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満場の拍手に主演のムロツヨシが感無量

公開して1カ月が経ったムロツヨシ主演の映画『マイ・ダディ』。映画のヒットを受けて10月23日に、池袋HUMAXシネマズで舞台挨拶が行われた。

司会進行は本作の出演者でもある永野宗典で、ムロたっての願いで引き受けたという。永野に紹介される形で、ムロツヨシ、毎熊克哉、奈緒、金井純一監督が登壇し、満場の拍手で迎えられた。

まずは本作のストーリーを紹介する。最愛の妻を亡くした牧師・御堂一男。アルバイトをしながら娘のひかりを男手ひとつで育てていたある日、ひかりが白血病と診断されてしまう。しかし、一男はドナーとしての適合性がなかった。さらに、ひかりが実の娘ではないという事実が判明する。一男は、激しく葛藤しながらも、娘を救うために彼女の実の父親を探し出すことを決意する──。

愛する娘を救おうと奔走する、お人好しで誠実な主人公の一男を演じるのは、今年45歳を迎えたムロツヨシ。意外にもこれが映画初主演作となる。

娘・ひかり役は第8回「東宝シンデレラ」オーディションのファイナリストである新星・中田乃愛。一男の妻であり、ひかりの母・江津子役には奈緒。さらに、毎熊克哉、臼田あさ美、永野宗典、「平成ノブシコブシ」の徳井健太、小栗旬、光石研ら個性豊かな俳優陣も集結。

監督および共同脚本を務めたのは、『ゆるせない、逢いたい』『さよならケーキとふしぎなランプ』などを手掛けた金井純一監督だ。

9月の公開初日の舞台挨拶は、観客を半分に減らしておこなわれたが、今回は感染対策を施したうえで満席での開催だ。

この光景に感動しきりのムロは、「泣きそう!」と喜びを隠せない。そして「皆さん劇場に足を運んでくださって本当にありがとうございます。感無量でございます!」と挨拶。

奈緒は「公開から1カ月、またこうやって皆さんのお顔を見ることができて、そして今回は満席をいただいて本当に嬉しく思っています」と声を弾ませる。

メジャーデビューを夢見るストリートミュージシャン・ヒロ役の毎熊克哉は「こういう満席の状態で喋るのは久しぶりで……」と、嬉しさで言葉が続かない。

金井監督は、かつてこの池袋HUMAXシネマズで映写のアルバイトをしていたことを打ち明け、「ヒューマックスでも一番広い場所を満席にするというのは大変なことなので、とても嬉しいです。いつもあっち側(映写室)から見ていたんですけど、まさか舞台で皆さんの前に立てるとは思っておらず、ここで泣いたらニュースとして取り上げてもらえるかなと思ったんてすが、緊張して涙が出てこなくて」と会場の笑いを誘う。

ムロは感慨深げに「この作品は、監督が見た夢がきっかけでストーリーができて脚本を書いて、でも(コロナ禍で)クランクインが伸びて、去年の12月に完成して、今年の9月23日に公開できました。で、その1カ月後に、この作品を産んだ監督に満席を見せられた。監督、おめでとうございます」と祝福。場内が拍手に包まれる中、ムロは「過去の自分があそこ(映写室)から見てますよ」と監督を讃えた。

これを受けて金井監督は、「もうちょっとで泣けそうです」と微笑み、「映画って大変なことが多いんですけど、続けてきたよかったと思っているし、夢が叶うということを経験できて、一生忘れません。ありがとうございます」とお辞儀で応えた。

笑いの絶えない息の合ったトークセッション

トークセッションが始まり、司会の永野が「すでに満席の話になっちゃってますが、改めてどうですか?」と問うと、ムロは「こんなご時世でなくても満席にできなかった男だよ!1回、出演者よりも少ないお客さんの数で舞台をやった男だよ!16人の芝居で(客が)8人しかいなかった時があったんだから!」と興奮気味に笑顔を見せる。

毎熊はクズ男を演じたゆえに、「満席はほんと嬉しいと思いながら、(舞台挨拶中に)紙コップとかペットボトルが飛んでこないかなってドキドキしてます」と言って登壇者と観客の爆笑を呼び、「クズを演じるのはけっこう好きで、今回もどう見てもクズで絶対みんなに嫌われる役だなと思ったんですけど、そのぶん役を愛してあげるというか、楽しくやれました」と述べる。

ここで永野が「毎熊さんのベッドシーンがよかった」と言い始め、「肌が黒光りしてセクシーで」と絶賛。ムロは「毎熊さんのベッドシーンの褒め言葉を君から聞きたくないよ(笑)」と突き放し、「僕が好きなのはね、毎熊さんが、注文を聞いて『あいよ』と立つシーンの背中のカット」と言う。

金井監督は「毎熊さんは歌もうまくて、ピアノも自分で弾いているので、まずそこに触れてほしかったです。いきなりベッドシーンって」と苦笑し、「演奏シーンの終わりに、毎熊さんが『もう1回やりてぇなー』とつぶやいていて、それが、演技なのか毎熊さんの気持ちなのかわからなくて、カットをかけられなかった」と明かすと、毎熊は「言ってましたかね? もしかしたら無意識かもしれない」と回想。金井監督は「ヒロっぽく見えて、いい芝居だなと思った」と返す。「僕、あんまり監督にもう1回やらせてくださいと言わないタイプなんですけど、練習は暖かい部屋でやっていたのに、撮影の時は寒かったので、心の声が出ちゃったのかもしれない」と毎熊が説明。そこで奈緒が「でも、そういう自然な言葉と、演奏とのギャップに江津子は惹かれたのかも」と語り、金井監督と毎熊も納得の表情でうなずく。

ヒロのパフォーマンスを恋する瞳で見つめながらも、ムロ演じる一男と結婚することになる江津子を演じた奈緒について、永野は「いろんな表情が見られた」と讃え、「奈緒さんは愛されたい派ですか? 愛したい派ですか?」と尋ねる。これに対して奈緒は「どっちだろうなあ」と頭をひねり、「愛したいと思って生きているんですけど、最近は愛したいとか愛されたいじゃなくて、そこに愛があればいいのかなと思うようになりました」と回答。

この発言に「難しくてよくわかんないなー」と永野が言うと、奈緒の回答に感心した様子のムロはすかさず「この発言は深いよ!愛したい愛されたいっていうベクトルの問題じゃないのよ、矢印なんていらないって話を奈緒さんがされたんですよ」と解説。奈緒が「はい、矢印なんていらないっていう所にたどり着きたいなと思っています」と答えると、ムロが「そこに愛という存在があればいいってことだよね」と締めた。

出演者と監督が語るお気に入りシーンとは

ここからは、来場したお客さんに、事前に募った質問に答えるコーナー。

「一番好きなシーンは?」という質問を受け、毎熊は「(ひかりの)彼氏が病室で喜んでくれるところ」を挙げ、「演技を超えている気がしましたし、心を持っていかれました」と話すと、ムロも「僕も同じシーンを好きって言おうと思ってた!」と言い、お気に入りシーンが同じだと判明し、観客も拍手で同意を示した。

金井監督のお気に入りは「一男がクリスマスに説教するシーン」で、ムロのNGが集中したシーンだったとことを披露。「後から理由をムロさんに聞いて、リアルな一男の心情を出すためだったことがわかったんです。僕以上に芝居を考えてくださっていて、すごく感動しました」と振り返る。

奈緒は「どのシーンも江津子目線で見てしまって、すべて心に残っているんですけど、一男がイースターエッグを割ってしまうシーンは、一男のいろんな気持ちが伝わってきて、すごく好きです」と答えた。

「演じたキャラクターとの共通点は?」という質問に、ムロは「何か悲観的なことがあっても悲観しすぎないところ。一男って、どうにかして『できることはないか』を探すんですよ。そんないろんな状況を受け入れるスピードが僕と似ているかなと思いました。それと、ポスターにあるキャッチコピー『運命なんか認めない!』は、舞台をやる時に僕もよく言っているセリフです」と回答。

毎熊は、自分のことをクズだと思っていると自嘲混じりに言い、「何もない男であるヒロが唯一手に入れた幸せ──これだけは何とかして持って帰りたいという気持ちがあふれるシーン。あのときの彼の気持ちはわかるなと思いました」と答えると、観客の多くがうなずいた。

奈緒は「1人じゃなくて、何か守るものがあったほうが強くなれるっていうのは、すごく江津子さんと自分の通ずるところです。大切な存在ができたから、守るものができたから強くなれるというのは、演じていて共感できました」と答え、続けて「『クズ!』って叫ぶシーン。あれは私でも叫びたいなって思っていました。そんな機会はなかなかないですけど」と話すと、クズの当事者・毎熊は「スッキリした顔してましたもんね」とツッコむ。奈緒は「ふだんプロレス観戦に行くんですけど、そのときと同じスッキリとした感覚が味わえました」と笑顔を浮かべた。

最後に金井監督は「皆さんにあたたかく見守っていただけて、なおかつ満席の場に立たせてもらえて幸せです。あと、帰りのエレベーターは混んでしまうので、エレベーターとエスカレーターと階段を使ってお帰りいただけたらと思います。今日は本当にありがとうございました」と、元アルバイトとしてのトークも交えて盛大な拍手を浴びた。

続いて演者を代表し、ムロが「満席で映画を披露できる機会ができました。まだまだいろんなことに気をつけなければいけない時期が続くと思いますが、もしよかったらまた劇場で“追いダディ”してください。また、家族やいとこや、知り合いや、さらに知り合いかなこの人?ぐらいの人にまでこの映画をクチコミしてください。そして、今日この時間からも素敵な時間を過ごしてください。僕たちがテレビや映画や舞台などで、皆さんの娯楽のひとつになれたら嬉しいなと思います。本日は会いにきてくれて本当にありがとうございました!」と、念願叶った満席の舞台挨拶を締めくくった。

Information

『マイ・ダディ』
絶賛公開中!

[キャスト]
ムロツヨシ
奈緒 毎熊克哉 中田乃愛
臼田あさ美 徳井健太(平成ノブシコブシ) 永野宗典 光石研

[スタッフ]
監督:金井純一 脚本:及川真実 金井純一 音楽:岡出莉菜
主題歌:「それは愛なんだぜ!」カーリングシトーンズ(ドリーミュージック)
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

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