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書くことの難しさ楽しさを感じられた貴重な経験

GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカリスト・片寄涼太が、初めての著書『ラウンドトリップ 往復書簡』を10月29日に発売。それを記念して同日、都内で記者会見が行われた。

本書は、2020年7月から2021年4月にかけて『デイリー新潮』で連載された『片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡』をまとめたものだ。

片寄をデビュー前から知る作詞家・小竹正人と、片寄が公私にわたって信頼を寄せる小竹が交わした合計40篇の手紙(書簡)が第1部で、第2部は2人の対談という構成。さらに、撮り下ろしグラビアが16ページあるファン垂涎の内容となっている。

今では戦友のような2人の出会いから現在までの回想があり、日常の発見や、ハマっているものなど、2人が素のままの自身を綴った。

「出版できてとてもうれしい気持ちです。僕自身、知らない自分に出会うことができた1冊です。多くの方に届くことを願っております」と片寄が挨拶し、質疑応答が始まった。

──初めての著書ですが、実際に原稿を書いてみてどうでしたか?

片寄 執筆というのは自身のブログを書く程度で、初挑戦だったのですが、最初は言葉が出てくるまで時間がかかったこともありました。でもだんだん慣れてきて、本を出すことになり、前書きはあっという間に書くことができました。書くことの難しさも感じられましたが、楽しみも感じられるすごく貴重な経験だったかなと思います。

──本書の中で特に気に入っている書簡があれば教えてください。

片寄 うーん、どれかな……。コーヒーを手渡したくなった警備員さんと出会った話は、自分自身がこういうことを思っていたんだなという発見がありました。

以下に片寄が語った書簡の一部を抜粋。

”ある冬の日の午前中に、行きつけのコーヒー屋さんに行きました。

いつものようにその店のバリスタさんがその場でドリップしてくれる、香りの素晴らしいホットドリップコーヒーを買って店を出ました。

コーヒー屋さんを出てふと向かいのビルのほうを見ると、そのビルの前にはひとりの警備員の方が立っていました。

「こんな寒い朝からご苦労さまです!」と心のなかで思うと同時に、「もしいきなりこの警備員さんに、この僕がいま持っているコーヒーを渡したらどうなるんだろう?」とふと思いました。

見ず知らずの人から、買いたてのコーヒーをいきなり渡されたら、自分ならかなり驚くだろう。職務中なので……と言って、受けとらない可能性のほうが高い。

ましてやこのコロナ禍で、見知らぬ人からもらったものを口にするなんてことは、全くもって〝ノーノーマル〟な話です。

ですが、もしかするとこんな小さな思いつきのなかに、新しい時代の価値観のヒントがあるのかもしれないな、なんて思ったのです。”(片寄)

対談で判明した「しれーっと恋愛するタイプ」

──本書の刊行が決まって、GENERATIONSのメンバーはどのような反応でしたか?

片寄 さっき、グループLINEで報告をさせていただいたところ、もう1人のボーカルの数原龍友君から「まだモテる気かよ」と一言いただきました。「もうモテんでエエやろ」と。まだ返信してないんですが、まず「おめでとう」を言いなさいと(笑)。

──この本は、どんな方に読んでほしいですか?

片寄 今の時代でしか綴れない言葉とか、今の時代だからこそ感じている感情みたいなものが詰まった作品になりましたので、幅広い世代の方に評価していただけるんじゃないかなと思っています。本になじみのない若い世代の方はもちろんですけど、普段から読書される方にもぜひ目を通していただいて、感じるものがあればいいなと思っております。

──次作への意気込みを教えてください。

片寄 書籍を出せてうれしかったのと、書くこと自体も嫌いじゃないんだなということを気づかされたので、フィクションなのかノンフィクションなのかわからないような小説などに挑戦できたら楽しそうだなと。あとは、往復書簡ではなく、小説を書く方と“往復小説”ができたら面白そうだなとか妄想しています。

──さまざまな日常が綴られていますが、実は書くのにためらったというエピソードなどはありますか?

片寄 最初の頃は、いろんな部分がためらいだったなと読み返して思います。気恥ずかしい気持ちもあったりしたんですけど、書いていくうちに、気恥ずかしさが癖になっていく感覚がありました。

──書くことが好きな自分を発見したとおっしゃいましたが、ほかに発見はありましたか?

片寄 自分の身の周りには、目の向け方によってはすごく面白いことが起きているんだなと気づけたかなと思います。

──第2部の対談の中で、自身の恋愛観や結婚観も語っておられますよね。やっぱり「しれーっと恋愛するタイプ」なんですか?

片寄 小竹さんがおっしゃってましたね(笑)。でも、皆さん、しれーっと恋愛しないですか?おおっぴらにしないですよね?

「しれーっと恋愛」について、片寄は以下のように語っている。

“自分の知らないこととか、自分の考えになかったことを言ってくれる人が好きです。「へえー!」「なるほど」みたいなことをよく話せる人が好きですね。自分と違う考えを持っている方が刺激になります。それって、恋愛なのかって感じもしますけど。”

“恋はエゴですね。学生の時とかを振り返ると、自分もそうですね。”

“恋愛が上手い人って、何なんですかね。例えば、男性でも女性の扱いが上手い人と、そんなに女性慣れしてない人っているじゃないですか。僕は、確実に後者のほう。”

“僕はそういう恋愛上級者ではないけど、結婚願望はめちゃくちゃあります。子どもも欲しくて。ほど良い年で子どもを育てられるようになりたい。”(片寄の発言)

俳優として、アーティストとして、言葉を意識して大切にする

──作家と呼ばれることに関してはどうですか?

片寄 いや、まったく実感がないです。連載を始めさせてもらったときは、本になったら嬉しいなと思ってましたけども、(作家と呼ばれるのは)むずがゆい感じです。

──ゆくゆくは賞を獲ろうと思ったりは?

片寄 やめてください(笑)。ハードル上がっちゃうだけなので。でも、書くことは続けていけたらなと思っております。

──今後、台本を書くなど、活動を広げる可能性はいかがですか?

片寄 この本にも書かせていただいたんですけど、すごく“言葉”が好きで、どういう言葉を使うかで、人がどういう気持ちになるのかを考えることが昔から好きだったので、台本を書くまではいかないかもしれないですけど、俳優として、アーティストとして、言葉を意識して大切にするようになれたらと思います。

──本を書くことは心を裸にする作業と思うんですけど、恥ずかしさなどはありますか?

片寄 そうですね。多少は恥ずかしさもあったかなと思うんですけど、信頼する作詞家で、昔から僕のことを知ってくださっている方とのやり取りだったからこそ、見えてくる自分自身みたいなところもあったかなと思うので、自身をさらけ出していく感覚というのも癖になってきたと思います。

──執筆していて、難しかった部分はありますか?

片寄 やっぱり慣れてないから、使う言葉が重複したりとか、言いたいことがうまく伝わっているかなとか、もっと簡潔に書けたかなとか、表現の部分で悩まされました。

──書くネタを探すことについてはどうだったのでしょう。

片寄 昨年の夏頃からやり始めた企画だったので、コロナ禍ということもあって外出もできず、自分と向き合う時間は得られたのですが、ネタ探しは難しかったですね。「奇跡が起きろ、何か来い」みたいに思ってました。

──片寄さんは作詞もされていますが、今後、作詞に取り組むとしたら今までと違う部分はありますか?

片寄 今回、自分自身から出てくる言葉とか、比喩とか、自分でも驚くものもありました。こういう表現で曲になればいいなと思うこともチラホラあったので、作詞にも挑戦していきたいなと思います。今は音楽が先にできて、詞を後で乗せることが多いんですけど、詞が先にあって、そこから曲が生まれるという作り方がグループに取り入れられたら楽しいと思います。

──最後に共著者の小竹さんに一言お願いします。

片寄 昨日の夜にLINEをいただきまして、小竹さんは「血圧が上がって寝られない」とおっしゃってました(笑)。小竹さんとじゃないと出てこなかった言葉や表現がたくさんあったと思うので、すごく感謝しています。今日の夜はぐっすり眠ってほしいと思います(笑)。

終始なごやかなムードで、質問に答えていった片寄だが、随所に書くことのこだわり、鋭い感性が垣間見える記者会見となった。ぜひ、十年来の付き合いのある「戦友」が相手だから引き出せた、「素の片寄涼太」がたっぷり詰まった『ラウンドトリップ 往復書簡』を手に取ってほしい。

Information

『ラウンドトリップ 往復書簡』
好評発売中!

著者:片寄涼太 小竹正人
判型:四六変小240ページ(オールカラー16ページ含む)
定価:1,650円(税込)

片寄涼太・小竹正人『ラウンドトリップ 往復書簡』新潮社刊

出版社サイト

Reporter:Takehiko Sawaki