『宇宙戦艦ヤマト2205』はヤマトを見始めるチャンス
――収録は別だったと思いますが、小野大輔さんや山寺宏一さんなど先輩方と同じ作品で共演されました。
畠中 コロナ禍じゃなかったら全員で一緒に録りたかったというのが一番なんですけど、逆に先輩たちと離れて録ったからこそ、ある種の孤独な気持ちが、今の土門とマッチするところもあったりしたのでよかったとも思います。後編では土門個人の内面の孤独な闘いも描かれていて、それは自分で答えを見つけていかなければいけないところなので。
――本作は土門竜介が古代進に抱いている複雑な感情が軸になっていると思います。畠中さんにとっての古代進的な先輩として重要な存在はいますか?
畠中 古代は絶対的なヒーローじゃないのが魅力的ですよね。特に新シリーズだと古代進の人間的な紆余曲折がすごく描かれてきたじゃないですか。だから古代進って身近な存在だなって思わせてくれた部分があって。僕にとってどんなに完璧だと思う先輩でも、コロナ禍以前に飲みに行ったときに、「俺だって苦しいよ」って言いながら飲んでいる姿を見て、「先輩も人間なんだな」と思うことがありました。古代進を見ていると、ちょっと弱い姿を見せた先輩たちの姿が脳裏に浮かんできますね。
――『宇宙戦艦ヤマト』をよく知らないと、古代進って「すごく強くてカッコいいリーダーなんだ」と見えがちですよね。でも実際には葛藤も悩みもたくさん抱えていて。
畠中 そう思います。「『宇宙戦艦ヤマト』って結局何なんだ?」という人は結構いると思うんです。でも、映画館で『宇宙戦艦ヤマト』を体感したときに、胸が熱くなる経験ができると思います。僕自身も全く知らない状態から入り、今は『宇宙戦艦ヤマト』の熱がすごく好きなので、みなさんにぜひ感じてもらえたらなと心から思います。『宇宙戦艦ヤマト2205』って、ある意味ヤマトを始めるチャンスだとも思ったんです。全く『宇宙戦艦ヤマト』を知らない人でも、新クルーと同じ視点で物語に入っていける。それにしっかりと映画本編の前の時間に振り返りもあるし、すごく丁寧な映画なので、今こそ新クルーの人たちと一緒にヤマトに乗ってほしいです。
――それから過去作を観ても楽しめそうですね!
畠中 特に『ヤマトという時代』を観てもらいたいですね。観終わってからでも“くる”ものがあると思うので。もちろんこの映画を観ても十分楽しめるのですが、過去作を観ると「なんでこんな表情してたのかな」「この時こういう思いがあふれてきたのかな」という、深みが出ると思うので、本作を楽しんだ後はぜひご覧いただきたいです。