にとってこの作品の『光』は希望だと思っています。自分にとっての光とは何なのか、じっくり考えてほしいです。今日はありがとうございました」と語り、これから作品を観る人たちに向けて「映画、観てけれな!」とメッセージ。

長澤は「2年前に撮影をして、やっといろんな方々に観ていただくことができて、本当に嬉しくて、幸せな気持ちで胸がいっぱいです。この映画を通して、自信を持って自分の居場所が好きだと思えたり、言えたりするような場所になってほしいなと思ってます。劇場さ来てけれな!」と力強くアピール。

生駒は「参加させていただくことができて嬉しかった、この作品の舞台は秋田県なんですけども、皆さんそれぞれ故郷(ふるさと)があって。自分の地域が抱えているプラスやマイナスな問題ってあると思うんですけど、大人だって子供だって葛藤があって悩んでいる。そういう中で明確とした答えはないけれども、1つの光に向かって何か気づくことができる、そういうことがきっと明日につながる一歩になっていくんじゃないかなと思っております。映画、楽しんでけれな!」と地域の問題にも触れた。

柳葉が「この子たち(中川と長澤)の純粋さにまいった。ありがとうな、君たち2人のおかげで俺も気持ちを洗われた。今日、作品を観た人たちもそうでねぇの?」と呼びかけると、観客は拍手でアンサー。

湯木は「今やっと公開できて、これだけの人に観てもらえたということが、そして『心解く』を聴いていただけたことがとても嬉しいです。秋田県井川町の方々が実際に協力してくださって、映画が完成しました。私のMVも同じ場所で撮ったんですけど、秋田の方に協力していただいて作ることができました。どうもありがとうございました」と地元の方々に感謝を述べた。

最後に成田監督は「普段はCMのディレクターをやっているんですけど、今回初めて映画を撮りました。CMは企業の商品のために作るんですけど、映画は当初、自分のために作ろうと思っていました。しかし進めていくうちに、世の中のいろんな人のために作りたくなってきた。結果いろんな人の協力があったからこそ完成したということを日々感じます。壇上と客席にいる皆さんに感謝したいです。もし、気に入っていただけたならば、ご友人ご家族に薦めていただければありがたいです」と締めくくった。

何かと生きづらい今、『光を追いかけて』は世代を超えて、多くの人に希望をもたらす一作となるはずだ。

Information

『光を追いかけて』
グランドシネマサンシャイン池袋ほか絶賛公開中!

中川翼 長澤樹
生駒里奈 中島セナ 駿河太郎 小野塚勇人
下川恭平 木村聖哉 丹野未結 日向丈
柳葉敏郎

原作:成田洋一
脚本:成田洋一/作道雄
音楽プロデューサー:鮫島充 音楽:山下宏明/河内結衣/内山孝洋
主題歌:「心解く」湯木慧
配給:ラビットハウス
©2021「光を追いかけて」製作委員会

両親の離婚で父の故郷である秋田県鷲谷町に引っ越した、中学3年生の彰(中川翼)。田園風景が広がるこの町にも転校先のクラスにも馴染めず、憂鬱な日々を送っていた。そんな中で学校帰りに見た、民家の屋根に立つ不思議な少女に心惹かれる……。ある日彰は、空に浮かぶ謎の緑の光を目撃。それを追って田んぼにできたミステリーサークルに辿り着くと、屋根の上の少女と出会う。彼女の名は真希(長澤樹)。彰と同じクラスだったが、不登校を続けていた。そんな彼女も彰にだけは心を開き、共通の秘密を持った 2 人の仲は接近する。灰色だった日常が輝き始めた 2 人を、真希のおじで田んぼの持ち主である秀雄(柳葉敏郎)が優しく見守る。過疎化のため彰たちが通う中学校は、今年度限りで閉校となる。「閉校祭」という名の最後の文化祭に向けて、中学生たち、そして大人たちも揺れ動く。謎の緑の光は、彰と真希に果して何を伝えようとしているのか?

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