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昔からアニメを観てきたので初声優も違和感なく素直にできた

――声優初挑戦ですが、出演が決まった時はどう思いましたか?

工藤 もともとアニメや漫画が大好きで、小さい頃からずっと見ていました。いつか声の仕事にも挑戦したいと思っていたので、お話をいただいた時は感激しました。初めての体験だったのでやることも新鮮で楽しく、吉浦康裕監督とも細かくいろんなお話をさせていただきました。

――本作は「AI」のシオン(CV:土屋太鳳)を中心に、高校生の友情や絆が描かれていく物語です。

工藤 現実にAIが生み出された理由の一つとして、僕らの生活をよりよくするためということがありますが、シオンはその垣根をちょっと超えているというか、機械と人間が本当に通じ合っている。AIに対して正直、怖いと思うこともあるけど、すべてが怖いわけではなく、そこで生まれるものも大切にしていきたい。そういうことが作品を通して僕の中で響きました。

――工藤さんは劇中でサトミ(CV:福原遥)の幼馴染であるトウマを演じています。このキャラクターに対してはどういった印象を持ちましたか?

工藤 トウマは性格や見た目でいうと、オドオドしているように描かれていますが、芯はしっかりしていて、自分の好きなものに対してはまっすぐです。僕自身はストレートに受け止めることができました。

――ご自身と共通するところもありましたか?

工藤 一つのことにのめり込む性格は似ています。極めないと嫌なタイプなので没頭してしまう傾向があって。そういう部分は共通しているのかなと思いました。

――声優ならではの演技などはありましたか?

工藤 アニメは喋るタイミング、長さが決められています。リップシンクまではいかなくても、抑揚のつけ方や、どこを抑えめに言うのかなど、声で感情を全て表さないといけないので、その難しさはありました。

――実際に声をあてるとき、大切にしていたことはありますか?

工藤 トウマのオドオドした感じや、逆に興奮した時の感情を表すために声を高くしたんです。あとは息の吐き方。息をまっすぐに当てると強い意志が出過ぎてしまうので、少し抜きながら喋ったり、声を震わせてビブラートを利かせたり、そういったことに気をつけながら演じました。

大人が観ても青春の1ページを思い返せるアニメ

――初挑戦とは思えないほど声の演技が自然だと感じたのですが、ご自身で完成品を観ていかがでしたか?

工藤 初めての経験だったので、自分の声には違和感しかなかったです。でも、すごく面白かったです。“今を大事に”、“人と人とのつながり”という、大切にすべきものを捉えて描かれていて、大人が観ても青春の1ページを思い返せるような作品になっているので、観ていただけたら嬉しいです。

――作品コメントの中で、「トウマは僕が好きな王道の主人公に近いキャラクター」とおっしゃっていましたが、工藤さんの中で王道というとどんな作品を思い浮かべますか?

工藤 僕が好きなものでいえば、『ドラゴンボール』の悟空、『北斗の拳』のケンシロウ、『宇宙戦艦ヤマト』、『銀河鉄道999』、『ガンダム』もずっと観てきて。ヒーローって最初はどこか難しいところもあったりしますが、ひたむきに頑張っているからこそ、最後には惹かれていくんですよね。

――アニメがお好きとのことですが、本作を通じて、アニメや声優の魅力について改めて気づかされることもありましたか?

工藤 やっぱりアニメは日本が誇るエンターテインメントですよね。映像や表現のきめ細やかさも、声優さんの力強さも。本作も声優として活躍している方がいるからこそ、厚みが増しますし、役者である僕らも支えてもらえました。今回演じさせていただいて、リスペクトがすごく増えました。

――現実ではありえない描写もアニメでは違和感なく観られますよね。

工藤 アニメって実写の僕らとは違うんです。非日常的な部分を描きながらも、心を躍らせてくれる。実写やリアルだと「そんなことないでしょ?」っていうツッコミが入るんですけど、アニメだとそれがない。そこがアニメの力でもあると声優のお仕事をさせてもらって感じました。

――今後も機会があれば他の作品でも声優をやってみたいですか?

工藤 絶対やりたいです!

責任の重さを感じながら自分ができることをしっかりとやる

――コロナ禍で、役者という立場として考えていたことはありますか?

工藤 まず、自分たちがやるべきことはなんだろうと感じていて。できることと言えば演じていくことしかない。ただ、演じていく上で、誰に届けたいか、どう思ってもらいたいのか、何を大切にしなきゃいけないのかということは、深く考えるようになりました。

――今はフラストレーションが溜まることも多いと思うのですが、どういったことを支えにされていますか?

工藤 フラストレーションが溜まっていない人ってたぶんいないと思うんです。でも、それを人や世の中にぶつけるのは違うと思うから、苦しいけれど、自分で昇華しなきゃいけない。僕は家族に支えてもらいました。

――俳優として常に大事にしていることは何でしょうか?

工藤 役者になってからずっとなんですけど、「誰かのきっかけになりたい」ということが常にあります。自分のために頑張るということは一度もない。今までいろんな方に手を差し伸べてもらって、いろんなきっかけをもらってきたからこそ、今度は誰かの手助けをさせていただけたらいいなと。

――工藤さんは今年30歳になられましたが、どんな30代にしたいと考えていますか?

工藤 30代は責任の大きさが増える分、逆にやれることも増えると思うので、そういう楽しみはあります。責任の重さを感じながら自分ができることをしっかりとやる。ちょうど20代のときに考えていた夢や、やりたいことが30代に入ったことで歯車が回り始めた感覚があって。これから先、どう歩んでいきたいかっていうことを、完全に形にしていくタイミングでもあるのかなと。

――来年は俳優としてデビュー10年を迎えます。今後の目標を教えてください。

工藤 一つは、役者として作品に出続けたい。あとは、これもいろんな考え方がありますけど、便利なことが増えている中で、不自由なことの面白さや、不自由をどう楽しむかということも伝えていきたいです。不自由だからこそ人は考えるし、不自由だからこそそこから何かを生み出そうとしますから。僕は農業を始めたんですが、そこからも食の大切さなどを伝えていけたらいいなと思っています。

――本作『アイの歌声を聴かせて』は高校が舞台ですが、工藤さんは高校時代にハマっていたことはありますか?

工藤 テニスです。肩を壊してしまうまではプロを目指していましたし、ずっとのめり込んでいました。

――卒業後、東京農業大学に進学されます。進路についてはどのように決めたのでしょうか?

工藤 「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんの本を読みました。それで日本の農業を何とかしたいと思って、農大に進学しました。

――それが先ほどの畑の話にも繋がってくるんですね。

工藤 はい。最近ふと思って農業を始めたというよりは、十何年越しにやっと形になってきた、ということなんです。

――では、最後になりますが、ティーンの読者に向けてメッセージをお願いします。

工藤 失敗を恐れず、ミスをしても、それを生かして次に進むことができれば、僕は成功だと思うんです。いろんな著名人や科学者の方たちは、人一倍失敗してきて、人一倍それを糧にしてきた。失敗の数の方が絶対に多いはずだから、ミスしたとしても、「ミスしたからもういいや」じゃなく、「なんでミスをしたんだろう」、「じゃあ次はどうすればミスしないだろう」と前向きに考えていけば、次のステージが見えてくるのかなと思います。

――まだ明確な目標などがない人はどうすればいいでしょうか?

工藤 夢がない方や、今どうしていいかわからない方は、一度立ち止まってみてもいいと思います。「みんながこうしているから俺もこうしなきゃ」となってしまうと、これから先、たぶん誰かのせいにしてしまう。人生は自分で選択していくしかない。それに今はたくさんのことを経験できる、いろんなものが新鮮に見えるタイミング。いろんな人に会っていろんな話を聞いて、いろんな場所に行っていろんなものを見て、いろんなものを感じてほしいです。

Information

長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』
絶賛公開中!

声の出演:土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡、大原さやか、浜田賢二、津田健次郎、咲妃みゆ、カズレーザー(メイプル超合金)

原作・脚本・監督:吉浦康裕
共同脚本:大河内一楼
キャラクター原案:紀伊カンナ
総作画監督・キャラクターデザイン:島村秀一
アニメーション制作:J.C.STAFF
©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

景部市高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン(cv土屋太鳳)は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミ(cv福原遥)の前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。 彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。 しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。 ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!

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工藤阿須加

俳優

Photographer:Hirokazu Nishimura,Interviewer:Tetsu Takahashi