責任の重さを感じながら自分ができることをしっかりとやる

――コロナ禍で、役者という立場として考えていたことはありますか?

工藤 まず、自分たちがやるべきことはなんだろうと感じていて。できることと言えば演じていくことしかない。ただ、演じていく上で、誰に届けたいか、どう思ってもらいたいのか、何を大切にしなきゃいけないのかということは、深く考えるようになりました。

――今はフラストレーションが溜まることも多いと思うのですが、どういったことを支えにされていますか?

工藤 フラストレーションが溜まっていない人ってたぶんいないと思うんです。でも、それを人や世の中にぶつけるのは違うと思うから、苦しいけれど、自分で昇華しなきゃいけない。僕は家族に支えてもらいました。

――俳優として常に大事にしていることは何でしょうか?

工藤 役者になってからずっとなんですけど、「誰かのきっかけになりたい」ということが常にあります。自分のために頑張るということは一度もない。今までいろんな方に手を差し伸べてもらって、いろんなきっかけをもらってきたからこそ、今度は誰かの手助けをさせていただけたらいいなと。

――工藤さんは今年30歳になられましたが、どんな30代にしたいと考えていますか?

工藤 30代は責任の大きさが増える分、逆にやれることも増えると思うので、そういう楽しみはあります。責任の重さを感じながら自分ができることをしっかりとやる。ちょうど20代のときに考えていた夢や、やりたいことが30代に入ったことで歯車が回り始めた感覚があって。これから先、どう歩んでいきたいかっていうことを、完全に形にしていくタイミングでもあるのかなと。

――来年は俳優としてデビュー10年を迎えます。今後の目標を教えてください。

工藤 一つは、役者として作品に出続けたい。あとは、これもいろんな考え方がありますけど、便利なことが増えている中で、不自由なことの面白さや、不自由をどう楽しむかということも伝えていきたいです。不自由だからこそ人は考えるし、不自由だからこそそこから何かを生み出そうとしますから。僕は農業を始めたんですが、そこからも食の大切さなどを伝えていけたらいいなと思っています。

――本作『アイの歌声を聴かせて』は高校が舞台ですが、工藤さんは高校時代にハマっていたことはありますか?

工藤 テニスです。肩を壊してしまうまではプロを目指していましたし、ずっとのめり込んでいました。

――卒業後、東京農業大学に進学されます。進路についてはどのように決めたのでしょうか?

工藤 「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんの本を読みました。それで日本の農業を何とかしたいと思って、農大に進学しました。

――それが先ほどの畑の話にも繋がってくるんですね。

工藤 はい。最近ふと思って農業を始めたというよりは、十何年越しにやっと形になってきた、ということなんです。

――では、最後になりますが、ティーンの読者に向けてメッセージをお願いします。

工藤 失敗を恐れず、ミスをしても、それを生かして次に進むことができれば、僕は成功だと思うんです。いろんな著名人や科学者の方たちは、人一倍失敗してきて、人一倍それを糧にしてきた。失敗の数の方が絶対に多いはずだから、ミスしたとしても、「ミスしたからもういいや」じゃなく、「なんでミスをしたんだろう」、「じゃあ次はどうすればミスしないだろう」と前向きに考えていけば、次のステージが見えてくるのかなと思います。

――まだ明確な目標などがない人はどうすればいいでしょうか?

工藤 夢がない方や、今どうしていいかわからない方は、一度立ち止まってみてもいいと思います。「みんながこうしているから俺もこうしなきゃ」となってしまうと、これから先、たぶん誰かのせいにしてしまう。人生は自分で選択していくしかない。それに今はたくさんのことを経験できる、いろんなものが新鮮に見えるタイミング。いろんな人に会っていろんな話を聞いて、いろんな場所に行っていろんなものを見て、いろんなものを感じてほしいです。

Information

長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』
絶賛公開中!

声の出演:土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡、大原さやか、浜田賢二、津田健次郎、咲妃みゆ、カズレーザー(メイプル超合金)

原作・脚本・監督:吉浦康裕
共同脚本:大河内一楼
キャラクター原案:紀伊カンナ
総作画監督・キャラクターデザイン:島村秀一
アニメーション制作:J.C.STAFF
©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

景部市高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン(cv土屋太鳳)は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミ(cv福原遥)の前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。 彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。 しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。 ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!

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工藤阿須加

俳優

1991年8月1日生まれ、埼玉県出身。2012年にドラマ「理想の息子」で俳優デビュー。その後、大河ドラマ「八重の桜」「ルーズヴェルト・ゲーム」、映画『ちょっと今から仕事やめてくる』(17)などに出演。2014年の映画『1/11 じゅういちぶんのいち』、映画『百瀬、こっちを向いて。』で第24回日本映画批評家大賞の新人男優賞を受賞。2020年には連続ドラマ「連続殺人鬼カエル男」で主演を務め、同年放送のドラマ「教場」、2021年「教場Ⅱ」、「緊急取調室シーズン4」にも出演した。

Photographer:Hirokazu Nishimura,Interviewer:Tetsu Takahashi